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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.70>

2|細胞と個体

 植物と動物の細胞

 植物だけでなく,動物も細胞でできている。では,植物の細胞と動物の細胞はちがうのだろうか。それぞれの細胞を比べると,どのような共通しているところ,ちがうところが見つかるだろうか。

植物の例として,オオカナダモを使いましょう。オオカナダモの葉はうすいので,そのまま顕微鏡で細胞を観察できます。

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 探究2   動物の細胞と植物の細胞を比べる
方法

準備 

オオカナダモ,染色液(酢酸カーミン液,酢酸オルセイン液など),綿棒,顕微鏡観察用具

染色液を使うと,細胞の一部がよく染まり,細胞内部のつくりが観察しやすくなります。

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① ほおの粘膜,オオカナダモの葉をそれぞれ2枚のスライドガラスにとる。

ほおの粘膜

綿棒で口の内側を軽くこすり,スライドガラスにつける。

オオカナダモの葉

葉を1枚切り取り,そのままスライドガラスにのせる。

② ほおの粘膜,オオカナダモの葉の試料の一方には水を1滴たらし,もう一方には染色液を1滴たらして,プレパラートをつくる。

染色しない試料
染色する試料

③ それぞれのプレパラートを顕微鏡で観察し,スケッチする。倍率を100倍,400倍と変えて観察する。

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.246>

基本操作 (透過型)顕微鏡の使い方

一般的な顕微鏡では600倍くらいまで拡大できる。プレパラートを作成することで,試料の細かなつくりを観察できる。


 注意!! 
 持ち運ぶときは,片手でアームをしっかり持ち,他方の手で鏡台を下から支えて持つ。

光源には,照明装置を使う形式と,反射鏡に光源装置(蛍光灯など)の光を反射させて使う形式があります。

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① 対物レンズを一番低倍率にする。


 ポイント 
 

レンズがはずれている場合はレンズをはめる。このとき,接眼レンズ,対物レンズの順にはめて,鏡筒の中にごみが入らないようにする。レンズをはずすときは,対物レンズ,接眼レンズの順にする。

② <反射鏡式> 反射鏡としぼりを調節して,視野が均一に明るくなるようにする。

<照明装置式> 光源のスイッチを入れる。接眼レンズをのぞきながら明るさを調節する。


 注意!! 
 絶対に反射鏡に直射日光を当ててはいけない。強い光が目に入り,目をいためることがある。

③ プレパラートをステージにのせ,調節ねじを回して対物レンズとプレパラートをできるだけ近づける。


 注意!! 
 必ず横から見ながら行う。対物レンズをプレパラートにぶつけてこわすことがある。

④ 接眼レンズをのぞきながら,調節ねじを回し,プレパラートと対物レンズとの間を広げてピントを合わせる。しぼりで明るさを調節する。
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.247>

 プレパラートのつくり方

① スライドガラスに水を1滴落とし,水の上に試料を置く。水中の小さな生物などは,水ごと採取する。

② 気泡(空気の泡)が入らないように,カバーガラスを端から静かに置く。気泡があると観察するときにじゃまになる。

③ カバーガラスからあふれた水はろ紙で吸い取る。カバーガラスのまわりに水があると,対物レンズに水がついてしまうことがある。


 ポイント 
 

試料は光が透過するようにうすくする。光が通りぬけられないと観察できない。

 観察方法

●顕微鏡の倍率

接眼レンズの倍率と対物レンズの倍率をかけ合わせた値が顕微鏡の倍率になる。たとえば,接眼レンズの表示が「10×」で,対物レンズが「4×」であれば,顕微鏡の倍率は10×4で40倍である。

●試料の探し方

① 観察するときは,はじめに低倍率で観察する部分を探す。次に倍率を上げて観察する。低倍率の方が視野が広いので,観察する部分を見つけやすい。

② 試料を視野の中央にくるようにするとき,「プレパラートを手で動かす向き」と,視野の中で「試料が動く向き」は逆になる。


 ポイント 
 

視野の明るさは,高倍率にするほど暗くなる。また,高倍率にするほど,レンズとプレパラートの距離はせまくなる。


 ポイント 
 

試料が見づらいときは右のような場合が考えられる。

水が減って,試料がかわいてきているので,カバーガラスのまわりから水を加える。
明るさにむらがある。この場合は反射鏡を調節する。
気泡やごみがあり試料が見づらい。見やすいところを探すか,プレパラートをつくりなおす。
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.71>

 前ページの観察を行うと,どの細胞にも,染色液によく染まる丸い粒が1つあることがわかる。また,オオカナダモの細胞は,ヒトの細胞と比べると,はっきりと見えるしきりで囲まれていて,細胞の中には緑色の粒がたくさんあることがわかる(図4)。

(a)ヒトのほおの粘膜

(b)オオカナダモの葉

図4 探究2の結果例

染色液(赤色)で染めていない細胞(上)と染めた細胞(下)

図1 観察地図の例

図5 ムラサキツユクサを用いた細胞の観察

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.72>

 細胞と個体

 1つの細胞の中に1つある染色されやすいつくりを【核】といい,核のまわりの部分を【細胞質】という。細胞質の最も外側の部分は膜状になっていて,これを【細胞膜】という。

 植物の細胞に見られる緑色をした粒状のつくりを【葉緑体】❶という。そのほかに【液胞】❷とよばれる液体のつまった袋状のつくりがある。また,植物の細胞膜の外側にあるじょうぶなしきりを【細胞壁】といい,からだの形をしっかり保つはたらきがある❸(図6)。

 このように,細胞はさまざまなつくりからできており,それぞれのつくりがはたらき合って細胞は生きている。

❶ 植物が緑色をしているのは,細胞内に多くの葉緑体をふくむからである。

❷ 液胞の中には,細胞の活動にともなってできた物質や水が入っている。

❸ 骨格をもたない植物では,1つひとつの細胞がもつじょうぶな細胞壁が体を支えるはたらきをもつ。

図6 動物の細胞と植物の細胞のちがい

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細胞のつくりはこのように区分されています。

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.254>

発展 顕微鏡ではわからないつくり

 細胞の中には,核や葉緑体以外にも,一般の顕微鏡では観察が難しいとても小さなつくりがある。これらは細胞の中でさまざまなはたらきをしている。

図1 動物の細胞
図2 植物の細胞

… 生物の形や性質を決めるはたらきがある。

ミトコンドリア … 細胞呼吸を行う場所で,養分からエネルギーをとり出すはたらきがある。

小胞体 … 小胞体の一部では表面にリボソームというつくりがあり,そこでタンパク質をつくる。

ゴルジ体 … タンパク質を細胞内で移動させたり,細胞の外に出したりするはたらきに関係している。

液胞 … 成長した植物細胞によく見られる。養分をたくわえたり,不要物を分解したりするはたらきがある。

細胞質基質 … 細胞質から,小胞体,ゴルジ体,ミトコンドリア,液胞,葉緑体などを除いた部分を細胞質基質という。主に水でできていて細胞内の物質の移動を助けるはたらきがある。
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.254>

発展 液胞には何が入っている?

 成熟した植物の細胞では,体積のじつに90%が液胞によってしめられている。液胞は,植物にとっては物質の貯蔵庫といわれ,その中に多くの種類の物質を貯蔵する機能をもっている。果実の糖分や酸っぱさなど味のもとになる物質の多くは,液胞にためこまれている。たとえば右写真のような表皮や,花の赤い色を生じさせるもとになる「色素」とよばれる有機物は液胞の中にある。

 ダイズなどの豆にふくまれるタンパク質も,液胞にふくまれる。一方,いものデンプンは,それをたくわえるための別のつくりがある。

イタドリの表皮の細胞
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.73>

 多くの細胞からなる植物や動物などを多細胞生物という。【多細胞生物】のからだは,いろいろな細胞からできていて,それぞれの細胞は決まったはたらきをもっている。からだの中では,同じはたらきをもつ多数の細胞が集まって【組織】をつくり,さらに,いくつかの組織が集まって,決まった形とはたらきをもつ【器官】をつくっている。そして,さまざまな器官が集まって,ヒトやホウセンカといった,【個体】がつくられている(図7)。

 多細胞生物の場合,1つの細胞だけでは生命を維持することができない。組織によって異なるはたらきがあり,それが複雑にはたらき合うことで個体として生きている❶。

1つ1つの細胞が細胞呼吸により生命を維持していること自体は,すべての生物で同じです。つまり,生物をつくる最小の単位は細胞だということができます。

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図7 多細胞生物の細胞・組織・器官・個体の関係

❶ 単細胞生物は,呼吸したり,養分をとったり,子を残したりといったはたらきを1つの細胞だけで行っている。

練習問題

ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

  • 【アニサキスに“スーツ”を着せてがん退治!?】 2023年3月1日
    元AKB48でタレントの板野友美さんがアニサキスによる食中毒にかかったと報じられるなど,毎年多くの人が苦しめられる,嫌われ者の寄生虫「アニサキス」。 そんなアニサキスに「スーツを仕立てるように」,薄く柔らかい膜でコーティングすることで,がん細胞を攻撃するという研究が発表されました。 開発された“スーツ”の膜の中に,がん細胞を攻撃する過酸化水素を作り出す酵素を仕込んだところ,アニサキスは“スーツ”をまとったまま動き回り,培養液中のがん細胞を死滅させることに成功したそうです。 記事では,実験に使うアニサキスを入手するために,スーパーで買ってきたサバを2年間で100匹弱ほどもさばいたとのことで,きっと先生も学生さんもサバを食べ飽きただろうなあ……と,地道な研究の苦労もしのばれます。 もと記事リンク 論文
  • 【死んだブタの臓器を回復させる衝撃の新技術 移植臓器不足の解消なるか】 2023年3月1日
    「死」のプロセスは,不可逆的かつ非常に短時間で起こります。 血流が止まるとわずか数分で,細胞のアポトーシス(自死)のスイッチが入り,フリーラジカルによって酵素なども破壊されていきます。このことは,体内から臓器を取り出し,ときに長距離を輸送する臓器移植の場面において,提供された臓器が移植できないという問題の原因となってきました。 しかし,このたび米国エール大学のチームが,死後1時間常温に放置したブタの死体に特殊な薬剤の混合液「OrganEx」を送り込んで循環させることによって,死体の臓器の細胞に基本的な機能(鼓動したり,糖を吸収したり)を取り戻させることに成功しました。今後,OrganExで処理した臓器をブタに移植して,生体内でのはたらきを確認するとともに,倫理面など社会的な影響に配慮しながら研究を進める予定とのことです。 もと記事リンク 論文

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