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2|鉱物と岩石
1 鉱物
次の「探究2」のようにして火山灰を観察すると,色や形,大きさなどのちがう粒があり,その中には規則正しい形をしたものが見られる。
探究2 火山灰にふくまれる粒
準備
火山灰(2〜3種類)または園芸用の鹿沼土や赤玉土❶など,蒸発皿,ペトリ皿,柄つき針,ルーペまたは双眼実体顕微鏡
❶ 鹿沼土も赤玉土も火山灰である。
① 火山灰を蒸発皿に入れ,指で押しつぶすようにして洗い,にごった水を捨てる。
② ①を何度もくり返し,水がきれいになったら乾燥させる。乾燥したものをペトリ皿に移す。
③ ルーペや双眼実体顕微鏡で,鉱物の色や形を観察し,スケッチする。
ポイント
火山灰を洗うときは,にごった水を静かに捨てる。
注意!! にごった水の捨て方については,先生の指示にしたがう。
- 黒っぽい鉱物と白っぽい鉱物があった。
- 鉱物には,箱のような形,針のような形などがあった。
- 鉱物はどれも角ばっていた。
ねばりけの大きいマグマからできた火山灰(a),ねばりけの小さいマグマからできた火山灰が(b)です。比較して何かちがいがわかるでしょうか。
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基本操作 ルーペの使い方
① レンズを目に近づけて固定する。
② 観察するものを前後に動かして,よく見える位置を探す。
観察するものが動かせないときには,顔を前後に移動させます。
注意!! ルーペで太陽を見たり,観察するものを太陽の方にかざしてルーペで見たりしてはいけない。失明の危険がある。
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基本操作 双眼実体顕微鏡の使い方
双眼実体顕微鏡は倍率が20〜40倍で,ルーペで見るには小さすぎる試料の観察に適している。また,2つの接眼レンズと対物レンズをもつので,両目で立体的に観察できる。
注意!! 持ち運ぶときは両手でしっかりと持つ。
ポイント
ステージは取り外しができ,片面は黒く,もう一方の面が白い。試料が見やすい面を使う。
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火山灰の中に見られる規則正しい形の粒を【鉱物】といい,マグマが冷えて固まるときにできた結晶❶である。火山灰に見られる鉱物は,白っぽい鉱物(無色鉱物)と,黒っぽい鉱物(有色鉱物)に分けることができる(図7)。無色鉱物には,セキエイ,チョウ石,有色鉱物には,クロウンモ,カクセン石,キ石,カンラン石,磁鉄鉱がある。
一般に,ねばりけの大きいマグマからは無色鉱物が多くできて,火山灰は白っぽくなる。一方,ねばりけの小さいマグマからは有色鉱物が多くできて,火山灰は黒っぽくなる。
宝石の多くは,マグマにふくまれる成分からできた鉱物です。特にきれいな結晶は,みがかれて宝石としてあつかわれます。また,削り方にも技術があり,光が多く反射して,キラキラするようにくふうされています。
❶ いくつかの面に囲まれた規則正しい形の固体を結晶(→p.73)という。塩化ナトリウムをはじめ,いろいろな物質が結晶をつくるが,マグマ(主に二酸化ケイ素でできている)からも結晶ができ,それが鉱物である。
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2 火成岩
マグマが地表や地下で冷えると,鉱物などの集まりである岩石になる。このような岩石を【火成岩】という。
火成岩は大きく2種類に分けられる。マグマが地表あるいは地表付近で,短い間に冷えて固まった岩石を火山岩という。また,マグマが地下深いところで長い時間をかけて冷えて固まった岩石を【深成岩】という(図8)。
火山岩などで,肉眼でも見える大きな鉱物を【斑晶】といい,斑晶を取り巻く小さな粒の部分を【石基】という。火山岩のように,斑晶と石基からできている岩石のつくりを【斑状組織】という。一方,深成岩は,主に肉眼で見える大きさの鉱物でできている。このような岩石のつくりを【等粒状組織】という。
図8 火成岩の例
火山の活動が盛んで,火山噴出物の量が侵食の度合いを上回っていると,その火山は大きく発達していきます。活動が止まると,侵食だけがはたらき,火山は平坦になっていきます。
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火成岩といっても,図10のように見た目はさまざまであり,特徴にもとづいて,いくつかの観点と基準で分類されている。火成岩の特徴を調べて,どのように科学的に分類することができるだろうか。
探究3 火成岩のつくり
安山岩と花こう岩について,比較してもっとくわしく調べましょう。
図10 安山岩と花こう岩
安山岩や花こう岩の色合いと組織のちがいは,何が原因か。
岩石が灰色ということは,鉱物が灰色なんじゃないかな?
花こう岩のほうは,鉱物が肉眼で見えるほど大きい。安山岩と,マグマの冷え方がちがうんじゃないかな?
それなら,マグマがゆっくり冷えると,鉱物が大きくなるんじゃない?
それも実験してみよう。
まずは,いろいろな岩石を観察してみよう。火山岩と深成岩を比較すれば,ちがいがよくわかるね。
岩石の表面を平らに,きれいにしておこう。でこぼこだと,うまく観察できないね。
鉱物を観察したときと同じ道具をそろえておけばよいかな。
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観 察 A
準備
安山岩,花こう岩など(面をみがいたもの),ルーペまたは双眼実体顕微鏡
1.岩石の組織を観察する
① みがいてある岩石の面を,ルーペまたは双眼実体顕微鏡で観察する。
② 鉱物の色や形,鉱物の大きさや集まり方に注意してスケッチする。
ポイント
いくつかの火成岩で,結晶の種類やつくりを観察する。
ポイント
- 火成岩をつくる鉱物はおおよそ何種類くらいか。
- 火成岩の色のちがいは,なぜできると考えられるか。
花こう岩と安山岩は,石材として一般的な岩石ですが,組織も色合いも異なります。A〜Dの岩石は,組織か色合い,どちらか一方をそろえて比べることを重視しています。
AとBを比べる…組織が異なり,色合いが同じ。
AとCを比べる…組織が同じで,色合いが異なる。
CとDを比べる…組織が異なり,色合いが同じ。
BとDを比べる…組織が同じで,色合いが異なる。
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基本操作 ルーペの使い方
① レンズを目に近づけて固定する。
② 観察するものを前後に動かして,よく見える位置を探す。
観察するものが動かせないときには,顔を前後に移動させます。
注意!! ルーペで太陽を見たり,観察するものを太陽の方にかざしてルーペで見たりしてはいけない。失明の危険がある。
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基本操作 双眼実体顕微鏡の使い方
双眼実体顕微鏡は倍率が20〜40倍で,ルーペで見るには小さすぎる試料の観察に適している。また,2つの接眼レンズと対物レンズをもつので,両目で立体的に観察できる。
注意!! 持ち運ぶときは両手でしっかりと持つ。
ポイント
ステージは取り外しができ,片面は黒く,もう一方の面が白い。試料が見やすい面を使う。
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観 察 B
準備
ビーカー,ペトリ皿(2),ミョウバン,水,湯,氷,バット(2),発泡ポリスチレンの容器
1.結晶と温度の関係を考察する
① ミョウバンの飽和水溶液をつくる。飽和水溶液を,2つのペトリ皿 ㋐,㋑ に入れる。
② ペトリ皿㋐は,冷水に移して急に冷やす。ペトリ皿㋑は,湯につけてゆっくり冷やす。
ポイント
ペトリ皿㋐,㋑でできた結晶を観察し,特徴をスケッチする。
考察
ポイント
火成岩の組織のちがいは,なぜできると考えられるか。
観察Bは,結晶のでき方と,温度の下がり方の関係を調べる方法です。
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探究3 結果から考察する
- 安山岩には,キ石,カクセン石,チョウ石の斑晶が見られる。
- 花こう岩をつくる鉱物には,セキエイ,チョウ石,クロウンモなどがある。
- 黒っぽい岩石は,有色鉱物の粒の割合が多く,その結果黒っぽく見える。
- 岩石の全体の色合いと,岩石をつくる鉱物の種類には関係がある。岩石が黒っぽい場合は,有色鉱物の割合が多く,無色鉱物の割合が少ない。岩石が白っぽい場合は,有色鉱物の割合が少なく,無色鉱物の割合が多い。
- ミョウバンを冷やしたときの結晶の大きさから考えると,等粒状組織はマグマがゆっくり冷えたことを示していると考えられる。一方,斑状組織はマグマが急に冷えたことを示していると考えられる。
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3 鉱物と火成岩
火成岩はいくつかのグループに分けられており,まず火山岩か深成岩かによって区分できる。また,深成岩については,鉱物の種類と割合を肉眼で調べて細分することができる。
「マグマのねばりけが小さいほど」「有色鉱物が多く」「岩石が黒っぽくなる」ということですね。
ある深成岩を調べて,チョウ石が約60%,キ石が約40%であれば,「鉱物の割合」をもとに,せん緑岩の可能性が高い,というように判断することができます。実際は,よりくわしい調べ方があります。
図12 火成岩の分類
「鉱物の割合」は,代表的な岩石の種類と,その中の鉱物の割合の関係をおおまかに示している。必ずしもすべての岩石に当てはまるわけではない。
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資料 火成岩のまとめ
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【火星には「オパール」の原石が豊富に存在する】 2023年3月1日2012年から火星の表面で探査を続けているNASAの探査機「キュリオシティ」。この探査機が撮影した映像を新しい手法で分析したところ,火星の表面に「オパール」と考えられる物質が大量に存在することが判明しました。 オパールはシリカSiが水に溶けた後,析出したときにできる,水とシリカの化合物です。ここから,キュリオシティが探査しているクレーターの表面や地下にかつて大量の水が存在していたこと,またそこには生命が存在していた可能性が考えられます。 さらに,オパールからは容易に水が取り出せることから,将来の有人火星探査における水源としても期待されます。 もと記事リンク 論文
- 【糸魚川のヒスイ,「新潟県の石」になる!】 2023年3月1日ヒスイの美しい色は多くの人に愛され,現代のような交通機関のなかった古代にも全国的に流通していたことが分かっています。その最大の産地は新潟県の糸魚川です。 国内でもごく限られた地域でしか産出しないヒスイですが,糸魚川および周辺地域で採れるヒスイは90%以上がヒスイ輝石からなる純度の高いものが多く,宝石になるような透明度の高い美しいものが多産します。また,糸魚川市の大角地(おがくち)遺跡(縄文時代前期)からは,世界でもっとも古いヒスイ加工品が発掘されています。このような理由から,今年11月4日付で,新潟県の検討委員会により,県の石が「翡翠(ひすい)」に決定されました。 なお,ヒスイは日本鉱物科学会の投票により日本の「国石」にも認定されています。 もと記事リンク
- 【古代の方法で,勾玉を作ってみた】 2023年3月1日古代日本で作られていた装身具に「勾玉」があります。勾玉には,ヒスイやメノウ,水晶など,モース硬度7程度のかなり硬い石を用いたものがよく知られています。 そこで,疑問。「大昔の人は硬い石に一体どうやって穴をあけていたのか?」 この記事では,「濡らした竹ひごの先に石の粉を研磨剤として付け,両手で竹ひごをもむように回転させる」という方法で挑戦します。とりあえず石英(モース硬度7)を研磨剤として使うも,まったく歯が立たず。柘榴石(モース硬度6.5~7.5程度)の粉末に切り替えます。厚さ1センチの石(石英)に竹ひごを押し当て,ひたすら両手をすり合わせること,なんと20時間以上! 竹の棒でも穴があけられることを実証しました。なお,ダイヤモンドビットを使うと,手動でも8時間ほどで貫通したそうです。文明の力を感じます。 もと記事リンク