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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.10>

1|生物の観察と分類

1 生物の観察

 春になると,学校などの身のまわりの場所で,さまざまな生物が見られるようになる。ここでは,それらを対象にして探究1を行い,科学の基礎となる大切な力を身につけよう。その力とは,いろいろな視点で,ものやできごとを注意深く観察し,それを正確に記録することである。

屋外に出て,気になる生物を観察しましょう。

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 探究1   生物の観察

準備

図鑑,筆記用具,ルーペ,巻き尺,カメラ

観察A 観察地図をつくる

校庭や学校のまわりでは,どのような生物がどのような場所(環境)に見られるのだろうか。

① 校庭の地図を用意し,調べる場所を各班で分担する。

② 見つけた生物を記録用紙に記入する。

③ 見つけた場所のようすも記入する。

観察B 観察レポートをつくる

1種類の生物をくわしく調べると,どのようなことがわかるだろうか。

レポートのかき方について,タンポポを例にして次ページから示しています。また,生物を細かく観察したいときは,ルーペや双眼実体顕微鏡という器具を使います。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.208>

基本操作 スケッチのしかた

●生物の特徴をスケッチに残そう。

① 鉛筆をよくけずり,細い線や点ではっきりとかく。

② 対象とするものを正確にかく。背景やルーペの視野を示す丸いふちはかかない。

③ 動きやにおい,色など,スケッチだけでは表せないことは,言葉で記録する。

美術の絵のかき方とはちがうことに気をつけましょう。はっきりとした線でかきます。

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いちいちスケッチするより,写真にとっておくだけの方が楽じゃないですか?

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スケッチには,必要な特徴だけをほかの人にわかりやすく伝えるという目的があります。写真だと多くの情報があって,何も知らない人は,どこを見てよいかわかりません。写真とスケッチの両方あるとよいですね。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.11>

 校庭や学校のまわりなどで,前ページ「探究1」を行うと,身のまわりにはさまざまな場所があり,それぞれの場所で多様な生物が見られることがわかる。また,各生物の特徴を観察して記録していくと,共通しているところや,ちがうところがわかってくる。

観察のポイント1 まわりのようす

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たとえばタンポポを見つけたとします。いきなり細かなところを観察せずに,タンポポが生えているまわりのようすに気をつけましょう。

タンポポは日なたに多いように見えます。

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観察のポイント2 全体のすがた

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観察する生物の全体の形を確認しましょう。さわってみたり,においをかいでみたりすることも大切です。

タンポポの葉は地面に広がっていて,花の茎だけが高く伸びているね。

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観察のポイント3 細かな特徴

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タンポポは花びらがたくさんあるのだと思っていました。

これがタンポポの1つの花です。ふだん花とよんでいる部分は,たくさんの花の集まりでできています。「花弁」とは小学校で「花びら」とよんでいた部分です。

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観察のポイント4 似た種類の意識

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タンポポのように見えても,細かな特徴をよく観察するとちがう種類かもしれません。ちがいに気がついたら図鑑などで調べてみましょう。

花はタンポポによく似ているけれど,1本の茎から花がいくつも出ていたり,花が白かったりするね。種類がちがうんだね。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.208>

基本操作 野外調査の注意点
  • 野外に出るときは,服装や危険な生物に注意する。服装は,長そで,長ズボン,ぼうしを身に着け,すり傷や虫(カやダニ)などを防ぐ。
  • かぶれる植物を知り,さわらないようにする。
  • ハチが飛んできても動かずにやりすごす。追いはらおうとしたり,走って逃げたりすると,ハチを刺激して刺される可能性が高まる。
  • ヘビを見かけたら,近寄らずに迂回する。害のない種類がほとんどであるが,マムシやハブは特に危険である。

チャドクガ

ススメバチ

ウルシ

ハゼノキ

調査の服装の例

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.209>

基本操作 ルーペの使い方

① レンズを目に近づけて固定する。

② 観察するものを前後に動かして,よく見える位置を探す。

ルーペは持ち運びに便利である。倍率はルーペに記してあり,5〜10倍である。

観察するものが動かせないときには,顔を前後に移動させます。

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 注意!! 
 ルーペで太陽を見たり,観察するものを太陽の方にかざしてルーペで見たりしてはいけない。失明の危険がある。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.209>

基本操作 双眼実体顕微鏡の使い方

双眼実体顕微鏡は倍率が20〜40倍で,ルーペで見るには小さすぎる試料の観察に適している。また,2つの接眼レンズと対物レンズをもつので,両目で立体的に観察できる。

① 左右の2つの接眼レンズの間隔を自分の目の間隔に合わせる。

② 粗動ねじをゆるめて鏡筒ごと上下させ,ピントをおおまかに合わせる。

③ 右目の視力に合わせてピントを調節するため,右目だけでのぞき,微動ねじを回して観察する部分がはっきり見える位置に合わせる。

④ 左目の視力に合わせるため,左目だけでのぞき,視度調節リングを回す。右目の場合と同じ部分がはっきり見えるようにする。


 注意!! 
 持ち運ぶときは両手でしっかりと持つ。


 ポイント 
 

ステージは取り外しができ,片面は黒く,もう一方の面が白い。試料が見やすい面を使う。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.16>

 生物の分類

 私たちは,身のまわりのものに名前をつけたり,調べようとしたりするとき,自然になかま分けをしている(分類をしている)。生物を調べて記録するときも同じである。

 ここでは,理科として「分類する」という方法を身につけていこう。分類するときには,右のように【観点】と【基準】をもうける方法がある。この方法は,生物だけではなく,ものごとを分類するときに便利である。

 さらに細かく分類するときは,1つのグループの中で,新たな基準と観点をつくる。たとえばあしがあるグループの中でも,あしが2本までか,3本以上かで分けると,グループを細分していくことができる。

①  「あしの数」など,生物によって共通しているところや,ちがうところが見つかる特徴を選ぶ。このように,分類をするときの特徴を観点とよぶ。

②  その観点に基づいて,なかま分けするときの区切りを決める。この区切りを基準という。分類をするときは,まず,基準によって2つになかま分けできる観点を決めると整理しやすい。

③  「あしがある・ない」を基準とすると,二分することができる。

④  あしの数を「2本まで,4本以上」と具体的な基準にすると,「あしがある」グループをさらに分けることができる。

⑤  一度観点と基準を設定してみて,うまく分類できないときは,観点と基準を変えて,ほかの分類方法を試してみる。

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1つのグループを,さらに,「飛べる・飛べない」「水中にすむ・陸上にすむ」など,どんどん細かく分類していくことができますね。

そうですね。それが細かく分類していく方法のひとつです。ただし,ほかの人も納得しやすく整理されているか,観点や基準の適切さも考えましょう。

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図1 ものがたくさんあるときに見られる分類

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身のまわりでは目的に応じていろいろな分類が行われています。

どのような観点と基準が用いられているでしょうか。考えてみましょう。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.17>

 身のまわりの生物を調べ,観点と基準について理解しながらどのように分類できるだろうか。

 探究2   生物を分類する
気づき

池やそのまわりで,生物を探しました。

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コイ

イチョウ

ハチ

ツツジ

カエル

タニシ

アオミドロ

シロツメクサ

ゼニゴケ

ドブガイ

オシダ

キノコ

カメ

スジエビ

アメンボ

ネコ

ミミズ

ハト

マツ

オタマジャクシ

課題

身のまわりの生物は,どのように分類できるか。自分なりの観点・基準で分類してみよう 。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.18>

 探究2   結果から考察する

ここでは,結果と考察の例を示していきます。

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結果

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生物の特徴を調べて,観点ごとにまとめました。

項目が多いときは,表を作ってまとめるといいよね。

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考察

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「動きまわるか」という観点で「動きまわる・動きまわらない」という基準をもうけると,「タンポポ」「オシダ」「アサリ」が同じなかまになるね。

大きなグループを考えるときには「緑色かどうか」という観点を優先したほうがいいね。

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ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

  • 【今,タンポポは雑種だらけ!?タンポポ見分け散歩に参加した】 2023年3月1日
    多くの人にとって身近な春の花,タンポポ。 花の下にある「総苞片」が反り返っているものは外来のセイヨウタンポポ,ということは比較的知られていますが,現在の日本の都市部で見られるタンポポは,実はタンポポセイヨウタンポポと在来のタンポポの3倍体雑種や4倍体雑種が大半です。文一総合出版のハンドブックシリーズ「タンポポハンドブック」の著者・保谷彰彦さんと,実際にタンポポを観察し,見分けながら歩いたレポートです。 もと記事リンク
  • 【九州大学がリアルすぎる「3Dデジタル生物標本」1400点以上を公開!】 2023年3月1日
    360°自由にぐるぐる動かせて,細かいところまでズームで拡大することができる高精細な3Dデジタル生物標本が1400点も一挙に公開されました。 公開されたデータは,生鮮時のカラフルな状態で,魚などの水生生物を中心に,昆虫や植物など幅広い種類の生物が含まれています。公開されたデータのほとんどは,CC BY 4.0ライセンスのもと,誰でも自由にダウンロード・利用できます。 この驚異的なデータベース,なんとたった一人の研究者の手によって作成されています。九州大学の同僚の生物学者たちが口々に「変態」と讃える鹿野雄一特任准教授の凄技,ぜひ一度ご覧あれ。 もと記事リンク 生物標本
  • 【新種発見に備えろ! 生き物好きにおすすめ「学名生成ツール」】 2023年3月1日
    「もしも新種の生物を発見したら,どんな名前をつけよう?」 生物好きならきっと一度は夢想したことがあるでしょう。身近な場所に大発見が潜んでいるかもしれないし,過去には国立科学博物館で新種のハチのネーミングキャンペーンが行われたこともあり,ひょっとしたらあなたも新種の名づけに関わることがあるかもしれないのです。 そんな「もしも」の時にも役立つ「学名生成ツール」が公開されました。選んだ言葉を入力項目に入れ,いくつかの必要事項を選択すると,学名に使われているラテン語での表記が完成します。いろいろな言葉を入れてみて結果を比べてみると,図鑑の学名を見るときの味わいが増すでしょう。もちろん,もし学名を考えることになっても,準備はばっちりです。 もと記事リンク
  • 【その生き物,採っても大丈夫? 分かりやすい解説本が出ました!】 2023年3月1日
    名前が分からない生き物を調べようと持ち帰りSNSにアップしたら,実は天然記念物でSNSが炎上! 釣った魚を飼っていたら実は特定外来生物だった!……など,生物に関わる中で,法律を知らなかったがゆえにトラブルとなるケースが起こっています。生き物を採取したり飼育したりする行為には,「種の保存法」「外来生物法」や,「文化財保護法」「漁業法」,それに各地の条例などが関わっており,法律を知らないと思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。 この本は,そのような生き物に関わるさまざまな法律を分かりやすく解説した一冊です。科学部の顧問など,生徒とともに生き物と関わる方には特におすすめです。 『いきもの六法 日本の自然を楽しみ、守るための法律』 中島慶二監修/益子知樹監修/山と溪谷社いきもの部編 山と渓谷社 2022年3月25日発売 ¥1,980(税込) ISBN 9784635590518 もと記事リンク
  • 【図鑑を見ても,生物の名前が分からないのはなぜ?】 2023年3月1日
    生物のことを深く知りたい,と思ったとき,多くの場合,その生き物の名前を調べること(同定)が必要となります。 生物に詳しい人は,見れば「なんとなく」あの仲間だな,ということが分かってしまい,それを言語化することが難しい。一方で分からない人からすると,どこを見ればいいのか,差はあるがこれは個体差なのか種間の差なのか…無数のつまづきがあって,結局「分からない」となってしまいがちです。 どのようにして「同定」という作業がなされているかを丁寧に言葉にしたこの本は,「科学」の見方・考え方を獲得する過程が言語化されているといえるでしょう。 『図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか? どうしても名前を知りたい! 進め!同定の道』 須黒達巳 著 ベレ出版 2021年12月 ¥2,200(税込) ISBN:978-4-86064-676-9 もと記事リンク

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