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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.144>

4|重さと質量

 地球上では,同じ物体の重さ(はたらく重力の大きさ)は,どこでもほぼ同じである❶。しかし,宇宙空間にある国際宇宙ステーションの中では,物体の重さがない無重量状態になる(図25)。また,地球より重力が小さい月面上では,ばねばかりが示す物体の重さは地球上の約6分の1になる(図26)。

 このように,物体の重さは場所によって変わるが,物体そのものの量が変わるわけではない。場所がちがっても変わることのない,物体そのものの量を【質量】という。質量の単位は【グラム】(記号g )や【キログラム】(記号kg)である。

物体そのものの量は変わらないが,見かけ上重力がはたらかない状態(無重量状態)になり,重さがなくなったように感じる。

図25 国際宇宙ステーション(上) とその中の無重量状態(下)

地球上と月面上で,ばねばかりと上皿てんびんを使って,同じ物体をはかったときを考える。質量600gの物体は,上皿てんびんではかると,地球上でも月面上でも600gの分銅とつり合う❷。一方,ばねばかりではかると,地球上では6Nの重さだが,月面上では約6分の1の1Nの重さになる。

図26  地球と月で質量や重さをはかる

日常生活では,物体の質量が大きければ,はたらく重力(重さ)も大きく感じ,小さければ小さく感じるので,質量と重さを区別しなくてすむことがほとんとです。しかし,科学では,重さ(はたらく重力の大きさ)と質量は区別します。

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❶ 質量に比例した大きさの重力がはたらく。

❷ 空気の効果を無視したとき。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.231>

資料 質量の基準が変わりました

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質量をはじめとして,正確な量をはかることは,日常生活でもとても大事です。もし,100gという表示の同じ商品が,実はまちまちだったら不公平ですね。1回の分量が決められている薬が,実は多かったら,害が生じるかもしれません。

●てんびんと質量

 探究活動で使われている上皿てんびん(図(a))は,左右の皿にはかりたい物体と分銅をのせ,質量が同じならば,てこがつり合うしくみです。分銅は,10g,5g,1g,100mg,10mgなどがいくつかずつ用意されていて,つり合ったときの分銅の質量の合計がはかった物体の質量です。

(a)上皿てんびんと分銅 てこの支点から等しい距離に皿があり,両側にかかる力の大きさが等しいとつり合う。分銅はきずついたり汚れたりして質量が不正確にならないよう,慎重にあつかう必要がある。

●質量の基準となる分銅をどうつくるか

 1kgという単位は世界共通です。そのもとになる重さは,人がつくった,ある分銅でした。かつて「国際キログラム原器」(図(b))という特別な分銅が世界に1つだけつくられ,この質量が1kgであると定められたのです。また,各国用に原器が複製されて,それぞれの国で正確な分銅を製造するときの基準とされてきました。

 ところが,長い年月の間の劣化で国際キログラム原器がごくわずかに変化していることがわかり,問題になりました。そして,2018年,物理学の理論にもとづいた新しい質量の定義への変更が国際的に決定されました。日本でも,この理論にもとづく質量測定実験を行い,質量の基準となる新しい分銅をつくりました(図(c))。現在ではこれらをもとに,日本で使う分銅が製造されています。

(b)国際キログラム原器

(c)新しい質量の基準 日本では,シリコン(ケイ素)の結晶でできた完全な球体を作製し,この球体をもとに,新しい質量の基準がつくられた。

●電子てんびんで質量をはかれるのはなぜ?

 ばねばかりは,フックの法則を利用して力の大きさをはかる道具で,重力の大きさ(重さ)をはかることができます。台ばかり(p.132)もばねばかりの一種で,本来ならば重さをはかることしかできません。しかし,質量の単位であるgの目盛りをつけ,質量をはかる道具としても使われていて,日常では困ることはありません。

 電子てんびんも,ばねばかりの一種です。というと重さをはかっているようですが,電子てんびんを製造するときは,分銅を使って,正確な質量の値を示すように調整されます。また,科学者が精密な実験に使用する電子てんびんの中には,分銅が内蔵されている形式もあります。このようなしくみであれば,たとえ月面上であっても,常に正確な質量を示します。

電子てんびんにデジタル表示された数字を見たとき,本当に正確だろうかと感じたことはありますか?そんなときも,分銅を電子てんびんにのせることにより,表示が正確であるか確認することができます。

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練習問題

ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

  • 【地球の重さは「6ロナグラム」 計量単位に接頭語4種追加】 2023年3月1日
    キロ,メガ,ギガ,ミリ,マイクロ,ナノ……これらは10のべき乗で表されるような大きな量や小さな量を端的に表す接頭語で,世界共通の国際単位系(SI)です。 これまでは10の24乗(ヨタ)が最大の接頭語でしたが,今年,31年ぶりに10の27乗を表す「ロナ」,10の30乗を表す「クエタ」,10のマイナス27乗を示す「ロント」,10のマイナス30乗を示す「クエクト」の四つが新たに制定されました。これは世界中で増大し続けるデジタル情報量を表すのに「ヨタ」では対応しきれないことが背景にあります。新しい接頭語で表現すると,地球の重さは約6ロナグラム(6×1027グラム)になるそうです。 もと記事リンク SIパンフレット(日本語)

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