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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.104>

1|光の進み方

 物体が見えるしくみ

 太陽や電灯といった物体が見えるのは,そこから出た光が私たちの目に入るためである。それ自身は光を出していない本や机などの物体が見えるのは,本や机などの物体に当たった光が表面ではね返って私たちの目にとどくためである(図2)。

 物体があっても真っ暗で光がない場合は,目が慣れて見えるようになることはない。また,物体と目の間で光がさえぎられる場合なども,見ることはできない。

図1 光源の例

電灯から出た光は,直接目にとどくか,本などの物体に反射して目にとどく。そして目と脳がはたらき,私たちは見えたと感じる。

図2 物体が見えるしくみ

 光の直進

 太陽や電灯などのように,自分で光を出す物体を光源という。図3(a)のように,小さな穴やすき間を通りぬけた光源からの光を見ると,光はまっすぐに進んでいることがわかる。これを光の直進という。光の進み方を調べるには,光の道筋を1本の光(光線)と考えるとわかりやすい。

(a)光の直進の模式図

(b)ブラインドを通った光は平行である

太陽や電球のように,あらゆる方向に光が広がる光源であっても,「光線」を考えると直進している。たとえば,ブラインドを通して壁に当たった日光の明るい部分からは,太陽光線が直進することがわかる。光は空気中だけではなく,水やガラスなどの中や,宇宙空間でも直進する。

図3 光源から直進する光線

光は透明な物体の中を直進する。線香のけむりや,石けん水で光が見えるのは,けむりの粒や石けんの粒に光が当たり,見えやすくなるからである。

図4 光の進み方
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.105>

 光の反射

 鏡に光を当てたときのように,光がはね返る現象を光の【反射】という。反射する前の光を【入射光】,反射したあとの光を【反射光】という。また,入射光や反射光が,鏡の面に垂直な線との間につくる角を,それぞれ【入射角】,【反射角】という(図5)。

 光の反射にはどのような決まりがあるのだろうか。

図5 入射光と反射光

 探究1   光の反射の決まり
方法

準備

鏡,洗たくばさみ(2),方眼紙,光源装置,分度器,ものさし


 注意!! 
 光源からの光を直接見ない。

① 方眼紙に直線を十字に引く。

② 一方の直線に沿って鏡を方眼紙に垂直に立てる。

③ 光を十字の中心に当て,光の道筋に×印をつける。

④ 鏡をはずし,×印を線で結ぶ。入射角と反射角をはかる。

結果
入射光と反射光の例

入射角を変えて反射角を測定します。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.106>

 反射の法則と鏡にうつる物体

 前ページ「探究1」を行うと,光の入射角と反射角の大きさは等しいことがわかる。これを光の反射の法則という(図6)。

 物体から反射した光が目に入ったとき,私たちは目に入ってきた光の延長線上に物体があると感じる。このとき,たとえ光の延長線上に物体がなくとも,私たちは物体が見えたと感じる。たとえば,鏡にうつった物体が見えたと感じるのは,鏡に反射した光が目に入るからである❶(図7)。

入射角=反射角

図6 反射の法則

図7 鏡にうつる物体(光源)の見え方


 注意!! 
 説明のための実験である。強い光を直接見てはいけない。

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Aの人は鏡の真上から見て,左の図をかいていると考えましょう。

Bの人からは,鏡にうつった光源の像が見えます。

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「光源」から出て鏡で反射した光は,鏡をはさんで対称の位置にある「光源の像」から出てきたように見える。

図8 鏡にうつる物体(光源)の見え方

❶ 鏡の大きさや位置,光の入射角によっては反射した光が目に入らず,物体は見えない。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.228>

資料 カーブミラーはどんな鏡?

 道路の曲がり角などに設置されているカーブミラーを見ると,ものが小さくうつり,家庭によくある鏡(平面鏡)よりも広い範囲が見えます。

 カーブミラーに使われている鏡は,表面が球面になってふくらんだ「凸面鏡」です。凸面鏡でも,反射の法則にしたがって,鏡の面に立てた垂直線に対する入射角と反射角が等しくなります(図(a))。ただし,球面になっているため,平面鏡に比べて広い範囲をうつして見ることができます。

 カーブミラーで広い範囲が見えることは,交通安全に役立ちますが,うつった像は形がゆがみ,ものが小さくうつるため距離感がつかみづらいという短所もあります。また,鏡と同じように左右が反転して見えるため,カーブミラー上にうつった自動車などが,どちらへ曲がろうとしているか勘違いしやすいので注意しましょう(図(b))。

(a)平面鏡で反射した光のようす

(b)カーブミラーにうつる像

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.107>

 物体から出た光が鏡にうつるとき,図8のように物体(光源)からの光が鏡で反射し,あたかも鏡をはさんだ対称❶の位置から光が直進してくるように見える。このように,実際にはそこにない物体があるように見えるとき,それを物体の【像】という。

 乱反射

 図9のように,スポットライトを浴びた舞台の人を,私たちはどの位置からでも見ることができる。しかし,光の反射の法則によれば,舞台の人で反射した光は決まった位置でしか見えないはずである。

 私たちの身のまわりにある物体の表面は,なめらかに見えても,拡大して見るとでこぼこしている。このため,物体に当たった光は,その表面でいろいろな方向に反射される。このような反射を【乱反射】という(図10)。この乱反射によって,光はあらゆる方向に広がるため,どの位置からでも物体を見ることができる。

図9 コンサートのスポットライト

(a)乱反射しない場合 鏡に光源からの光を当てると,反射する光の道筋以外は暗いままである。

(b)乱反射する場合 厚紙に光源からの光を当てると,光の当たった部分全体が明るく見える。

(c)拡大した厚紙の表面  紙の表面にでこぼこがあり,乱反射が起こる。

(d)厚紙の表面の乱反射 乱反射した光は,いろいろな方向に進むが,1つひとつの光線を見ると,反射の法則が成り立っている。

図10 乱反射のしくみ

(a)三面鏡 複数の反射で,自分の後頭部も見ることができる。

(b)万華鏡 伝統的な玩具で,内部の鏡により,飾りが無数に反射して見える。

図11 反射を利用した道具

❶ 1本の直線を折り目にして2つに折ったとき,折り目の両側の形がきちんと重なり合う図形を「線対称」な図形という。(小学校6年)

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.108>

 物体がずれて見えるとき

 図12のように,厚いガラスを通した物体がずれて見えることがある。これは光の性質と,私たちが物体を見るしくみに関係している。

 私たちは,図12(a)②のように,光の延長線上に物体がなくとも,そこに物体があるように感じる。これも,実際にはそこにない物体があるように見えるため,物体の像といえる。

(a)えんぴつの見え方

(b) (a)を上から見たときのえんぴつと目の関係

厚いガラスを通して見た物体は,(a)②の部分のようにずれて見える。このとき,①のように通常見た状態で目にとどく光と,②の光で道筋が異なる。

図12 ずれて見える物体と光の関係

 光の屈折

 光が物質と物質の境界面を通りぬけるとき,境界面で折れ曲がって進むことがある。これを光の【屈折】といい,屈折した光を【屈折光】という。入射光が境界面に垂直な線との間につくる角を【入射角】,屈折光が境界面に垂直な線との間につくる角を【屈折角】という(図13)。

図13 光の屈折

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生花をしていたときに,こんな現象を見つけました。

真っ直ぐな茎を水に入れたら,曲がって見えました。

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器に水を注いだら,底にある剣山❶が見えるようになりました。

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図14 光の屈折による現象

❶ 生け花のときに植物を立てるための道具。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.109>

 探究2   光の屈折の決まり
方法

準備

方形ガラス(または台形ガラス,半円形ガラス),方眼紙,光源装置,分度器,ものさし


 注意!! 
 光源からの光を直接見ない。

①方眼紙の上にガラスを置き,ガラスの形をうつし取る。

②光をガラスに当て,光の道筋に印をつける。

③ガラスをはずして印を線で結び,「入射角」と「屈折角」の角度をはかる。

④角度を変えて,②と③の操作を行う。

結果

(a)実験結果

(b)光の折れ曲がり方のスケッチ

空気→ガラスのとき

(c)入射角と屈折角の角度

ガラス→空気のとき

図15 実験結果の例
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.110>

 光の屈折の決まり

 「探究2」から,光が空気中からガラスに入るとき・出るとき,入射角と屈折角には次のような関係があることがわかる。また,水の場合もガラスと同じように屈折が起こる(図16)。

●空気→ガラス(水)のとき

 入射角>屈折角

●ガラス(水)→空気のとき

 入射角<屈折角

*境界面に垂直に光が入るときは,光は屈折せず直進する。

①は,光が空気から水へ進んでいるため,入射角が屈折角より大きい。②は,光が水から空気へ進んでいるため,入射角が屈折角より小さい。

図16 水面で屈折する光

図12②で,えんぴつがずれて見えるのは,えんぴつで乱反射した光が,ガラスと空気の境界面で屈折して目に入ってくるからである。このとき,目に入る光を延長した先に物体があるように見える。

図17 図12で起こる光の屈折

 全反射

 光が水中から空気中に進むとき,入射角をしだいに大きくしていくと,屈折角も大きくなる。そして,入射角がある角度を超えると,光は水と空気の境界面で全部反射される。このような反射を全反射という(図18)。

図18 全反射

入射角が,全反射の起こる角度より小さい場合,アのように入射光の一部が反射する。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.227>

資料 全反射の利用

 光の全反射を利用して,光を遠方まで伝達できるように作られたのが光ファイバーです。光ファイバーは髪の毛ほどの太さで,2種類のガラスの繊維でできています。光ファイバーの中に光を通すと,光は2種類のガラスの境界面で全反射をくり返しながら進んでいきます。

 光ファイバーは,光通信のケーブルなどに利用されています。

ペットボトルに穴をあけ,水が飛び出るようにする。飛び出る水にうしろからレーザーポインターの光を当てると,光は,飛び出る水の中で全反射をくり返し,水の中を進む。


 注意!! 
 レーザー光を直接見ない。

光ファイバーの原理

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.111>

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(a)のように,鉛筆の両端で反射した光が鏡に反射し,目に入ると考えると,物体をうつすのに必要な鏡の長さは,鉛筆の長さと同じである必要はありません。このように考えると,(b)で,自分の全身をうつすために必要な鏡の長さは,どのくらいになるでしょうか。

(a)鏡にうつる鉛筆の見え方

(b)鏡にうつる自分の見え方

図19 物体をうつすために必要な鏡の長さ

自転車の反射板には,車がどの位置からライトを照らしても,もとの位置に光をもどすはたらきがある。

反射板は,たがいに直角に組み合わさった小さな3面の反射板の組み合わせでできている。このつくりにより,さまざまな方向から光が入ってきても,多くの場合,光が3回反射して,入ってきた方向にもどる。このようなつくりの反射板をコーナーキューブという。

直角に2枚組み合わせた鏡で,実験してみましょう。光の進み方がわかります。

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図20 光の反射の利用

p.108図14(a)のように,水中の茎は曲がって見える。(b)のように水を入れると,底が浅く見える。水中から空気中に光が出ていくとき,光は空気との境界面で屈折するためである。

図21 光の屈折による水中の物体の見え方

水そうを下から見上げると,図18のように,水面で全反射が起こり,水面が鏡のようなはたらきをする。なお,上図では,水そうのガラスの部分での屈折は省略している。

図22 全反射で金魚が見えるとき
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.112>

10 白色光と色の成分

 太陽や電灯の光は白色光とよばれ,いろいろな色の光をふくんでいる。白色光をプリズム(三角柱のガラス)に通すと,いろいろな色の光が分かれる(図24(a))。これは,光の入射角が同じでも,色によって屈折角がわずかにちがうからである。

 私たちが見ている色も,白色光にふくまれる色の光が関係している。図25(a) では,赤色の光が紙の表面で強く反射され,それ以外の色の光の多くは紙の表面で吸収される。このため,紙が赤色に見えている。

図23 水そうを通った光が虹色になる

(a)プリズム

(b)虹 空気中の水滴がプリズムのようなはたらきをして,太陽光がいろいろな色に分けられたために虹が見える。

図24 光の屈折によって分かれる色

(a)赤色の紙に白色光を当てたとき

(b)青色の紙に白色光を当てたとき

(c)緑色の紙に白色光を当てたとき

(d)白色の紙に白色光を当てたとき

図1 物体の色と反射 

(d)白色の紙は,すべての色を反射している。

ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

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