Logo

トマトはジャガイモの母だった

さまざまな料理に使われ,日本では,1日1回は目にするといっても過言ではないジャガイモ。みなさんの好きなカレーや肉じゃが,ポテトサラダなどに登場する人気者です。ジャガイモは,南米アンデス高地を原産とするナスのなかまの植物で,地中に栄養をたくわえる「塊茎(かいけい:私たちが食べる,いわゆる『いも』)」という器官をもっていることが最大の特徴です。この塊茎は,近縁のトマトやEtuberosumといったグループには見られないため,ジャガイモだけがもつ進化的なイノベーションとされています。
塊茎をもつジャガイモの起源は長らく不明でしたが,国際研究チームによる128個体の遺伝的解析によって,ジャガイモはトマトとEtuberosumという2つのグループの交雑によって約900万年前に誕生した雑種であることが明らかになりました。トマトに由来する「SP6A」という遺伝子と,Etuberosumに由来する「IT1」という遺伝子の2つがそろうことで,塊茎という形質をつくることが可能となり,ジャガイモの進化が実現したのです。この形質を獲得したことにより,ジャガイモは厳しい環境でも生存・繁殖できるようになり,南米から世界中へと広がっていきました。現在世界中で見られるジャガイモは,遺伝的に少しずつ異なる種類が,多様な環境に順応していったものです。
今回の研究は,異なる種の交雑は,新たな種が繁栄する起点となり得ることを示す重要な例となりました。ジャガイモの祖先の遺伝情報は,今後の品種改良にも貢献することが示唆されます。この成果は,現代の食卓に欠かせないジャガイモが,かつて起こった自然界の偶然のかけ合わせから生まれた素晴らしい作物であることを教えてくれるものです。
※ジャガイモやトマトに近縁な,ナスのなかまの植物。日本語名がないため,この表記としている。

もと記事リンク(外部サイトに繋がります。公開から時間がたつと繋がらない場合があります)

論文リンク

読み取り中...