イネなどの農作物を食い荒してしまう『ジャンボタニシ』は,名前を聞いたことがあるかもしれません。この淡水にすむ巻貝は,正式な名前が「スクミリンゴガイ」という外来生物で,現在,西日本を中心に定着しています。大きな被害が予想されるため,環境省・農林水産省に,対策の必要性が高い「重点対策外来種」に選定されるだけでなく,国際的にも,IUCN(国際自然保護連合)が作成する,世界の侵略的外来種ワースト100にリストアップされています。まだ若くやわらかい状態の農作物を好んで食べてしまう点に加え,繁殖力が強いことや,体内に人間にも寄生する寄生虫を保有している可能性があること,さらに卵自体にも毒性があることなど,さまざまな面で人間生活に悪影響をおよぼしてしまう外来生物です。そのため,駆除の必要があるのですが,前述のように繁殖力が強い生物であるため,膨れ上がった個体数にそのつど対処するのは容易なことではありません。
そんなジャンボタニシですが,水田に段ボールが落ちていると,好物のはずのイネをさしおいて,なぜかそちらに引き寄せられてしまう謎の特徴があるそうです。一説には,植物繊維素材である紙と,紙の接着に使う薬品に引き寄せられているという意見もありますが,現在のところ論文などで正式に発表された性質ではありません。この性質を利用した『段ボールトラップ』による防除の取り組みが,個人のレベルでは行われている例があるようです。段ボールで作成したトラップは,設置が容易・費用が安く済む・放置しても自然に還る,とさまざまな面で非常に優れていますので,正式な研究が待たれるところです。
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