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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.40>

2|無脊椎動物

 無脊椎動物は,脊椎動物よりもはるかに種類が多く,からだのつくりもさまざまである。たとえば,小学校で学んだ昆虫❶や,イカや貝などは無脊椎動物である。これらの動物も,脊椎動物の分類と同じように,からだのつくりをもとに分類されている。

1  節足動物

 昆虫のからだを観察すると,胴体やあしがかたい殻におおわれていることがわかる。このからだをおおう殻を【外骨格】❷といい,外骨格には節がある。外骨格をもち,からだに節のある動物をまとめて【節足動物】という❸(図4)。

2 節足動物の分類

 節足動物は,からだのつくりによって,【昆虫類】や【甲殻類】などのグループに分けられる。トンボ,バッタ,カブトムシなどは昆虫類で,エビやカニなどは甲殻類である。

からだに節があり,節の部分を動かす(サワガニ)

脱皮をくり返して 成長する(カマキリ)

卵生である (産卵するモンシロチョウ)

図4 節足動物に共通する特徴の例

❶ 昆虫の成体のからだは,頭部,胸部,腹部に分かれていて3対(6本)のあしがある。

❷ からだを支えるはたらきのある,かたい部分を骨格という。節足動物は,からだの外側にかたい外骨格をもつ。外骨格に対して,脊椎動物のように,骨格がからだの中にある場合,これを内骨格という。

❸ 節足動物には,昆虫類や甲殻類以外にも,クモのなかまやムカデのなかまなどがある。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.218>

資料 いろいろな節足動物

(a)昆虫類

トンボ,バッタ,セミ,カブトムシ,ハチ,チョウなど

(b)甲殻類

エビ,カニ,ミジンコ,ダンゴムシ,フジツボなど

(c)クモのなかま

クモ,サソリ,ダニなど

(d)ムカデのなかま

ムカデ,ヤスデ,ゲジなど

これまでに知られている動物は約130万種類である。このうち100万種類以上は節足動物であり,さらにその大部分は昆虫類である。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.41>

3 軟体動物

 イカやタコのからだを観察すると,内臓と,それをおおう外とう膜というつくりが見られる。また,からだには背骨や節はない(図5(a))。二枚貝や巻貝などは,イカやタコとは異なって見えるが,背骨や節がなく,内臓を外とう膜がおおっているという共通点がある(図5(b))。

 このように,イカ,タコ,貝などは共通した特徴をもち,このグループをまとめて軟体動物という。ほとんどの軟体動物は,水中,特に海水中に多くすんでいる。

「外とう」は漢字で「外套」と書き,マントの意味である。貝の場合は,外とう膜の表面をさらに貝殻がおおっている。

図5 軟体動物のからだの特徴

4 そのほかの無脊椎動物

 節足動物や軟体動物のほかにも,無脊椎動物にはたくさんのグループがある。海中をただよっているクラゲ,ウニやヒトデ,ミミズのほか(図6),枝を広げたように見えるサンゴ(p.219)なども無脊椎動物である。

 これらの動物の大部分は,水中,特に海水中に多くすんでいて,からだのしくみも生活のしかたもさまざまである。ただ,ほかの生物がつくり出した養分を食べて生きるという動物としての特徴は共通している。

クラゲ
ミミズ
ウニ
ナマコ
ヒトデ

図6 そのほかの無脊椎動物

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.219>

資料 いろいろな軟体動物

ウミウシ(殻のない巻貝) (一般に約10〜30mm)

マイマイ(陸にすむ巻貝) (一般に殻の幅約10〜30mm)

ウミウシ(殻のない巻貝) (一般に約10〜30mm)

マダコ (一般に胴の先端から うでの先端まで約600mm)

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イカ,タコが同じグループなのはわかりますけど,貝もそうなんですね。すがたがずいぶんちがいますね。

オウムガイは,貝殻をもち,からだにはイカ のようにたくさんのうでがあります。また,外とう膜をもちます。イカ,ここで紹介した巻き貝や二枚貝,オウムガイには共通点が多く,いずれも,軟体動物というグループに分類されています。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.219>

資料 自ら動きまわることのない無脊椎動物

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ホヤやサンゴ,カイメンは,一生のほとんどを岩などにくっついてすごし,自ら動きまわることがないため,一見すると動物ではないように思えます。

しかし,これらは海中の養分を取りこんで生命を維持し,卵でふえる動物です。

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(a)ホヤ 幼生はおたまじゃくしのようなすがたであるが,成体になるとすがたが変わる。

(b)サンゴ 写真の種類のサンゴは,小さな イソギンチャクのような部分の集まりである。

(c)カイメン からだ全体から海水を取りこみ,海水にふくまれる養分を消化・吸収する。

(a)プラナリア 一般に体長1〜2cm。体を多数に切り離してしまっても死なず,それぞれの断片が再生して完全なからだになる。

(b)クマムシ(顕微鏡写真) 一般に体長0.1〜1mm。乾燥した環境では仮死状態になるが,水を得ると再び活動しだす。仮死状態では,−200℃の低温や真空にも耐える。

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無脊椎動物の種類は多く,その特徴もさまざまです。(a)(b)のような種類もいます。

ニュース

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  • 【蝗害をもたらすサバクトビバッタ その特異な繁殖行動を解明!】 2023年3月1日
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  • 【頭部を自ら切断し,胴体を再生 ウミウシの驚異の能力:奈良女子大学】 2023年3月1日
    ウミウシの仲間「嚢舌類」(のうぜつるい)のコノハミドリガイとクロミドリガイの2種において,非常に大規模な自切(じせつ)・再生現象が発見されました。複数の個体において,首元から自切し,心臓を含む全身の8割以上を切り離した頭部のみの姿になった後,ほとんど元通りに全身を再生することに成功したのです。 このような能力をもつ進化的意義はまだ分かっていませんが,体内の寄生虫を排除するためではないかと推測されています。 もと記事リンク 論文
  • 【水産庁と日本いか連合がコラボ! 「イカペディア」計画,始動】 2023年3月1日
    イカについてもっとみんなに知ってほしい,そんな熱い思いで活動している組織「日本いか連合」の「いか伝道師」たちが,水産庁とコラボ! 水産庁公式ブログ内に「イカペディア」というコーナーが誕生しました。現在は「イカ図鑑」と「イカと言葉」のカテゴリーのみですが,これからどんどんコンテンツを増やし,イカの情報がギュッと詰まったイカ総合案内所的なサイトを目指すとのこと。「イカ」の文字がゲシュタルト崩壊してくる「イカづくし」な記事の数々,味わってみてはいかがでしょうか。 もと記事リンク イカペディア
  • 【カブトムシの幼虫はどうやって穴を掘るのか? 阪大が世界初の解明】 2023年3月1日
    カブトムシの幼虫は,一見すると土の中で穴を掘るのに適しているとはいえない姿をしています。ずんぐり太く,先端部が丸く,細く短い脚しかもたない幼虫は,どのようにして地面を掘り進むのでしょうか。 そこで,地中を疑似的に再現した装置に幼虫を入れて観察したところ,柔らかい土ではミミズのような蠕動運動で進み,固い土では「連続的にでんぐり返りをする」ような回転運動によって進むという,予想外の結果が判明しました。土木分野などでの活用につながる可能性もありますが,研究チームは「それよりも,多くのカブトムシファンの子供たちが,より,生き物に興味を持ち,しかも,自分でも面白い発見ができるかもしれない,と希望を持つことの価値の方が,はるかに高いと思います」とコメントしています。 もと記事リンク 論文
  • 【霞ヶ浦に浮かぶ「沼のナタデココ」を食べてみた】 2023年3月1日
    茨城県の南東部に広がる霞ヶ浦の湖面に浮かぶ謎のナタデココのような塊…その正体は,「オオマリコケムシ」の群体でした。 オオマリコケムシは「外肛動物門」の生物で,北アメリカ原産の外来種。1.5ミリほどの個体が寒天のような物質を分泌して集まり,群体を作ります。記事に出てくるのは25センチほどですが,時には直径60センチほどにもなるのだとか。 そんなオオマリコケムシ,どんな味がするのでしょう? とりあえず茹でただけで食べてみた画像についているキャプションは「霞ヶ浦ゼリー」。果たしておいしく食べることはできたのでしょうか。実感のこもった動画付きの記事です。 もと記事リンク

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