日本では沖縄の西表島・石垣島にのみ,200羽ほどが生息するカンムリワシは,国内での絶滅が心配されている猛禽(もうきん)類です。カンムリワシは,オオヒキガエルというカエルを食べることが知られていますが,このカエルは両島にも侵入している外来種で,国内では特定外来生物にも指定されています。オオヒキガエルは強い毒をもつことで肉食動物から身を守っていますが,カンムリワシがこのカエルを食べて中毒を起こしたという報告はありません。なぜカンムリワシは,毒をもつカエルを食べて大丈夫なのでしょうか?
今回,京都大学の研究チームは,カンムリワシがオオヒキガエルを食べることができる秘密を調べました。解析によって,カンムリワシがもつ,ある遺伝子の一部が,カエルの毒に強い耐性をもつヘビであるヤマカガシと同一であることが判明しました。西表島・石垣島だけでなく,それ以外の場所にくらすカンムリワシ個体群でも同一の遺伝子が確認された一方で,この遺伝子は他の猛禽類には見られないことから,カンムリワシは独自に,遺伝的に毒への耐性を獲得し,また,それを維持している可能性が高いことが示唆されました。これは,猛禽類における毒耐性の進化を示す初の報告であり,カンムリワシの進化や生態,保全にも重要な知見を提供してくれるものです。
ただし,“オオヒキガエルがカンムリワシのえさとなる”という状況は,島の生態系に外来種が組みこまれてしまっていることにほかならず,あまり好ましい状況とはいえません。今後は,外来種の存在が生態系全体にどのような影響をおよぼしているかを多角的に評価する必要があると研究チームは述べています。
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