接着剤といえば水に弱いイメージがあるかもしれませんが,水にぬれた面どうしを強固に接着する接着剤も存在します。その際,生態環境のような湿った面であっても結合できる接着剤は,医療機器の生体表面への接着や止血などに役立てることができます。生体に使う接着剤では,安定した強固な接着はもちろん重要なのですが,剥離時に組織を傷つけないという相反する性質も求められるため,実用化の難しい技術となっています。
東北大学の研究グループは,ムール貝の足糸(あしから分泌される特殊なタンパク質からなる,水中で岩などに強固に付着できる構造物)に着想を得て,体温以上では強固に接着し,その一方で,体温以下では容易に剥離する温度応答性水中接着剤を開発しました。この接着剤は,生体医療機器の安全な装着と皮ふへのダメージ軽減の両方を可能にするものとして,その実用化が期待されています。
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