※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.240>
SDGsを意識して脱炭素社会へ 各地からのレポート(林業)
SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称で,2015年9月の国連サミットで採択された国際目標です。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すことになっています。右の17のゴールから構成され,開発途上国も先進国も積極的に取り組んでいます。
また,現在日本が目指している脱炭素社会とは「温室効果ガス(二酸化炭素など)の排出を実質ゼロにする」ことで,この実現にはSDGsの目標達成が欠かせないと考えられています。さまざまな地域でSDGsへの取り組みが行われています。どのような活動があるのか見てみましょう。
長野県では,森林組合,大学,県,測量会社などが連携して,林業に取り組んでいます。無人航空機で測量した情報を組み合わせて伐採計画を立てるなど,作業の効率化を進めていて,労働者不足の解消,働きがいの実現にもつながっています。
近年,耐火などの技術開発が進み,木を多く取り入れたビルを建てることができるようになりました。木材には,木に吸収された二酸化炭素中の炭素がたくわえられています。木を木材として利用している間は,大気中の二酸化炭素を減少させているということができます。
木造の要素を多く取り入れた中高層ビル
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.241>
SDGsを意識して脱炭素社会へ 二酸化炭素はワルモノか
秋田県北秋田市にある道の駅「たかのす」には,おとずれた人が楽しめる足湯があります。ここでは木質バイオマス発電を行っており,その熱を利用した足湯なのです。もとのエネルギーを目的のエネルギーに変える効率は22%と高くはないものの,熱の利用を合わせると78%の効率となり,経済や環境面において効率的に木材を活用できます。
宮崎県高千穂町・日之影町では,林業と福祉施設が連携して,地域活性化に取り組んでいます。障害のある人が山の恵みであるきのこや山菜などの栽培を行い,働きがいを得られるしくみです。高齢化による人手不足も補っています。
真庭市は,岡山県でいちばん面積が広く,その8割を山林がしめています。林業や木材産業が盛んなため,林業での間伐や,木材を加工する過程で出る端材などを使用した「木質バイオマス発電」を行っています。現在,80か所以上の公共施設で電力小売事業者を通してエネルギーを利用しています。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.250>
資料 写真で見る周期表
各元素の写真は,その元素がふくまれる・利用されている一例であり,全てにふくまれているわけではない。
原子番号104〜118の元素について,そのくわしい性質は不明である。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.252>
発展 原子の内部(中学3学年で学習)
原子は,さらに小さい粒子(図(ア)のような,+の電気をもつ原子核と,− の電気をもつ電子)をもっていることがわかっている。原子核は原子の中心にあり,そのまわりに電子が存在する。また,原子核は,+の電気をもつ陽子と,電気をもたない中性子が集まってできている。
周期表で表されている原子番号は,その原子がもつ陽子の数である。ヘリウムの原子番号は2であり,これは2つの陽子をもつことを表している。また,自然界にあるヘリウム原子のほとんどは,(ア)のように中性子を2つもっているが,ごくわずかに(イ)のように中性子を1つもっているものもある。(ア)と(イ)をまとめて「ヘリウムの元素」という。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.252>
資料 周期表は計画通り
19世紀にイギリスのドルトンにより原子説が提唱されたあと,いろいろな元素が明らかになり,それぞれの元素の原子の質量が実験の積み重ねにより知られるようになってきました。
19世紀になると,ロシアの科学者メンデレーエフは,元素を原子の質量の小さい方から順にならべたとき,似た性質をもつ異なる元素が,周期的にくり返し現れることに気がつきました。
メンデレーエフは,表の縦の列に似た性質の元素がならぶように工夫した元素周期表を考案しました。彼が考案した周期表には,空欄がいくつも生じましたが,あえて空欄としました。空欄にぴったり当てはまる質量や性質をもった未発見の元素があるはずだと考えたのです。
その後,多くの元素が発見されて表の空欄がうまっていきました。それらの元素は,彼の予想通りの原子の質量や性質だったので,人々を驚かせました。
メンデレーエフの周期表がもとになり,修正が加えられていくことにより,現在の周期表ができていきました。高校以降でくわしくあつかいますが,周期表には,元素の性質を整理してとらえることができる,さまざまなヒントが隠されています。
発展
周期表をもとにして元素の性質を整理してとらえることのできる例を2つあげる。
- アルカリ金属 周期表の左端の列にならぶ,リチウム,ナトリウム,カリウム…は,非常に化学反応を起こしやすい金属で,水に触れただけで激しく反応してアルカリ性の水溶液になる性質が共通しており,「アルカリ金属」とよばれる。
- 貴ガス(希ガス) 周期表の右端の列にならぶ,ヘリウム,ネオン,アルゴンといった元素は,他の原子と結びつきにくく原子1個ずつばらばらの状態で気体を構成する性質が共通し,「貴ガス」とよばれる。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.253>
発展 大きな分子
化合物の種類が非常に多いのは,非常に多くの原子が組み合わさってできた分子の存在が理由のひとつである。たとえば下図のような分子があり,これらがたくさんつながった状態を「高分子(高分子化合物)」とよぶ。特に炭素原子は他の原子との結びつきの数(→p.24)が4つと多く,炭素原子どうし,あるいはほかの原子といろいろな組み合わせで結合することができる。高分子化合物のなかでも,炭素原子が多数連なったつくりをもつ分子を「有機高分子化合物」という。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.253>
資料 食品に酸化は大敵
一般に,食品は空気中の酸素によって酸化されると,味や色が変化したり,有害な物質が生じたりするなどして質が落ちます。そのため,食品の酸化を防ぎ,長期保存するために,食品を酸素にできるだけ触れさせないくふうがされています。
たとえば,スナック菓子の袋(プラスチック製)では,袋の分子どうしの間のすき間を空気中の酸素が通りぬけないように,アルミニウムのうすい膜をはりつけている場合があります。
また,食品の袋の中に,酸素を取り除く脱酸素剤を入れてある場合もあります。一般的な脱酸素剤には,食品よりも酸化されやすい鉄粉が入っています。
食品添加物として「酸化防止剤」が食品や飲料水に入れられることもあります。酸化防止剤は,酸化されやすい物質からできており,食品の代わりとなって酸化されることにより,食品そのものの酸化を防止します。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.254>
発展 顕微鏡ではわからないつくり
細胞の中には,核や葉緑体以外にも,一般の顕微鏡では観察が難しいとても小さなつくりがある。これらは細胞の中でさまざまなはたらきをしている。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.254>
発展 液胞には何が入っている?
成熟した植物の細胞では,体積のじつに90%が液胞によってしめられている。液胞は,植物にとっては物質の貯蔵庫といわれ,その中に多くの種類の物質を貯蔵する機能をもっている。果実の糖分や酸っぱさなど味のもとになる物質の多くは,液胞にためこまれている。たとえば右写真のような表皮や,花の赤い色を生じさせるもとになる「色素」とよばれる有機物は液胞の中にある。
ダイズなどの豆にふくまれるタンパク質も,液胞にふくまれる。一方,いものデンプンは,それをたくわえるための別のつくりがある。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.255>
資料 植物に日光が当たると二酸化炭素が消費される
① 試験管㋐,㋑に水を入れて,青色に調整した少量のBTB溶液を加え,さらにストローで息をふきこんで酸性(黄色)にする。
② 試験管㋐にオオカナダモを入れ,㋑には何も入れない。
③ 1時間ほど日光に当て,BTB溶液の色の変化を確認する。
BTB溶液は,酸性で黄色,中性で緑色,アルカリ性で青色になる。
アルカリ性(青色)または中性(緑色)のBTB溶液に息をふきこむと,二酸化炭素が水に溶けて酸性(黄色)になる。溶けた二酸化炭素がなくなると,もとの色にもどる。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.256>
資料 植物に日光が当たると酸素が発生する
① 炭酸水素ナトリウム(2g)を溶かした水溶液でペットボトルを満たす(炭酸水素ナトリウムの一部が分解して,二酸化炭素が水に溶けた状態になる)。オオカナダモを入れ,数時間日光に当てると,気体が発生してたまる。
② 気体がある程度たまったら,ペットボトルを水中に沈めてテープをはがし,たまった気体を試験管に集める。
③ 試験管に火のついた線香を入れて,気体を確かめる。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.256>
資料 酸素と二酸化炭素の値を具体的にはかる
① 鉢植えの植物にポリエチレンの袋をかぶせ,袋にストローをさしこんで,息をふきこむ。
② 二酸化炭素と酸素の濃度を気体測定器で調べる。
③ 息をふきこんだ穴をビニルテープでふさぐ。
④ 鉢ごと日光に2〜3時間当てる。
⑤ 再び袋の中の二酸化炭素と酸素の濃度を調べる。
二酸化炭素に由来する炭素は,エネルギー源として利用されるデンプンなど,からだをつくるタンパク質などの有機物に変えられます。
このとき酸素がよぶんになり,不要物として排出されます。