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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.269>

資料 なるか,次世代の食用肉

 突然ですが,みなさんに人気の食べ物を思い出してみましょう。焼肉,鶏とりの唐揚げ,ハンバーグ…,肉が挙がることが多いのではないでしょうか。しかし,持続可能性の観点から,肉を食べる習慣を考え直す必要があるかもしれません。

●植物を肉の代わりに

 代用肉とよばれる食品があり,図(a)の例では,ダイズなどの植物に由来するタンパク質を肉に似た食感を得られるように加工してつくられます。

 代用肉は持続可能性の点で以前から注目されている食品です。それはなぜでしょうか。従来の畜産の方法では世界人口を支える持続可能性はないと心配されています。たとえば,食用肉の代表的な畜産動物であるウシは,主に植物からなる飼料で育てられて,食肉として出荷されます。このとき,食用肉(ウシの体重あたり約40%)1kgを得るのに,約25kgもの飼料が必要と試算されています❶。このことから,私たちが畜産動物より植物を優先して食べれば,食料が増えることになり持続可能性の高まる解決策の一つだと考えられているのです。 私たちが植物中心の食事に切りかえると,一見タンパク質が不足すると思えるかもしれません。しかし,ダイズやヒヨコマメの種子のようにタンパク質を多くふくむ植物性食品があり,それらもバランスよく摂取すれば問題はありません。ただ,肉を食べる満足感を得たい人もいます。代用肉が肉に似た食感を得られるようにくふうされているのはそういった効果もあります。

(a)大豆や米などでつくられた代用肉

●昆虫が候補にあがってくる

 従来の畜産に代わる解決策として,昆虫も注目されています(図(b))。昆虫は短期間で成長し,タンパク質を豊富にふくみます。たとえばコオロギであれば,食用部分(コオロギの体重あたり約80%)1kgを得るのに,必要な飼料は約2.1kgと試算されています。地域によっては,伝統的に昆虫をおいしく食べる文化が根づいており,今後食べやすい種類が品種改良でつくられるかもしれません。

(b)原料にコオロギをふくむ菓子

●食用肉を工場でつくる

 別の方法も検討されています。動物の筋肉の細胞を培養液(養分をふくむ液)の中で人工的にふやすことで,食用の「培養肉」を生産する技術が開発され,一部の国では生産と販売がはじまっています(図(c))。畜産動物ではない食用肉が得られ,さらに,家畜の飼育に比べて広大な農地を必要としない,同じ量の食用肉がより短い期間で得られるといった利点があり,発展が期待されています。

(c)培養肉

いずれもまだ課題は多いのですが,私たちの食生活を変えるかもしれない技術です。

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❶ 出典: Arnold van Huis,Potential of Insects as Food and Feed in Assuring Food Security, Annual Reviews, 2013 および,Barbara J. Nakagaki, Gene R. Defoliart, Comparison of Diets for Mass-Rearing Acheta domesticus (Orthoptera: Gryllidae) as a Novelty Food, and Comparison of Food Conversion Effi ciency with Values Reported for Livestock, Journal of Economic Entomology, 1991

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