※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.185>
2|放射線とその利用
1 放射線
19世紀の終わり,ドイツの科学者レントゲン❶は,クルックス管を用いて真空放電の実験をしているとき,クルックス管の周辺に目に見えない光のようなものが出ていることに気づいた。彼はこの光のようなものを【エックス線】と名づけ研究した。
その後,エックス線と同じように目に見えないアルファ線(α線),ベータ線(β線),ガンマ線(γ線)❷なども発見された。
これらを【放射線】といい,原子よりも小さな粒子の流れや光の一種である。物質によっては,放射線を出す能力があり,この能力を【放射能】という。また,放射線を出す物質を【放射性物質】❸という(図13)。
放射線・放射能・放射性物質の関係は,懐中電灯と光の関係に置きかえるとわかりやすくなります。
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2 放射線の人体への影響
発展
表のウラン238 の「238」という数字は,ウランの原子核の陽子と中性子(ウラン原子の中にある原子よりも小さい粒子)を足した数が238 個という意味である。セシウム137 とセシウム134 は,原子核の陽子の数は同じだが,中性子の数がちがっている(これをたがいに同位体であるという)。
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3 放射線の利用
放射線には,物質を通りぬける性質(図18)や,物質を変化させる性質がある。
この性質は,医療や工業などの分野で応用されている(図19)。たとえば,物質を通りぬける性質は,医療診断や物質の検査などに,大量の放射線が物質を変化させる性質は,プラスチックの改質や放射線治療などにも利用される。
放射線は種類によって「物質を通りぬける性質」や「物質を変化させる性質」があり,これらの性質は,さまざまな機器で応用されている。このとき,安全に放射線を利用するために,十分に注意されている。
図19 放射線の利用
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SDGsを意識して脱炭素社会へ 日本の電源
私たちの生活に電気は欠かせません。その電気は主に大規模な発電所でつくっています。発電の方法にはいくつかあり,現在の日本の発電量では火力発電が7割以上をしめています。
火力発電では,化石燃料を燃焼させて大量の二酸化炭素を排出します。そのため,地球温暖化の問題を考えると大きな短所です。
また,資源の量に限りがある天然ガスなどに対して,使ってもなくならないエネルギー資源(水,太陽光,風,地熱などの再生可能エネルギー) が注目を集めていますが,それぞれの発電方法には長所と短所があります。
長所,短所,安全性などを考慮したバランスのよい電力供給をどのように実現するかが,私たちの重要な課題となっています。
図21 主な発電の種類
❶ 出典:経済産業省 資源エネルギー庁資料「エネルギー白書2022」
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【フェルメールのキューピッド,化学と人文の融合でよみがえる】 2023年3月1日ドイツのドレスデン美術館が所蔵しているフェルメールの初期の傑作「窓辺で手紙を読む女」が修復され,背景の壁の部分に隠されていたキューピッドの画中画がよみがえりました。 1979年のエックス線調査などにより,絵の下にキューピッドが隠されていることはすでにわかっていました。今回,キューピッドを隠している部分の絵の具の層を少量採取し,顕微鏡などを用いて詳しく分析したところ,フェルメールが絵を仕上げ,数十年ほど展示された後に,別人が壁の部分を上塗りしたことが判明。本来の状態に戻すための修復が施されました。キューピッドがよみがえったこの絵は,ドレスデン美術館で展示され,その後2022年1月22日から東京都美術館で展示予定です。 もと記事リンク ドレスデン国立古典絵画館プレスリリース