毒ヘビに噛まれてしまったときは,血清療法という治療法が行われます。これは,毒に対する治療効果のある血液の成分(血清)を投与するという方法ですが,血清を人間以外の生物につくらせると,副作用が起こる可能性があります。ただし,血清をつくるためには一度毒を体内に入れる必要があり,ウマなどの人間以外の生物を使わざるを得ない方法でもありました。これを解決するには,“ヒトが毒を体内に入れて血清をつくる”のが一番シンプルかつ安全な方法なのですが,このやり方では逆に,最初に毒を体内に入れる役割のヒトは大きな危険にさらされてしまいます。しかしあろうことか,大量の毒ヘビにかまれるという危険な役割を進んで担う人物が現れました。
米国の研究チームは,自らの体を毒ヘビにかませるという方法で長年投与し,免疫を獲得したティム・フリーデ氏の血液を解析し,新しい抗毒素を開発しました。フリーデ氏由来のヒト抗体と薬剤を組み合わせた混合薬は,マウス実験で19種のヘビ毒のうち13種を完全に中和し,残りも部分的に防御することに成功しましたとのことです。
この成果は科学誌に掲載され,正式に承認されれば従来の血清療法より副作用が少ない可能性があると期待されています。ただし,研究はまだ初期段階であり,マネをすることは非常に危険であると研究者は強く警告しています。危険ですので,絶対にマネしないようにしましょう。
フリーデ氏は現在ではヘビ毒の摂取をやめていますが,医学の進歩のためならまたヘビにかまれるかも…とのことです。
もと記事リンク(外部サイトに繋がります。公開から時間がたつと繋がらない場合があります)