※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.75>
理路整然 どうする,条件の見出し方
この探究では,細胞の分裂(→p.77)があまり観察できません。いっせいに分裂する条件を整えて観察すればよいのですが,実はこれが難しいのです。これまでにもさまざまな研究が行われており,一般的に「午前10時〜11時くらいに比較的よく分裂が見られる」といわれていますが,まだはっきりしないところがあります。
先生をはじめ多くの人が,もっと確実に観察できる条件を探しています。毎年行われている探究であっても発展途上で,みなさんが自分たちの手で観察・実験し,「そうか!」と納得できるように,教材のくふうは今でも行われています。
ここでは明暗条件を変えて,どのくらいの頻度で分裂している細胞が見られるかをまとめました。ただし,時刻により分裂指数に変化が生じる原因として,明暗以外の原因も考えられます。あなたなら,どのような条件を整えて実験しますか?
ネギの根の細胞は,おおよそ25 時間ごとに1 回分裂がはじまり,1 回の分裂に5 時間程度かかるといわれています。その時間のうち,ひものようなつくりが見られるのはさらに短い時間です。また,分裂がはじまる時刻は一般に不規則です。 つまり,ひものようなつくりは,たまにしか観察できません。右上の折れ線グラフでは,それぞれの条件でプレパラートをつくり,視野を10 か所変えて観察した結果をまとめて,その平均値しか示していません。 しかし,実は詳しく見ると,1か所の視野ごとの分裂指数には大きなばらつきがあります。左図は,分布を示すのに適した「箱ひげ図」で結果を表現した場合です。「データの最小値」を見ると,どの条件でも,1か所視野に入った細胞の集まりを観察しただけでは,分裂がほとんど観察できないことがあると読み取れます。
ここでは明暗条件を変えましたが,条件によって異なる傾向がみられた原因として,ほかの可能性も考えられます。あなたなら,次にどのようなことを調べますか?
❶ ここでは「顕微鏡の視野内のすべての細胞の数に対する,ひものようなつくり(→p.77)の見られる細胞の数」を分裂指数とよぶ。