※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.194>
3|星の動き
p.189では太陽の1日の動きを,宇宙からの見え方と地球上からの見え方で説明できた。次に星の1日の動きに注目する。宇宙からの見え方と地球上からの見え方の2つで理解しようとしたとき,どのように科学的に探究できるだろうか。
注意!! 夜の観測は必ず保護者といっしょに行う。
探究6 1日の星の動きと観測者
観測してみると,星座はこのように動きました。
図20 南と北の星の動き
あれ?南と北で星の動きの向きが逆ですね。
月の観測(→p.164探究2)と同じ方法で,星の動きを観測します。
① 観測する場所を決め,方位磁針で方位を確認しておく。
② 星座早見盤などを利用してオリオン座を見つけ,その動きを1〜2時間おきに観測する。
③ 北の空でカシオペヤ座を見つけ,同じように1〜2時間おきに観測する。
④ 南の空,西の空,頭上の空の星の動きについても,同じように観測する。
観測者から見た1日の星の動き方は,天球でどのように説明できるか。
星の位置を天球で示すとどう動くだろう?
太陽はこう動いていた。星も同じではないかな?
南北の星の動きはわかったけど,東西の星の動きはどうなっているんだろう?
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.195>
図21 いろいろな方位での星の動き(それぞれ30分間撮影,群馬県下仁田町)
南を向いたときは,左手側(東)から右手側(西)へ,時計回りに回転しているように見えます。南の空の星の回転の中心は,地平線の下にあって見えません。反対に,北を向いたときは,右手側の東から左手側の西へ,北極星を中心に反時計回りに回転しているように見えます。
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探究6 結果から考察する
- 探究4の太陽のときのように,透明半球に星の位置を投影すると考える。
- 東西南北と天頂の星の見え方を透明半球の裏側にはりつける。
- 天の北極を天球の内側から見たとき,天球が反時計回りに一定の速さで回っていると考えると,各方向の星の動き方はまとめて説明できる。
天球と観測者の関係を思い出してみよう。(→p.183)
透明半球の裏側に,東西南北の星の見え方をはりつけました。
透明半球全体が回っていると考えると,5方向の星の動きがいっきに説明できました。
図22 探究6の考察例
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1 星の1日の動き
星の動く方向は,方位によって異なっている。しかし,天球全体としては,地軸を延長した軸を中心として東から西に1日に1回転しているように見える(図24)。このような動きを星の日周運動といい,太陽の1日の動き方と似ている。
星の日周運動が起こるのは,地球が自転しているためである。地球の自転は1日で1回転であるため,オリオン座もカシオペヤ座も,1日たつとほぼもとの位置にもどる❶。
p.272の例題で,星の日周運動の計算に慣れておきましょう。
下のスライドから,この図の見方をアニメーションで確認することもできます。
↓カーソルを重ねるとスライドが停止します。
❶ 実際には地球の公転の影響もあるため,1日(24時間)より約4分早くもとの位置にもどる。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.198>
2 星の1年の動き
地球上からは,太陽や星のような1日の周期だけでなく,1年の周期で見え方が変わる天体もある。これらを,宇宙からの見え方と地球上からの見え方の2つで理解しようとしたとき,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究7 季節による星座の移り変わり
図25のように,日本で真夜中に南の空に見られる星座は1年のうちで変わっていきます。
図25 それぞれの季節で真夜中に南の空に見られる星座
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.199>
各月の真夜中に南中する12の星座の見え方を帯のように広げたとすると,図26のように表すことができます。
真夜中に見える星座は,移り変わっていくんですね。
1年で変わるなら,地球の公転と関係があるのかな。
真夜中に見られる星座が季節ごとに変わるのは,地球上・宇宙からの見え方でどのように説明できるか。
地球の公転と太陽の関係はこうなっていたね。
このモデルで真夜中のときは,太陽と反対側を向いていることになるね。
星座はこのモデルのさらに外側にあるということだね。
地球が公転していくと,見える景色が変わっていくね。月ごとに見える星座を配置していくと,全体が説明できるね。
モデルを考えて実際にやってみよう。太陽と地球の模型は,p.191図15の方法が使えるね。
自分が観測者になったほうが,見え方がよくわかると思う。観測者は自分たちでやってみようか。
太陽の代わりになる光源がいるね。星座の代わりはどうしようかな。
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探究7 結果から考察する
太陽のまわりを公転する地球のさらに外側に,星座をつくる恒星があると考える(図27)。
図27 探究7の方法例
- 図27(a)のようなモデルを考えると,観測者から見た星座は表1のように変わっていった。
- 図27(b)のような模型を考えると,地球が公転していくにつれて,真夜中に見える星座は移り変わっていった。
地球上に観測者がいて,地球が自転しながら公転していると考えると,星座の移り変わりが説明できる。
p.272の例題で,年周運動の計算に慣れておきましょう。
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3 星や太陽の1年間の動き
毎日同じ時刻に見る星座の位置が1年を周期として西へずれていく動きを星の【年周運動】という❶。天球上の星の年周運動と太陽の動きを合わせて考えると,地球から見た太陽は,星座の間を西から東へと少しずつ動いているように見える。そして,1年後には,太陽は再び元の位置にもどる。このように,天球上で,太陽が星座の間を動く見かけの通り道を【黄道】という。
太陽が天球上を1年かけて動いていくように見えたり,星の年周運動が起こったりするのは,地球が太陽のまわりを1年に1回公転しているからである❷(図28)。
↓人と地球をドラッグすることができます。
❶ 地球は太陽のまわりを1年(12か月)で,自転と同じ向きに1周(360°回転)する。それにともない,星は1か月に約30°(360〔°〕÷12〔か月〕)東から西へ動いていくように見える。
❷ 星座が東の空に昇る時刻や南中時刻は1か月に2時間ずつ早くなる。