※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.154>
4|電気の性質と私たちの生活
1 家庭の電力量
家庭で消費する電力量を表すとき,時間の単位に秒を使ったワット秒では数字が大きくなりすぎる。このため,時間の単位に時(記号h❶)を使って,電力𝑷〔W〕× 時間𝒕〔h〕を求めた【ワット時】(記号Wh❷)が使われる。
さらに,【キロワット時】(記号kWh)の単位を用いて,1000Whを1kWh❸と表すことが多い。たとえば,1か月に各家庭で消費した電力量は,キロワット時の単位で報告されている(図26)。
p.267の例題で,電力量の計算に慣れておきましょう。
電力量 = 電力 × 時間だから,節電するときは,電気を使っている不要な時間を減らせばよいね。
電力 = 電流 × 電圧で,家庭の電圧は変えられません。電気製品の「強」を「弱」にかえると,流れる電流は減り,節電につながります。ただし,それで使用時間が増えてしまうと,総量は同じです。うまく考えましょう。
❶ 「h」は「時」を表す英語のhourの頭文字である。
❷ 1時間は3600秒だから,1Wh = 3600Wsである。
❸ 「kWh」の「k」は,kmのときと同じように1000倍を表す記号である。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.155>
2 抵抗のちがいの利用
一般に,金属は抵抗が小さく,電流を流しやすい性質をもっている(表3)。金属に限らず,抵抗が小さい(電流が流れやすい)物質を【導体】という。これらは電流を流したい部品に使われる。
逆に,ガラスやゴムなどは抵抗が大きい(電流が流れにくい)という性質をもつ。このような物質を【不導体】または【絶縁体】という。絶縁体は,電気コードの被覆など,電流を流すことを防ぎたい場所に使われている(図28)。
「抵抗」は電流の流れにくさを表す量ですが,それだけでなく,抵抗器,電熱線など,抵抗がある器具を「抵抗」とよぶことがあります。
注意!! ここでは説明のために分解している。自分で分解してはいけない。
導体ほどは電流が流れないが,不導体よりは電流が流れる中間の性質をもった物質を「半導体」という。半導体に区分される物質にはケイ素(シリコン)などがある。ケイ素の結晶にわずかに不純物を混ぜると,電流や電圧を調節するための電子部品として便利な性質をもつ半導体ができる。コンピュータなどの電子機器には必ずといってよいほど半導体が使われていて,私たちがよく目にする発光ダイオード(LED)も半導体を使っている。
図29 導体でも不導体でもない半導体
コンピュータや,さまざまな電子機器が,より小さく,より高性能になったのは,半導体を使う技術の発達のおかげです。
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【高校生の研究が出発点! 室温で磁石になる材料「強磁性半導体」を発見!】 2023年3月1日これまで,磁性をもつ永久磁石は遷移金属や希土類の合金でのみ知られており,半導体は強磁性を示さないことが知られていました。磁石の性質と半導体の性質をあわせもつ「強磁性半導体セラミックス」は,ごく限られた条件でのみ報告されており,規模も非常に小さいものでした。 しかし今回発見された,パラジウム酸鉛に鉄とリチウムを少量共置換することで得られた物質は,グラム単位の量で強い磁性を示し,室温で永久磁石に吸い付きます。 この発見のきっかけは名古屋大学が展開していたプログラム「名大MIRAIGSC」の一環で2人の高校生が行った研究でした。 もと記事リンク 論文