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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.84>

2|遺伝の規則性

 遺伝の規則性

 ここでは,オーストリアのメンデル❶が研究したエンドウを例に,遺伝の決まりについて学んでいく。エンドウには,種子の形が丸粒かしわ粒かという形質があり,これらの形質はエンドウの子孫へと遺伝する。このとき,エンドウの1つの種子には,丸粒かしわ粒のどちらかの形質しか現れない。このような2つの形質どうしを【対立形質】という。

 また,エンドウのおしべとめしべは花弁につつまれていて(図7),自然の状態では1つの花の中で受粉(自家受粉)して種子をつくる。また,エンドウでは,自家受粉を続けて親,子,孫と世代がかわっても,ある形質が現れ続ける場合がある(たとえば,常に丸粒の形質だけが現れる)ことが知られている。

エンドウには,これらの対立形質がある。

図6 エンドウの対立形質の例
図7 エンドウの花と種子

❶ メンデルは教会の神父をしながら,教会の庭でエンドウの実験を行った。

メンデル (1822〜1884年)

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.85>

 メンデルの実験1

 メンデルは対立形質に注目して,形質がどのように遺伝していくか調べるため,まず,自家受粉によって親,子,孫と世代交代しても丸粒の形質だけが現れるエンドウの個体(図8㋐)と,同様にしわ粒の形質だけが現れる個体(図8㋑)をかけ合わせた❶。

図8 メンデルの実験1

● メンデルの実験1の結果

できた種子(子)には,丸粒の形質だけが現れた(図9)。

図9 さやの中に丸粒のみがある

 ㋐の個体の花粉を,㋑の個体のめしべに受粉させても,㋑の個体の花粉を㋐の個体のめしべに受粉させても,できた種子には,すべて丸粒の形質だけが現れた。

 メンデルは,種子の形以外の対立形質についても同じように実験を行った。その結果,子葉の色では黄色の形質だけが,花のつく位置では茎の途中につく形質だけが,草たけでは高い形質だけが現れた。

 図8㋐ ㋑のように,対立形質をもつ親どうしをかけ合わせた場合,その子には親のどちらか一方の形質だけが現れる。このとき,子に現れる形質を【顕性】の形質,子に現れない形質を【潜性】の形質という❷。

 メンデルは,さらに,顕性の形質と潜性の形質が孫でどのように現れるかを調べるための実験も数多く行った。

しわ粒の形質は消えてしまったのかな?

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❶ 「自家受粉」に対して,このように異なる個体をかけ合わせることを「他家受粉」という。

❷ 顕性の「顕」は「あらわれる・見える」という意味で,潜性の「潜」は「もぐる」という意味である。形質が子に現れるかどうかにもとづいた表現である。

 顕性の形質は「優性の形質」とよぶこともある。潜性の形質は「劣性の形質」とよぶこともある。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.252>

資料 古来からの品種改良

 私たちが育て食べている農作物や家畜の種類は,もともと野生にいた種類(原種)から,人間の手が加わることでつくられてきました。生物の性質を,人間が希望するように改良することを「育種(品種改良)」といいます。

 たとえば,さまざまなウシの中で,希望する形質(成長がはやい)をもつ個体がいたとします。その個体を選び繁殖させて,さらにその子の中から,希望する形質がよく現れた個体を繁殖させます(図(b))。これをくり返し,長い時間をかけて,現在の種類がつくられてきました。

 近年の遺伝子組換え技術は,より短期間で直接的に育種をすることができる方法です。ただ,この技術では,自然に起こる生殖では考えられない形質をもつ種類をつくることもできます。もし,これらの種類が自然界にはなたれると,予想しない影響が生じることも考えられるため,遺伝子組換え技術の利用には注意も必要です。

(a)ウシの原種(絶滅)

もともとは,今のウシより大きく,気性のあらい動物だったが,おとなしい性質の個体を選び,繁殖させることで現在のウシがつくられたといわれている。

(b)育種の例
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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.86>

 メンデルの実験2

 メンデルは,実験1で得られた丸粒のエンドウの種子(子)をまいて育て,自家受粉で種子(孫)をつくった(図10)。

図10 メンデルの実験2

● メンデルの実験2の結果

できた種子(孫)には,丸粒の形質のほかに,子では現れなかったしわ粒の形質が現れた(図11)。

図11 さやの中に丸粒としわ粒がある

この結果は,種子の形だけのことではありませんでした。図12 のようなそのほかの対立形質でも,子では現れなかった潜性の形質が孫に現れました。

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 実験2の結果を処理する

図12 エンドウの対立形質についての実験結果

この結果は,種子の形だけのことではありませんでした。図12のようなそのほかの対立形質でも,親では現れなかった潜性の形質が孫に現れました。

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どの対立形質でも,同じ3:1という比が現れるので,そのうらには同じ原理がある可能性が高いと考えられます。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.87>

5 分離の法則

 メンデルはエンドウの遺伝の実験結果を説明するため,細胞には対立形質を決定する1 対の要素があると考えた。この要素は現在では遺伝子とよばれ,1対の遺伝子のそれぞれが,1対の染色体に分かれて存在することがわかっている。また,減数分裂が起こるとき,親のもつ1 対の遺伝子が分離し,別べつの生殖細胞に入る。これを分離の法則という(図13)。
 また,図14 のように,ある形質について同じ組み合わせの遺伝子をもつ生物をその形質の純系とよぶ。エンドウの丸粒の純系が自家受粉を続けたときの遺伝は,遺伝子で図15 のように説明できる。

メンデルの実験1で使った「親,子,孫と世代交代しても,ある形質だけが現れる」というエンドウの個体は「純系」ということだね。

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図13 遺伝子と分離の法則

丸粒の純系は,遺伝子Aしかもたないので,自家受粉をくり返しても,丸粒の形質が現れ続ける。

図14 純系を遺伝子で表す

エンドウの種子の丸粒の形質(顕性)を表す遺伝子をAとし,しわ粒の形質(潜性)を表す遺伝子をaとする。p.85の㋐の個体の細胞がもつ遺伝子の組み合わせはAA,㋑の個体はaaと表される。

図15 丸粒の純系の遺伝
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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.89>

 遺伝の規則性と遺伝子

 メンデルは,純系の自家受粉における遺伝の規則性を遺伝子のモデルで考えた(p.87図15)。このモデルで考えると,【メンデルの実験1】(p.85),【メンデルの実験2】(p.86)について,どのように科学的に探究できるだろうか。

 探究4   メンデルの実験結果と遺伝子
気づき

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メンデルは,【メンデルの実験1】【メンデルの実験2】について,分離の法則と次のような形質の現れ方で説明しました。丸粒(顕性)の遺伝子A,しわ粒(潜性)の遺伝子aを仮定して,AA,Aa,aaで現れる形質が決まると考えたのです。

「今まで説明できなかった事実を説明するために,新しいモデルを考える」ということも科学が発展する方法の1つです。そのモデルによって事実がうまく説明できるなら,そのモデルは「科学的にもっともらしい」,つまり「適切である(妥当である)」といえます。

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この考えを使うと,【メンデルの実験1】【メンデルの実験2】がうまく説明できるっていうけど,具体的にどう説明できるのだろう?

課題

【メンデルの実験1】【メンデルの実験2】の結果は,遺伝子でどのように説明できるか。

仮説

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図15は丸粒の純系の遺伝のしかただよね。しわ粒の純系であれば,遺伝子の組み合わせは,aaだけが伝わっていくね。

AAの親と,aaの親からできる子はAaという遺伝子で,顕性の形質(丸粒)が現れるね。

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孫はどうなるの?Aaではない組み合わせができそうだよ。何種類できるのかな。

計画

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原子カードをつくったときみたいに,遺伝子カードをつくってみたらどうかな?

そうか!最初に親の組み合わせを2組のカードで表しておいて,分離の法則は,そのカードがバラバラになることで表せるね。

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遺伝子の組み合わせや,現れる形質を比で表してみよう。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.90>

 探究4   結果から考察する
仮説
図16 探究4の仮説例

遺伝子で考えて,親,子,孫の遺伝を図16のように表した。

① 一方の親の遺伝子をAA,もう一方の親の遺伝子をaaとする。

② 生殖細胞はAとaで,子の遺伝子の組み合わせはすべてAaになる。

③ 孫の遺伝子の組み合わせは,AAとAaとaaが現れる。

方法

右列のボタンから,遺伝子カードのアプリを利用することもできます。

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ここでは,顕性の遺伝子をA,潜性の遺伝子をaとして,Aaの遺伝子をもつ両親から子がうまれるとする。Aとaが無作為に子に伝わった場合,子の形質はどのようになるか確かめる。

まず,カードを丸く切り,表にA,裏にaと書く。

① カードを投げて,表が出たらA,裏が出たらaとして,これを子に伝わる生殖細胞の遺伝子とする。

② 2人でペアをつくり,何回もカードを投げ,その組み合わせを記録する。

③ ②の作業をくり返し,AA,Aa,aaの組み合わせが出た回数を記録していく。これを何十回もくり返す。

結果

クラス全体でやった結果をまとめると右の表のようになった。AA:Aa:aaの遺伝子の比はおよそ1:2:1で,形質の丸粒:しわ粒の比はおよそ3:1になる。

表2 探究4の結果例
考察

遺伝子を仮定し,図16のように考えると,【メンデルの実験1】【メンデルの実験2】の結果がうまく説明できる。遺伝子という原因は,妥当だと考えられる。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.91>

 孫の遺伝子は,AA(丸粒),Aa(丸粒),aa(しわ粒)になり(図18),種子の丸粒としわ粒の数の比は3:1となる。このように,メンデルの実験結果は遺伝子で説明できる。

親①からできた,すべての生殖細胞のもつ遺伝子はAで,親②の生殖細胞のもつ遺伝子はaである。受精によって生じる子の遺伝子の組み合わせはAaであり,子には遺伝子Aの形質が現れて丸粒になる。

図17 子への遺伝

遺伝子の組み合わせ方を,表で表すこともあります。

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子の遺伝子はAaである。子が生殖細胞をつくるときは,遺伝子Aと,形質として現れなかった遺伝子aをもつ2種類ができる。こうしてできた生殖細胞から孫ができるとき,その遺伝子の組み合わせは,AA,Aa,aaになる。

図18 孫への遺伝
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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.252>

資料 ある地域で採取した生物を自然に返すとき,もとの地域に逃がす理由

 メダカの「体色」という形質には黒色と黄色があり,黒色が顕性の形質です。野生のメダカの体色は黒色で,観賞用メダカ(ヒメダカ)は,まれに見られる黄色の体色の個体を人間が選んでふやすことをくり返してつくられた種類です。

 遺伝子AA(黒色)をもつ野生のメダカと,遺伝子aa(黄色)をもつヒメダカの間で子孫ができると,右の図のように,孫の段階で本来の野生のメダカと同じ遺伝子を保っているのは,AAの1個体だけになってしまいます。

 これは,その種❶や地域固有の個体が減ることにもつながるので,買った生物を野外に逃がしたり,採取した場所以外に生物を逃がしたりしてはいけません。

❶ 「種」は,生物を分類するときの基本的な単位で,共通した特徴をもつ個体の集まりを指す。また,同種間では生殖可能な子を残すことができる

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.92>

 遺伝子の本体

 メンデルの実験以来,遺伝子の研究がさかんに行われ,さまざまな遺伝子の性質が明らかになってきた。遺伝子の本体は【DNA】❶(デオキシリボ核酸)という物質であり,染色体の中にふくまれることがわかっている(図19)。

 現在では,DNAをある生物からほかの生物に人工的に移すこともできるようになった。このような遺伝子組換え技術が,医薬品の製造や農作物の改良など,日常生活のさまざまなところで用いられている❷(図20)。

試験管に取り出した ヒトのDNA

図19 細胞・染色体・DNAの関係

図20 遺伝子組換えのしくみ

アメリカの例で,作付面積に対する遺伝子組換え品種の割合を示している。

図21 遺伝子組換えの作物の拡大❹

❶ DNAは,Deoxyribonucleic acidの略名である。

❷ 遺伝子を人為的に変更する技術として,近年では「ゲノム編集」も発達している。

❸ 細菌類(→p.107)

❹ 出典:Adoption of Genetically Engineered Crops in the U.S., Economic Research Service U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.253>

資料 DNAはどのようなすがたをしている?

 DNAは糸状で,さらに細かく見ると,下図のように二重らせん構造をしている。そして,その中には4種類の物質が対になってならんでいて,このならび方が「遺伝子」とよばれる情報となり,生物の形質が決まる。

 ヒトの場合,すべてのDNAの中には,約2万個の遺伝子があることがわかっている。ヒトのはじまりである1つの受精卵にふくまれるすべてのDNAが,細胞分裂のたびに正確に複製されて,最終的にはからだをつくる約60兆個の細胞すべてに,すべてのDNAがふくまれることになる。DNA内の4種類の物質のならび方にもとづいて細胞の中でタンパク質がつくられ,私たちの生命が維持されているのである。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.253>

資料 DNAを取り出す

① 水50cm³に食塩2gと中性洗剤2.5cm³を加え,よくかき混ぜる。

② 冷凍したブロッコリーのつぼみの部分(約20g)を乳鉢に入れ,手早くよくすりつぶす。

③ ②を①の液に加え,軽く混ぜ合わせ,10分間おく。その後,②を加えた①の液をろ過する。

④ エタノール(約70%)を入れたペトリ皿に③の液をスポイトで10滴ほど入れ,静かにゆらすと,糸状のDNAが取り出せる。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.254>

発展 再生医療への期待

● 失ったからだを再生できるイモリ

「幹細胞」とは,細胞分裂が可能で,かつ,さまざまな種類の細胞になる能力をもっている(分化できる)細胞である。動物の場合,受精卵は,からだのどのような組織,器官にもなれる万能な幹細胞である。しかし,一般にこの能力は,胚が成長するにつれて失われてしまう。幹細胞は,いったん特定の細胞に分化すると,幹細胞にもどることはない。

 ただし例外も知られている。イモリは,あしを失っても,切り口からもとの形と機能をもったあしが再生する(図(a))。これは,傷口周辺の細胞が,分化した状態から,幹細胞に変わることができるためである。

傷口に細胞が集まってきて,組織・器官ができてゆく。

(a)再生中のイモリの足

●iPS細胞の発見と医療への応用

 ヒトの受精卵からできた胚の一部を取り出して培養したものは,さまざまな組織や器官に成長させることができ,「ES細胞」とよばれる。ES細胞の医療への応用が考えられたが,ヒトの受精卵を使うことから倫理的な問題があった。

 山中伸弥教授らは,ES細胞の能力をもたらす遺伝子を研究する中で,ヒトの皮ふの細胞にいくつかの遺伝子を入れる遺伝子組換え技術により,その細胞が,からだのさまざまな細胞になる能力をもつようになることを発見し(2007年),この細胞をiPS細胞(人工多能性幹細胞)と名づけた。

 iPS細胞の技術を用いると,ある組織の細胞から,別の組織や器官をつくり,患者に移植する治療(再生医療)が実現する。また,iPS細胞からつくったヒトの組織は,開発中の薬の効果や副作用の研究に利用することもできる。

 現在,世界中の機関・企業がiPS細胞を使った再生医療の実用化を目指し,その中でも日本では先進的な研究が行われている。たとえば,目の組織,肝臓の組織,神経の組織をつくって移植したり,血小板をつくって輸血したりするなどの研究であり,一刻も早い実用化へ向け,取り組みが続けられている。

再生医療の原理
ヒトiPS細胞の集合体
ヒトiPS細胞をもとに作製された神経細胞(着色してある)

(b) iPS細胞を使った再生医療

ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

  • 【トラネコのしま模様はどうやってできる?】 2023年3月1日
    アメリカの漫画のキャラクター「ガーフィールド」のようなしま模様のネコは,「トラネコ」とも呼ばれ,身近な存在です。 トラネコの特徴的なしま模様をつくり出す遺伝子は,受精後間もない胚の皮膚細胞で活性化され,「Dickkopf WNT Signaling Pathway Inhibitor 4」(DKK4)という遺伝子を発現させた細胞が皮膚細胞の厚みの差を生じさせ,厚くなった部分の皮膚には濃い色の毛が誘導されることがわかりました。 胚の皮膚に生じる厚みの差がつくり出すしま模様のパターンは,第二次世界大戦中にエニグマの暗号を解読したアラン・チューリングの理論で説明ができることもわかり,動物たちの多様な体の模様がどうやってできたのかという謎の解明にもつながる可能性があります。 もと記事リンク 論文
  • 【日本人のルーツに新説 日本人の「完成」は古墳時代だった?】 2023年3月1日
    これまで日本人は縄文系と,稲作とともに大陸から渡来してきた弥生系の二つの人類集団にルーツがあると考えられてきました。 今回,金沢大学などの研究チームは,金沢で発掘された古墳時代の古人骨をはじめ,日本やアジアの各地で出土した古い人骨のDNAを分析しました。その結果,弥生人は北東アジアの人の特徴をもち,古墳時代の人は東アジアの人の特徴をもっていること,古墳時代の人は現代の日本人とほぼ同じ遺伝子の構成をもつことが分かりました。このことから,日本人は二つではなく,三つの人類集団にルーツをもつという可能性が示唆されました。 もと記事リンク 論文
  • 【「あつ森」で学ぶ生物学 その②】 2023年3月1日
    「あつまれ どうぶつの森」では,ゲーム内で花どうしをかけ合わせる「交配」により,新しい花を生み出すことができます。中でもつくるのが難しいのが「青いバラ」。 「青いバラ」は,現実の世界でもつくりだすのに20年以上かかりました。その「青いバラ」をきっかけに花の研究者を目指したかはくの水野貴行さんとともに,あつ森の「青いバラ」の交配方法を読み解きます。 ゲーム攻略法として巷に言われている交配方法を見て「メンデルの再発見と言うべきでしょうか」というコメントが飛び出すほど,遺伝の基本法則を活かして作られている「あつ森」。花の色や花の種類へも興味が広がります。 もと記事リンク
  • 【ヘビの遺伝子がカエルに飛び移る? 脊椎動物で遺伝子の水平伝播を発見】 2023年3月1日
    通常,遺伝子は生殖を介して親から子へ伝えられます(垂直伝播)。しかし,異なる個体間や異なる種間で遺伝子が飛び移ることがあり,このような現象を遺伝子の「水平伝播」と呼びます。遺伝子の水平伝播は進化に関わる重要な要因のひとつですが,脊椎動物などの多細胞生物ではとても珍しいと考えられてきました。 しかし今回,世界各地のカエルがヘビの遺伝子をもっていること,また特にマダガスカルではこの「遺伝子の飛び移り」が複数回起こっていることが分かり,ヘビとカエル両方を行き来する寄生虫によってこのような遺伝子の水平伝播が仲介されている可能性が示唆されました。 宿主の体内にほかの生物の遺伝子が侵入しても,それが宿主の生殖細胞の遺伝子に組み込まれなければ水平伝播は起こりません。今回見つかった寄生虫以外に,細胞内に侵入可能なウイルスや細菌が関わっている可能性があり,今後の研究で検証が予定されています。 もと記事リンク 論文

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