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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.226>

資料 物質の性質を粒子のメガネで見る

 1-2単元では,物質の性質を粒子モデルで考えるという見方・考え方を身に着けました。物質は,種類によって異なる性質の粒子でできています。物質の性質を粒子のふるまいで考えてみましょう。

 小学校で,とじこめた空気は押し縮めることができますが,水は押し縮めることができないことを学びました。これは,気体は粒子のすき間が大きく,押し縮められますが,液体は粒子のすき間がほとんどなく,それができないためです(a)。

 ほかにも,蒸発と沸とうのちがいは(b)のように説明できます。なお,液体の表面だけでなく,固体の表面からも気体になる状態変化は起こります。

 また,探究7で,エタノールを得られる割合が変化したことは,(c)のように説明できます。

(a)空気と水のちがい

水を加熱する前でも,水の表面からは,水の粒子が水蒸気(気体)になって空気中に飛び出している。この現象を「蒸発」といい,蒸発は水の温度に関係なく,いつも起こっている。

水の温度が100℃になると,液体の内部でも水の粒子が水蒸気の状態になり,水中から泡(水蒸気)が出てくる。この現象を「沸とう」という。

(b)蒸発と沸とうのちがい

最初は,たくさんのエタノールの粒子が気体になって空気中に飛び出している。

時間が経つと,徐々にエタノールの粒子が少なくなっていく。

(c)混合物の蒸発

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.227>

資料 全反射の利用

 光の全反射を利用して,光を遠方まで伝達できるように作られたのが光ファイバーです。光ファイバーは髪の毛ほどの太さで,2種類のガラスの繊維でできています。光ファイバーの中に光を通すと,光は2種類のガラスの境界面で全反射をくり返しながら進んでいきます。

 光ファイバーは,光通信のケーブルなどに利用されています。

ペットボトルに穴をあけ,水が飛び出るようにする。飛び出る水にうしろからレーザーポインターの光を当てると,光は,飛び出る水の中で全反射をくり返し,水の中を進む。


 注意!! 
 レーザー光を直接見ない。

光ファイバーの原理

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.227>

資料 身のまわりの凸レンズ

 身のまわりには,凸レンズの性質を利用したさまざまなものがあります。

 たとえば,虫めがねは実物より大きい虚像が見えることを利用しています。また,ヒトの目は網膜に実像ができます。デジタルカメラでは光を感じる装置(撮像素子)上に実像ができます。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.228>

資料 望遠鏡は凸レンズでできている

 図(a)のように,(ア)の凸レンズでスクリーンにうつした実像を,(イ)の凸レンズで虚像として見ると,実像は拡大されて見えます。このとき,スクリーンを取り除いても同じように見えます。

 このようなしくみを利用して作られた道具が望遠鏡です。図(b)のようにして,簡単な望遠鏡を作ってみましょう。

(a)望遠鏡の原理

(b)手作り望遠鏡


 注意!! 
 望遠鏡で太陽を見てはいけない。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.228>

資料 カーブミラーはどんな鏡?

 道路の曲がり角などに設置されているカーブミラーを見ると,ものが小さくうつり,家庭によくある鏡(平面鏡)よりも広い範囲が見えます。

 カーブミラーに使われている鏡は,表面が球面になってふくらんだ「凸面鏡」です。凸面鏡でも,反射の法則にしたがって,鏡の面に立てた垂直線に対する入射角と反射角が等しくなります(図(a))。ただし,球面になっているため,平面鏡に比べて広い範囲をうつして見ることができます。

 カーブミラーで広い範囲が見えることは,交通安全に役立ちますが,うつった像は形がゆがみ,ものが小さくうつるため距離感がつかみづらいという短所もあります。また,鏡と同じように左右が反転して見えるため,カーブミラー上にうつった自動車などが,どちらへ曲がろうとしているか勘違いしやすいので注意しましょう(図(b))。

(a)平面鏡で反射した光のようす

(b)カーブミラーにうつる像

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.229>

発展 音色も波形で表せる

 同じ大きさで高さが同じ音でも,音源がちがえば,ちがう音に聞こえる。これは,音源の「音色」がちがうからである。

 下の写真のように,楽器の音を波形で表すと,楽器によって特有の波形をしていることがわかる。この特有の波形がそれぞれの楽器の音色を表している。

 人の声も,人によって音色が異なるので,声を聞いただけで,だれの声なのかわかるのである。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.229>

資料 音で見る

 動物によって,聞くことのできる音の振動数の範囲は大きくちがいます。ヒトの場合,聞くことができるのは,20Hzから20000Hzです。ところが,イヌやネコはヒトよりも2 倍から3 倍の振動数の音(高い音)まで聞くことができます。ヒトが聞くことができない高い音(20000Hz以上)を「超音波」といいます。つまり,イヌやネコは超音波を聞くことができるのです。

 哺乳類の中でも,とりわけ振動数の多い超音波を聞くことができるのはイルカやコウモリです。イルカやコウモリは超音波を聞くことができるだけでなく,超音波を利用する能力をもっています。たとえば,コウモリは自分自身が50000Hzから90000Hzの超音波を出し,それがまわりの物体に当たってもどってくるのを聞いて,物体の位置や形をとらえています。

 超音波は,わたしたちも利用しています。病院で使われる超音波診断機は,人体の内部に超音波を出し,はね返ってきた超音波をとらえ,コンピュータが分析して,体内のようすを画像としてえがき出す機械です。これは,イルカやコウモリの超音波の利用ととてもよく似ているといえます。また,超音波は海洋では,魚の群れを探す探知機や,海底地形を調べる探知機などにも利用されています。

超音波診断機
超音波診断機で見た胎児
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.230>

資料 速さ×時間で遠くまでの距離を調べる

 遠く離れた物体までの距離をはかるために,光や音の速さが利用されています。いくつかの例を見てみましょう。

●月までの距離を光ではかる

 1969年に月面着陸を果たしたアメリカのアポロ11号の乗組員によって,月面にコーナーキューブ(→p.111)の反射板が設置されました。この反射板に向けて地球から光を照射して,反射してもどるまでの往復時間を測定し,光の速さから地球と月との正確な距離を求めています(距離=光の速さ×往復の時間÷2)。長年の観測により,月は年に3.8cmの割合で地球から遠ざかっていることがわかりました。

(a)月面に設置された反射板

(b)光で月までの距離を測る

●火山の膨張を光で調べる

 気象庁の火山観測所では,24時間体制で活火山の火山活動を観測しています。その観測のひとつは,山体の膨張をとらえることです。山頂付近にコーナーキューブを使った反射板を設置し,観測所からレーザー光を当て,光がもどるまでの時間をはかることで距離を求めます。マグマが上昇してくると山がわずかに膨張して距離が変わるので,山体の膨張をとらえることができます。

(c)三原山(伊豆大島)における観測のようす 山頂付近に設置した反射板にレーザー光線を発射して距離をはかっている。

●海底の地形を調べる

 水中では,光は遠くまで伝わりませんが,音は空気中よりもずっと遠くまで伝わるため,距離をはかるのには音が使われます。

 海底地形図をつくるときの海洋調査では,図(d)のように音の発生装置(圧縮した空気を一瞬で出すエアガン)から海底に向けて音を出し,海底で反射してもどる音を受信機でとらえることで,水中での音速から水深をはかります。また,振動数がより多い音に変えると,海底の堆積物の内部まで音が伝わり,よりかたい地層や岩石で反射してもどるので,海底の地下構造を調べることも可能です。

(d)音波で海底を調べるようす

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.231>

資料 質量の基準が変わりました

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質量をはじめとして,正確な量をはかることは,日常生活でもとても大事です。もし,100gという表示の同じ商品が,実はまちまちだったら不公平ですね。1回の分量が決められている薬が,実は多かったら,害が生じるかもしれません。

●てんびんと質量

 探究活動で使われている上皿てんびん(図(a))は,左右の皿にはかりたい物体と分銅をのせ,質量が同じならば,てこがつり合うしくみです。分銅は,10g,5g,1g,100mg,10mgなどがいくつかずつ用意されていて,つり合ったときの分銅の質量の合計がはかった物体の質量です。

(a)上皿てんびんと分銅 てこの支点から等しい距離に皿があり,両側にかかる力の大きさが等しいとつり合う。分銅はきずついたり汚れたりして質量が不正確にならないよう,慎重にあつかう必要がある。

●質量の基準となる分銅をどうつくるか

 1kgという単位は世界共通です。そのもとになる重さは,人がつくった,ある分銅でした。かつて「国際キログラム原器」(図(b))という特別な分銅が世界に1つだけつくられ,この質量が1kgであると定められたのです。また,各国用に原器が複製されて,それぞれの国で正確な分銅を製造するときの基準とされてきました。

 ところが,長い年月の間の劣化で国際キログラム原器がごくわずかに変化していることがわかり,問題になりました。そして,2018年,物理学の理論にもとづいた新しい質量の定義への変更が国際的に決定されました。日本でも,この理論にもとづく質量測定実験を行い,質量の基準となる新しい分銅をつくりました(図(c))。現在ではこれらをもとに,日本で使う分銅が製造されています。

(b)国際キログラム原器

(c)新しい質量の基準 日本では,シリコン(ケイ素)の結晶でできた完全な球体を作製し,この球体をもとに,新しい質量の基準がつくられた。

●電子てんびんで質量をはかれるのはなぜ?

 ばねばかりは,フックの法則を利用して力の大きさをはかる道具で,重力の大きさ(重さ)をはかることができます。台ばかり(p.132)もばねばかりの一種で,本来ならば重さをはかることしかできません。しかし,質量の単位であるgの目盛りをつけ,質量をはかる道具としても使われていて,日常では困ることはありません。

 電子てんびんも,ばねばかりの一種です。というと重さをはかっているようですが,電子てんびんを製造するときは,分銅を使って,正確な質量の値を示すように調整されます。また,科学者が精密な実験に使用する電子てんびんの中には,分銅が内蔵されている形式もあります。このようなしくみであれば,たとえ月面上であっても,常に正確な質量を示します。

電子てんびんにデジタル表示された数字を見たとき,本当に正確だろうかと感じたことはありますか?そんなときも,分銅を電子てんびんにのせることにより,表示が正確であるか確認することができます。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.232>

資料 火成岩のまとめ
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.233>

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火山が爆発的に噴火する原因のひとつは,マグマが地表付近までくると,中の火山ガス(主に水蒸気)が急に膨張するためです。炭酸飲料がふき出すしくみと似ています。

火山ガスが膨張するとき,周囲のマグマのねばりけが大きいほど,膨張したときに気体が逃げることができず,力が加わり続けて,あるとき一気に力が解放されます。これが爆発的な噴火です。ねばりけの小さいマグマでは,気体が逃げやすいので,このようにはなりません。

液体になったときの岩石のねばりけが大きい場合(左),小さい場合(右)

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炭酸水が発泡しているとき,泡がはじけて細かなしぶきがまわりに飛び散ります。噴火でもマグマがはじけて細かなしぶきとなります。それが,冷え固まってできるのが火山灰です。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.234>

資料 日本の活火山

 活動している火山を「活火山」といいます。ただし,数千年のもの間活動していなくても,再び活動を再開する火山もあり,私たちが生きている時間とは異なるスケールで考える必要があります。活火山の定義は何度も見直されてきており,現在では,「過去およそ1万年以内に噴火した火山や,現在活発に水蒸気など火山ガスの放出活動をしている火山」とされています。

 たとえば富士山は,江戸時代の宝永大噴火(1707年)の記録があり,「過去1万年以内」という活火山の定義に照らしてみれば,ごく最近まで噴火している火山です。今後も再び活動が活発になり,噴火が起こることが予想されています。そのため,周辺地域ではハザードマップ(自然災害の被害軽減や防災目的で,被災想定場所,避難場所・経路などを示した地図)などが準備されています。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.234>

資料 コンクリートと砂岩は似ていて異なる

 岩石は,建築・土木材料として古くから利用されてきました。現在では,天然の岩石よりもずっと便利な「コンクリート」が使われることが一般的です。コンクリートは天然の岩石ではありません。

 コンクリートの材料は,砂や小石と「セメント」です。セメントは,主に石灰石などをくだいて粉にしたあと加熱して変化させたものに,石こう(硫酸カルシウムを主成分とする鉱物)を加えたものです。

 セメントは,水を混ぜるといったんどろどろになりますが,時間がたつと熱を出しながら固まります。砂や小石にセメントと水を混ぜると,砂や小石のすきまをセメントがうめて固まり,砂や小石を接着してコンクリートになるのです。


 発展 

セメントが砂や小石の粒を接着するのとよく似た現象が自然界にも見られます。地層の堆積物の粒のすき間にある水は,鉱物の一部を溶かし,溶けた鉱物が長い年月の間に再結晶して固体になることで,堆積物の粒と粒をくっつけます。このはたらきを「こう結作用(またはセメント化)」といいます。こう結作用は,地下で押しかためられる「圧密作用」ととともに,堆積物のやわらかな地層をかたい堆積岩に変えるはたらき(続成作用)の一つです。

(a) 地層の堆積物は,粒のすき間に水を多くふくみ,地層はやわらかい。

(b) 圧密作用が進むと,堆積物の粒のすき間の水がわずかになる。

(c) こう結作用が進むと,粒のすき間を鉱物の結晶がうめて接着する。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.235>

資料 昔は見つからないと言われていた

●中生代の地層から出る恐竜化石

 恐竜は,中生代の約2億3000万年前に現れ,その後1億6000万年もの間世界中で栄えて,中生代の終わり(約6600万年前)とともに絶滅しました。

 日本では恐竜化石は見つからないと,かつて考えられたときもありました。しかし,1978年に岩手県ではじめて発見され,その後日本各地の中生代の地層で恐竜化石が次々と発見されていきました。

 その中でも,富山・石川・福井・岐阜の4県にまたがって,中生代にユーラシア大陸の沼地でできた日本で希少な地層があり,恐竜の全身骨格やあし跡など状態の良い化石が多く発掘されています。また,北海道の各地では,中生代に海底で堆積したと考えられる地層から多くの恐竜化石が発掘されてきました。さらに全国19道県にわたり,恐竜化石が発掘されています。

●趣味の発掘で発見された恐竜化石のボーンベッド

 恐竜化石の発見は現在も続いています。2021年に鹿児島県の獅子島では,趣味で化石採集をしていた一般男性によって,は虫類の骨と思われる大量の化石をふくむ地層が発見されました。骨や骨の断片の化石を大量にふくむ地層は「ボーンベッド(bone bed,骨の地層)」とよばれます。大学の研究者が調べたところ,この層の化石の多くは恐竜であることがわかりました。

 恐竜の化石が見つかった地層の多くは保護されて,一般の人が勝手に発掘することはできません。しかし,そのような地層でも,博物館などで化石発掘を体験できるもよおしを行うことがあります。実際に小学生や中学生が恐竜化石を発掘し,その化石が研究に重要なものであった例もあります。未発見の恐竜化石はまだまだ日本全国にうまっているようです。

フクイラプトル (全身骨格の復元) 推定全長約4.2mの肉食恐竜(福井県勝山市)

カムイサウルス 推定全長約8mの植物食恐竜(北海道むかわ町)

フクイサウルス (全身骨格の復元) 推定全長約4.7mの植物食恐竜(福井県勝山市)

タンバティタニス 推定全長約15mの植物食恐竜 (兵庫県丹波市)

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.236>

資料 海底はどこまで掘れる

 地層などの調査には,地中に金属のパイプ(筒)を差しこんで,地中深くの試料を連続して採取するという技術が使われています。

●ボーリング調査

 大きな建物を建てるときなどには,しっかりした地盤が必要です。また,地下に活断層があると地震が起きたときに直上の建物に大きな害をあたえるので,あらかじめ調べておく必要があります。地層のようすを調べるため,地面から地下にパイプをさして地層の試料を取り出す調査を「ボーリング調査」といい,取り出した試料を「ボーリング試料」といいます。

 ボーリング試料は,行った地点の真下のようすしかわかりませんが,複数の地点のボーリング試料を得ると,地層の広がりを推定することもできます。通常のボーリング調査で調べられるのは,地下100m程度までの深さです。

(a)ボーリングによる試料の例

●深海の地質調査

 ボーリング調査のような地下を掘削して行う地質調査には,科学的な研究目的によって,海底下を対象として深くまで行われることもあります。中でも,日本の地球深部探査船「ちきゅう」は,陸上でのボーリング調査に比べて,桁ちがいの深さまで海底下を掘り,調査することができます。(図(b))。深い海底に巨大なパイプを下ろすための大きなやぐらや,掘削機器をつんでいて,海底下3000m以上の深さに到達した実績があります。

 「ちきゅう」による海底下の地質調査により,2011年の東北地方太平洋沖地震を引き起こしたと考えられるプレート境界断層からの試料が採取されました。その試料やその他のデータの解析結果から,地震時のプレート境界断層がとてもすべりやすかったことがわかりました。

船上の大きなやぐらは,海底にパイプを下ろすための構造である。

(b)地球深部探査船「ちきゅう」

「ちきゅう」で使われる巨大なパイプ

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.237>

資料 震源・火山の分布からプレート境界がわかる
(a)地震が起こった場所・火山の位置

(b)世界のプレート

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.238>

発展 大地の変動をプレートの動きで説明する

 ドイツのウェゲナーは,大西洋をはさむ南米大陸の東の海岸線と,アフリカ大陸の西の海岸線が,まるで1つのものが2つに切り離されたような形になっていることに気づいた。そこで彼は,各地の大陸で共通する種類の化石が多いことなど,当時集められるかぎりの証拠をもとに,もともと1つであった大陸が分裂し,移動して現在の配置になったという「大陸移動説」を発表した。しかし,当時は大陸を動かす力をだれも説明できなかったので,この説は認められなかった。

 現在では,さまざまな研究や観測方法の発達により,プレートが動いてきたことが明らかになり,また,プレートが動く原動力は,主に,冷えた海洋プレートの密度が大きくなり,地球の内部へ沈みこもうとする力であることがわかっている。さまざまな大地の変化をプレートの動きで説明する考えである,「プレートテクトニクス」はこのようにして発展してきた。

 大陸はプレートにのって,図(a)のように動き,現在の位置にあると考えられている。たとえばインド大陸も最初から今の位置にあったわけではなく,南から北上してユーラシア大陸と衝突したことがわかっている(図(b))。このような活動の結果もち上がった部分がヒマラヤ山脈である。プレートは現在も動き続けているので,現在の世界地図は,何千万年,何億年先には大きく変わってしまうだろう。

ウェゲナー (1880〜1930年)

(a)大陸の移動

ヒマラヤ山脈では,中生代の海にすんでいたアンモナイトなどの化石が見つかる。これは,かつてインド大陸とユーラシア大陸のあいだにあった海の地層が押し縮められ,隆起してヒマラヤ山脈の一部をつくっているからである。

(b)インド大陸の移動
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.239>

発展 プレートの動きを海山列で知る

●西へ行くほど古いハワイ諸島

 太平洋の伊豆・小笠原諸島は,海洋プレートが海溝から沈みこんだところで生じたマグマの活動(p.192)によってできた火山による島々の列です。一方,太平洋の真ん中にあるハワイ諸島は,火山島が列をなしていますが,この列島の近くに海溝はありません。どうして火山列島ができたのでしょうか。

 この疑問を解くかぎは,島々の火山の年代のちがいにあります(図(a))。いちばん東のハワイ島は現在も活動する新しい火山がありますが,さらに西の島々は西へ行くほど活動した年代が古いことがわかっています。

(b)海山列のでき方

●プレートの運動によってできた火山列島

 ハワイ諸島のでき方は図(b)のように考えることができます。太平洋プレートの下にある熱源(ホットスポット)は,プレートをつきぬけてマグマを海底に噴出させ,海底火山をつくります。海底火山が成長すると,ハワイ島のように海上に出た火山島になります。

 ホットスポットはほぼ動きませんが,太平洋プレートは西へ運動しているため,ホットスポットとプレート上の火山の位置はずれていきます。火山の下にマグマがなくなると,その火山は活動を停止しますが,すぐ東の海底に新たな海底火山ができます。このようにして,長い年月の間に,次々と同じ場所で新しい海底火山ができ,古い海底火山や火山島はプレートの運動によって西へと運ばれ,海底火山や火山島の列ができます。

●運動の方向を変えた太平洋プレート

 ハワイ諸島の西の端から北へ向かって,天皇海山列という海底火山の列があり,北へ行くほど年代が古くなっています。天皇海山列も,ハワイ諸島とならぶ方向が大きく異なるのは,プレートの運動方向が4000万年ほど前に大きく変化したためと考えられています。

数値の単位は「万年前」で,火山が活動した時期のめやすである。

(a)ハワイ島とそれに続く海山列の地質年代

ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

  • 1-s2 2023年1月1日
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