火山の噴火や核爆発の際に観測される「ラム波」という波は,大気の共鳴振動として知られていますが,1937年,ペケリス(Chaim Leib Pekeris)博士によって,理論上,ラム波よりも少し遅い波が存在しうることが提唱されました。
しかしこの波はこれまで85年間,実在が確認されたことはない「幻の波」でした。 そして2022年1月,トンガのフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火が発生しました。この時の観測データを詳しく調べたところ,「ラム波よりも少し遅い共鳴の波」が発生していたことが確かめられました。研究成果をまとめた論文において「ペケリス波」と呼ぶことを提案されているこの波は,海面との共鳴により「気象津波」をもたらす可能性が示唆され,研究が今後の防災・減災に活かされることが期待されています。