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ラッコのメスはオスよりも器用

ラッコは,チンパンジーなどの類人猿以外で道具を使用する,珍しい生態をもつ動物です。主にウニやアワビを好んで食べる傾向がありますが,近年,これらの個体数が減少しているため,カニやハマグリなど殻の硬い生物を食べる機会が増えています。これらを食べる際には歯を損傷する危険性があり,ラッコにとって,殻を割るための道具の使用の重要性が増しています。
米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究チームは,カリフォルニア州モントレー湾のラッコ196匹に無線タグを装着し,道具使用の実態を調査しました。その結果,道具を使うラッコは食べる生物の種類がより多様で,道具としては主に石を使用しているほか,貝殻や海洋ゴミ,ボートの側壁までも利用していることも確認されました。また,特筆すべきは,メスのラッコがオスよりも頻繁に道具を使用し,硬い殻をもつ生物をより効率的に摂食していたことが判明しました。
この結果は,メスはオスよりも頭が小さく,噛む力が弱いため,道具を活用して歯を守りながら栄養を確保しているためと推測されています。また,メスは,出産・子育てに大量のエネルギーを必要とするため,道具を利用することで効率よく食物を摂取していた可能性があると考えられています。今回の調査によって,これまで性差がないとされていたラッコの道具の使用について,新たな知見が得られました。

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