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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.88>

 理路整然   どうする,ひらめき

 遺伝のしくみをはじめて明らかにしたのが,オーストリアのメンデルです。19世紀中ごろ,一般には,両親の形質は,2種類の絵の具が混ざるように子に伝わるとされていました(下図(a))。メンデルは,このような当時の考え方に対し,「遺伝の原因(遺伝子)は絵の具のようには混ざらない」「粒子のようなものである」と仮定しました(b)。そして,エンドウとその種子の実験にもとづき,新しい考え方を発表しました。

 メンデルが「粒子のようなもの」を思いついたのは,当時発展してきた「原子モデル」を取り入れたという説があります。そして,「粒子のようなもの」という「モデル」と「実験結果」から,「遺伝子という粒子のような原因があるのではないか」という原因自体を推定しました。

(a)19世紀中ごろの遺伝のモデル
(b)メンデルのモデル

 新しいモデルを思いつく,課題の解決方法を思いつくには,しばしばひらめきが重要です。とはいえ,ひらめきが必ず起こるような方法はないため,難しいところでもあります。

 ただ,ひらめき自体も研究されています。ひらめきは,シャワーをあびているときなど,何でもないときに起こりやすいことが世界で共通して知られています。この現象は「アハ体験」とよばれていて,英語のAha!(そうか!)に由来します。アハ体験は,解決できない課題に長時間取り組み続け,その緊張がふと途切れて,日常生活を送っているときに起こりやすいことが知られています。脳の中で,一見関係ないことがらがつながりやすくなる(ひらめく)タイミングだと解釈されていますが,しくみはまだ明らかではありません。

 ひらめきに必要なことは,課題について,ずっと真剣に悩むことなのかもしれません。また,メンデルのように,別な分野にヒントが見つかることもよくあります。そのため,自分と得意なことのちがう人,考え方のちがう人と話してみたり,興味のなかった情報に触れてみたりするのは,よい方法です。新しいアイデアを求めるときには,意識してそのように努めてみましょう。

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メンデルが,遺伝の原因について「粒子のようなもの」という仮説を立てたように,未知の原理や法則について,「一般的な決まり」を当てはめて考えることを「アブダクション」とよぶことがあります。

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