※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.139>
2|力のつり合い
1つの物体に2つ以上の力がはたらいても,物体が動かないで静止しているとき,物体にはたらく力は,つり合っているという。このときの力の条件を,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究8 力のつり合い
ばねにつるしたおもりは,重力で下に引かれている。それでも落ちないということは,引き上げる力がはたらいているはずだね。
p.131図2の㋒「物体が支えられている」とき,力がはたらいているのに物体が動きません。その例として,図15の綱引きでは,両側に引く2つの力(2力)がはたらいた綱が,どちら側にも動かないことがあります。
物体に2力がはたらいても物体が動かないとき,2力の向きや大きさにはどのような関係があるか。
綱引きの場合は,両方から引っぱっているから逆向きの力がはたらいているはず。
力の大きさが同じでないと,物体はどちらかに動いてしまうよね。
物体にはたらく力の矢印を2つかいたら,考えやすくなるかな。
引っぱる方向が逆向きであるかどうかは,どのように記録したらよいだろう。
力の大きさをはかるにはばねばかりが必要だね。
身のまわりには,複雑な形の物体もあるよね。それでも実験できるのかな。
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.140>
準備
厚紙(いろいろな形に切り,いくつか穴をあけたもの),直方体,糸,記録用紙,ばねばかり(2)
1.いろいろな形に切った厚紙を引いて調べる
① 厚紙の2つの穴に糸をつけ,厚紙が動かなくなるまでばねばかりで左右に引く。
② 厚紙が動かなくなったら,記録用紙に次のことを記録する。
- 力の大きさ(ばねばかりの目盛り)を読み,記録する。
- 力の向き(糸の方向)をうつしとる。
- 厚紙の位置と力の作用点(穴の位置)をうつしとる。
③ 糸をつける穴を変えて,①〜②の操作をくり返し,記録をとる。
2.直方体を押して調べる
押し棒をつけたばねばかりで直方体を左右から押したとき,直方体が動かない力の加え方を見つけ,このときの力の関係を記録用紙に記録する。
- 方法1では,両側から厚紙を引くと回転するが,あるところで静止した。
- 方法2では,直方体を押すと回転して止まらないが,押す場所を変えると静止した。
- 物体が動かなくなった状態で,記録用紙にかきこんだ結果は図16のようになった。
1Nを何cmと決めたのか,忘れずに書きこみましょう。
物体を2力で引っぱったときも押したときも,物体が静止するときは,次の3つの条件がそろっている。
- 2力は一直線上にある。
- 2力の大きさは等しい。
- 2力の向きは反対である。
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.141>
1つの物体にはたらく2力がつり合うのは,図17の3つの条件がそろったときである。
私たちの身のまわりで,ある物体が動いていないとき,その物体には2力がはたらいていることが多い❶。
① 2力は一直線上にある。 ② 2力の大きさは等しい。 ③ 2力の向きは反対である。
(a)おもりが動いていない
↓
おもりが支えられている
↓
おもりに2力がはたらいている
↓
2力を見つける(重力・引かれる力)
↓
重力は物体の中心に作用点・引かれる力は支えられるところ(フック)に作用点
(b)箱が動いていない
↓
箱が支えられている
↓
箱に2力がはたらいている
↓
2力を見つける(重力・押し上げられる力)
↓
重力は物体の中心に作用点・押し上げられる力は支えられるところ(手)に作用点
(c)照明器具が動いていない
↓
照明器具が支えられている
↓
照明器具に2力がはたらいている
↓
2力を見つける(重力・引かれる力)
↓
重力は物体の中心に作用点・引かれる力は支えられるところ(ひも)に作用点
(b)の矢印は本来同一直線上にあります。矢印が重なってしまうと見えづらいので,ここでは少しずらして示しています。
❶ 3つ以上の力がはたらいていることもある。