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化石の研究は静かな温泉で

朝晩に肌寒さを感じ,あたたかいお湯に浸かるのが嬉しい季節になってきました。入浴剤でも目にすることのある『湯の華』は,温泉のお湯に溶けている成分が析出し,固まった沈殿物のことを指します。湯の華のうち,特にシリカ(二酸化ケイ素:SiO2)を主成分とする「珪華」が,植物や昆虫など周囲の生物を取りこみながら冷え固まって形成されることで,過去の生態系を化石として保存する“天然のタイムカプセル”として機能していることがわかりました。
北海道大学の調査によると,長野県中房温泉の,森林内に点在する湧き出し口から形成された珪華に,多様な植物や微生物の化石が細胞レベルで鮮明に封じこめられていることが確認されました。珪華に環境を保存する能力があることは知られていましたが,これまでに調査が行われていたのは,周囲に草木や動物といった豊かな自然がそもそも存在できない,海外の大規模な噴出孔のような場所が中心となっていました。そのため,従来は“珪華には環境を保存する能力があるものの,保存できることのできる生物は非常に限定的である”というのが通説となっており,今回の研究は,それをくつがえすものとなっています。これは,日本で特徴的に見られる,森林と温泉とが静かに共存する環境だからこそ得られた成果であったといえます。
古代の化石を調査する研究者は,まずは森の中の静かな温泉地に向かう―近い将来,そんな光景が当たり前のようになるかもしれません。

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