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台風が南から接近している。(8月5日)
図20 台風の天気図と雲画像
台風は,太平洋高気圧の西側の縁を回るように進み,日本に接近するとき進路を東向きに変えることが多い。これは,中緯度に達すると,上空の偏西風の影響を受けるからである。 台風は水蒸気の供給が少なくなるとおとろえる。このため,台風が北上して,水温が低い海上で水蒸気の供給が少なくなったり,日本に上陸して海面からの水蒸気の供給を絶たれたりすると,台風は衰退し,やがて温帯低気圧に変わることが多い。
台風の東側は,南よりの風がふき,西側は北よりの風がふきます。台風の南よりの風は,台風の進行方向の風と合わさって,より強くなる傾向があります。
温暖化すると,気温だけでなく,海水温も上がる。すると,海水の蒸発量が増えるので,大気中の水蒸気量が増える。温暖化が進んだ場合,当初は,大気中の水蒸気が増えるので,台風の発生数が増加すると考えられていた。しかし近年,そうではないと予測されるようになった。今世紀末を想定した最新の予測では次のようになる。 ・台風の発生数は減少すると推定されている。これは,温暖化によって上空の気温も高くなると,大気中の上下の気温差が小さくなり,上昇気流が弱くなるためである。 ・いったん発生した台風は,海水の蒸発量が増え,大気中の水蒸気量が増えているため,発達しやすくなる。最大風速が45m/s以上の非常に強く大きな台風が増加し,さらに最大風速が67m/s以上のいわゆる「スーパー台風」になる可能性もあると推定されている。 予測されるこれら2つの現象にともなって,大雨・強風による甚大な被害が出る一方,渇水の危険性も増えると考えられている。
❶ 出典: 大内和良ら,気象集誌,84 巻 2 号,2006
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