時間を実際に飛び越えることはまだまだ難しい技術ですが,将来の自分と話すことは,近い将来できるようになるかもしれません。米MITの研究チームは,若者が未来の自分とのつながりを感じ,よりよい選択ができるよう導くためのAIチャットボット「Future You」の開発を進めています。
このシステムは,次の3つのステップで進みます。
1つ目は,生成AIを用い,ユーザーの顔写真をもとに,ユーザー自身の60〜70歳の姿を予測する画像生成を行います。この画像を用いることで,ユーザーは,将来の自分を視覚的にイメージできるようになります。
2つ目に,人口統計学的な情報(名前や職業,家族構成など)や性格診断データをもとに,未来の自分の人格データの背景を形成します。
最後に,生成された未来の人格データをChatGPTに取り込むことで,チャットボットとして未来の自分との対話が可能となります。
研究では,一般的なAIアシスタントを利用したグループに比べ,Future Youの使用者はメンタルヘルスが改善し,不安が減少するなどの効果が確認されました。このシステムを使うことで,未来の自分をどれだけリアルに想像できるか,今の自分と未来の自分とのつながりをどれだけ強く感じられるかという心理学的な指標が強化され,未来の自分のために健康習慣を改善したり,なりたい自分への努力をする意識を高めたりできることが示唆されています。
一方で研究チームは,Future Youは,あくまでも“今の自分をベースにして将来体験しうること”を可能性のひとつとして提示してくれるものであり,決して未来の予言ではないことを強調しています。また,ネガティブな質問によって未来の自分からマイナスのアドバイスが届いてしまうリスクも指摘されており,倫理的な側面からもさらなる改良が求められています。
もと記事リンク(外部サイトに繋がります。公開から時間がたつと繋がらない場合があります)