白亜紀の恐竜・エドモントサウルスは,カモのようなくちばしをもつ草食恐竜です。なかでも1999年にアメリカのノースダコタ州で発見された化石は「ダコタ」という愛称で呼ばれており,足や尾の一部に皮膚などの軟組織がミイラ化したまま残っています。この化石を本格的にクリーニングしたところ,足先にひづめのような組織があったこと,また,生物が噛んだ跡が残っており,死後しばらく地表にむき出しだった可能性がわかりました。 これまで,保存状態のよい化石は,土砂崩れなどで死後速やかに地中に埋まることによって化石として残ったのだと考えられてきました。しかしダコタに関しては,スカベンジャーが齧った穴から腐敗によるガスや液体が抜け,食べ残された固い皮膚がカラカラに乾燥した後で土砂に埋まったために保存状態のよい化石として残ったと考えられるのです。