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「重力」と「電気の力」は同じものだった?

教科書では,力の種類を紹介するとき,「重力」と「電気の力(電磁気力)」を別々のものとしてあつかっています(1学年p.131,143)。しかし,この区分が見直され,この2つの力は本質的に同じものとみなされる日が来るかもしれません。
フィンランドとオーストラリアの研究チームは,重力と電磁気を時空の『しわ』として統一的に説明しようと試みました。『しわ』とは,わたしたちもよく目にする,布にできるあの『しわ』です。今回発表された理論では,重力は時空が垂直方向に沈む『縦しわ』,電磁気を時空の横方向の微細な伸縮,つまり『横しわ』として解釈されます。非常に難解ですが,イメージとしては,縦しわは布が折り曲げられたりしてできるしわ,横しわは布自体の繊維のつくりによってできるしわに例えられます。研究者たちは,コンピューターで縦しわと横しわのある巨大な布,“宇宙サイズのシーツ”をつくって,そのシーツにできた『しわ』に対するシミュレーションを行い,時空が『しわ』を減らそうとするようすを観察しました。その結果,重力によってシーツにできた『縦しわ』による影響が,『横しわ』,つまり電気を帯びた粒子が電場や磁場から受ける力とも整合性がとれることが確認されました。すなわち,重力・電気の力は別々のものではなく,相互につながっていることが理論的には確認されたといえます。あくまでイメージですが,布にできるしわは,布にどのような力がはたらいてできたかだけではなく,布自体がどのような繊維でできているかからも説明がつきますが,どのような説明であっても,結局しわにはちがいない…といった例えとなるでしょうか。
今回はコンピューター上でのシミュレーションであり,実験的に検証するには,現在のところ非常に難しいことも判明していますが,この理論が実証されれば,重力と電磁気は1枚の布の模様のちがいにすぎなかったという新たな統一的視点が確立され,そのときには教科書の説明も書き換わることでしょう。

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