単細胞生物から多細胞生物への進化においては,多くの細胞を一つにまとめることが重要な第一歩といえますが,その過程は謎に包まれています。
米ジョージア大学の実験グループは,単細胞生物の酵母を試験管の中で育て,その謎に挑みました。10年をかけた研究の結果,酵母の細胞どうしが複雑に絡み合い,およそ45万個の細胞を含む巨大な集合体を形成させることに成功しました。巨大化の重要なキーとなったのは酸素濃度でした。無酸素条件下でのみ巨大な集合体ができたことから,現在では生物に欠かせない酸素が,かつては進化の妨げになっていた可能性も示唆されました。