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紙で指を切ったことがある人へ

ペーパーレス化が叫ばれて久しい今日このごろですが,紙で指を切ってしまうのは,今でも身近なトラブルの上位に入るのではないでしょうか? 紙で指を切ると強い痛みを感じ,印象に残る理由としては,指先に神経が密集していること,身体の他の部位に比べて意識が集まりやすいことなど,わたしたちの側の要因もありますが,一方で紙がどのような状態であれば指を切りやすいといえるかは,これまで調べられていませんでした。
この“紙の側の原因”の解明に取り組んだのが,デンマーク工科大学です。研究チームが指を切りやすい紙の厚さと,皮ふに対する紙の角度を調べたところ,「65µm(0.065mm),15°」であることが確認されました。この厚みが,折れ曲がりへの強さと断面にはたらく圧力のバランスが最も適切であることが理由と考えられています。また,この厚みに近い紙としては,新聞紙・トレーシングペーパー・雑誌のページ・コピー用紙などがあげられ,比較的身近なものが多いことがわかります。ちなみにこの実験は,ゼラチンで人工の指を再現し,そこにロボットであらゆる角度からさまざまな紙を押し付けるという方法で行われたそうです。ようすを想像すると,何ともいえず背筋が寒くなりますね…。
今回得られた知見をもとに,研究チームではよく切れる紙製ナイフの開発にも取り組んでいます。(紙なので当然ではありますが)水に弱いという弱点はあるものの,実験では,リンゴや鶏肉まで切ることが可能で,かつ,リサイクルの可能な,優れた刃物としての期待がもてる結果が得られています。

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