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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.260>

資料 周期表

1年生の物質の区分で学んだ「金属」とは,金属の元素からなる物質である。金属は固体の状態で,「電気と熱を伝えやすい」「金属光沢がある」「延性や展性がある」という特徴がある。ランタノイドやアクチノイドは性質が似ている元素をまとめたよび方であり,アクチノイドはすべて放射性物質である。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.261>

発展 電気分解と電池は何がちがう

塩化銅CuCl₂は水に溶かすと次のように電離する。

CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻

この水溶液に電極を入れて電流を流したとき,電源装置の−極から電子が流れ出し,陰極に流れこむ。

水溶液中の銅イオンCu²⁺は,陰極で電源装置の−極から流れてきた電子2個を受け取って銅原子Cuになる。そのときのようすはイオンの化学式を使って次のように表す。

Cu²⁺ + 2e− → Cu

水溶液中の塩化物イオンCl⁻は,陽極で電子1個を放出して塩素原子Clになる。そのときのようすはイオンの化学式を使って次のように表す。

Cl⁻  →  Cl   + e−

塩素原子2個が結びついて塩素分子Cl₂になる。また,放出された電子は陽極から電源装置の+極に向かって流れる。

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「電気分解のしくみ」を「電池」とまちがえやすいのですが,下のように異なります。電池では,電子が流れこむ方が「+極」,電子が流れ出す方が「−極」です。電気分解では,電池の+極に接続した電極が「陽極」,−極に接続した電極が「陰極」です。

電子の流れ,電極での電子のやり取りのちがいに注目しましょう。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.262>

発展 塩化銅水溶液の電気分解のとき,陽極でなぜCl₂が発生するか

塩化銅水溶液の電気分解(p.121)で,水溶液中のCl⁻が陽極でCl₂になるとき,電子の性質が関わっている。

●電子殻

 原子を構成している電子は,原子核を中心とするいくつかの層に分かれて存在している。この層を「電子殻」といい,各電子殻に入ることができる電子の数は決まっている。

 たとえば,ナトリウム原子Naの最も外側の電子殻には電子が1個しかないので,この電子を放出してNa⁺になりやすい。塩素原子Clの最も外側の電子殻には電子が7個あるが,ここには電子は8個まで入れるので,電子を1個受け取ってCl⁻になりやすい。

●Cl₂分子のできかた

 塩化銅水溶液を電気分解すると,水溶液中のCl⁻は陽極で電子を1個放出して,塩素原子Clになる。

 塩素原子は,最も外側の電子殻に7個の電子をもち,電子が8個のときに安定する。このような状態の塩素原子が2個あったとき,2個の塩素原子が1つずつ電子を共有して,安定した1個の塩素分子Cl₂になる。

 つまり,塩化銅水溶液の電気分解のとき,陽極で塩化物イオンが塩素原子の状態になると,そのままでは安定ではなく,塩素原子2個が結びついてしまったほうが安定する。これが,陽極でCl₂が発生する理由である。

 原子には,いくつかの原子が電子を共有して結びつくことで安定する性質がある。電子を共有して原子どうしが結びついたまとまりが,分子である。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.263>

資料 電池の発明

 イタリアの物理学者ボルタは,2種類の金属と食塩水などの水溶液があれば,電流を連続的に取り出せることを発見し,「ボルタの電堆(図(a))」とよばれる装置を作りました(1800年)。これが世界ではじめての電池です。

 ボルタの発明によって,それまで得ることが難しかった,連続した電流が得られるようになりました。そして,水の電気分解や電流についての実験などが行われるようになり,多くの発見や発明につながりました。しかし,ボルタの電池は,電圧がすぐ下がってしまうことや,装置も大きく,たおれると液がこぼれるなどの欠点がありました。

 その後,ボルタの電池の改良が進められ,1880年代に日本の屋井先蔵(新潟県長岡市)やドイツのガスナー(1855〜1942年)は,水溶液を固めた,液がこぼれない電池を発明しました(図(b))。このしくみは,液がこぼれない,乾いた電池なので「乾電池」とよばれています。

(a)ボルタの電堆
(b)屋井先蔵が作った乾電池

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.263>

資料 ダニエル電池に使うセロファンのはたらき

 セロファンには硫酸亜鉛水溶液と硫酸銅水溶液をわけるはたらきがあります。下図のように,セロファンが仕切りになり,左側の液が+の電気を帯びると,銅イオンは左側に広がっていくことができません。もしセロファンがなければ,銅イオンは亜鉛板に接して銅が生じるため,電流は流れません。

❶ 反応が進むと,硫酸亜鉛水溶液には亜鉛イオン(Zn²⁺)が増え,しだいに+の電気を帯びていく。硫酸銅水溶液には銅イオン(Cu²⁺)が減ってしだいに−の電気を帯びていく。

❷ 硫酸亜鉛水溶液中のZn²⁺は,−の電気を帯びた硫酸銅水溶液に引きつけられ,セロファンを通って硫酸銅水溶液中に広がっていくことができる。

❸ 硫酸銅水溶液中のSO₄²⁻は,+の電気を帯びた硫酸亜鉛水溶液に引きつけられ,セロファンを通って硫酸亜鉛水溶液中に広がっていくことができる。

❹ 硫酸銅水溶液中のCu²⁺は,+の電気を帯びた硫酸亜鉛水溶液に反発し,硫酸亜鉛水溶液中に広がっていきにくい。

❺ 硫酸亜鉛水溶液中のSO₄²⁻は,−の電気を帯びた硫酸銅水溶液に反発し,硫酸銅水溶液中に広がっていきにくい。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.264>

発展 どこまでが太陽系?

 太陽系外縁天体の多くは,惑星と同じような軌道面をもっている。その広がりを「エッジワース・カイパーべルト」とよんでいる。この領域に属する天体は,冥王星,カロン,エリスなどのように名前のついている天体で,その半径が1000kmを超える場合もある。

 これらの天体のさらに外には,「オールトの雲」とよばれる領域があって,そこにはすい星のもとになる天体があり,すい星はそこから太陽めがけて落ちてきて地球に近づくと考えられている。オールトの雲がなぜあるのかは諸説あるが,太陽系ができたときに中心に集まりきれなかった天体の名残であるといわれている。

 エッジワース・カイパーベルトとオールトの雲は図のようにつながっていると考えられている。つまり,オールトの雲が太陽系の縁ということができる。

エッジワース・カイパーベルトとオールトの雲(想像図)
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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.264>

発展 第二の地球はいつ見つかるか

 夜空にかがやく星は,太陽と同じような恒星である。太陽系では,太陽(恒星)のまわりを,それぞれ環境の異なる8つの惑星が公転している。では,ほかの恒星も太陽系のように惑星をもっているのだろうか。

 近年,観測技術の発達によって,恒星の中には,複数の惑星(太陽系外惑星)をもち,太陽系と似たようなすがたの恒星もあることがわかってきた。恒星とその周囲をまわる惑星をまとめて「惑星系」という。こうした惑星の中には地球型惑星もたくさんあることがわかっている。太陽系は,銀河系にたくさんある惑星系の1つなのである。

 また,太陽系外惑星の中には,液体の水が存在する可能性がある天体も見つかってきている。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(想像図)

地球から約150万km離れた場所で,多くの太陽系外惑星を調査している。

系外惑星はこれまでに合計5000個以上発見されているが,ほとんどは間接的な証拠にもとづいていて,実際に撮影されたものはまだ20個ほどしかない。この写真は,直接撮影された系外惑星(地球から約355光年)である。直径は木星より大きく,恒星からの距離は太陽から冥王星よりも遠い。上の4つの写真は,それぞれ異なる赤外線で観測した,1つの同じ系外惑星のすがたである。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.265>

発展 宇宙はいつはじまった?

 1929 年,天文学者ハッブル(アメリカ,1889 〜1953 年)は,数多くの銀河を観測して,遠くにある銀河ほど速いスピードで遠ざかっていることを発見した。こうした観測をもとに,ガモフら( アメリカ,1904 〜1968 年) は,1948 年に,宇宙は最初に超高温で高密度の状態であり,そこから爆発的に膨張がはじまったという考えを発表した。これが「ビッグバン」とよばれる現象である。

 この考えによると,ビッグバンがはじまって最初の約3 分間で,水素やヘリウムの原子核ができた。さらに,ビッグバンから約38 万年後には,これらの原子核が,まだ自由に動いていた電子をとらえて,原子となったといわれる。さらに時間がたつと,原子が集まって恒星や銀河ができていった。

 ビッグバンが起こったのはいつごろなのだろうか。天体どうしの距離を表す光年は,同時に時間も表している。たとえば,距離1000万光年の天体を地球から観測したとき,その天体の1000万年前のすがたを見ていることになる。

 現在では,130億光年以上離れた銀河が見つかっている。したがって,宇宙が誕生したのは130億年よりも前ということになり,ビッグバンが起こったのは約138億年前だと考えられている。

 宇宙は今も激しく活動していて,どこかで物質が集まって恒星や惑星になったり,これらがこわれて物質が散らばったりしている。また,ある原子から異なる種類の原子ができることもある。私たちのからだをつくる物質もその一部なのである。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.266>

資料 国によって変わる時刻

 1日や1時間という時間の単位は,もともと,太陽の日周運動をもとに決めていました。太陽が南中してから翌日再び南中するまでの時間を1日とし,その24分の1を1時間としたのです❶。

 地球は西から東へ自転しているので,東の方にある地点ほど太陽の南中する時刻が早くなります。
太陽が南中する時刻をその地点の正午とすると,たとえば東京と沖縄とでは時刻がずれてしまいます。そこで,日本では,東経135°の子午線が通る地点での時刻を,日本の「標準時」としています。

 世界のどの国でも,一般に経度が15°の倍数となる地点でその国の標準時を決めていて,国と国との標準時のちがい(時差)は1時間単位となっています(図(a))。

(a)時差の考え方

経度0°は,グリニッジ旧天文台があった場所と決められている。

(b)グリニッジ旧天文台(イギリス)

❶ 現在は「原子時計」を基準にして,時間がより正確に決められている。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.266>

発展 日食や月食がまれにしか起こらないわけ

 p.207図3では,新月のときは必ず日食が,満月のときは必ず月食が起こるように思えるが実際はそうではない。その理由は,右の図のように,地球の公転面に対して,月の公転面が少し傾いているからである。日食や月食が起こるのは,右図の(a)のように,地球の公転面を月が通過するときである。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.267>

資料 水生生物による水質調査

A 化学的な水質調査

 簡易水質検査試薬を使って,窒素化合物の濃度(生活排水などによる汚れを示す1つのめやす)などを調べてみよう。

①ピンをぬく。
②強くつまみ,  ピンをぬいた穴から  空気を押しだす。
③逆さにして  はかりたい溶液を  穴から吸いこむ。
④よくふって,  変化したあとの色と  見本を比べる。

B 水生生物による水質調査

 水深が30cmくらい,流速が30〜40cm/sくらいの,川底にれきや小石のある瀬などで,水生生物の種類を調査する。

① 下の表の生物を見つけたら,表の各地点のらんに○を記入する。特に多い2種類の生物には●を記入する。

② 水質階級ごとに点数を合計し,最も点数の多い階級をその地点での水質とする。

③ 複数の階級で同じ点数になった場合は,右の表のように,数の少ない階級(ⅠとⅡが5点であれば,Ⅰ)をその地点の階級にする。


 注意!! 
 先生の指示にしたがい,水の事故に十分気をつける。

*は幼虫を示す。★は汽水域(海水と河川などの水が混じり合っているところ)の生物を示す。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.268>

資料 放射線を「観測」する

A いろいろな場所で放射線の強さをはかる

校舎の中,校庭,花だんなど,場所を決めて測定する。

B 放射線源を使って調べる

① 放射線源からの距離を変える。

 ・ 距離によって放射線の強さは変化するか。機器の数値を記録して比べる。

② 放射線源をしゃへいする。

 ・ しゃへいする物質によって,放射線の強さは変化するか。

③ しゃへいする物質の厚さを変える。

 ・ しゃへいする物質の厚さによって,放射線の強さは変化するか。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.268>

資料 放射線を「観察」する

① ペトリ皿の周囲にスポンジを貼り,ペトリ皿の中央に放射線源を置く。

② エタノールをスポイトでとり,スポンジにたっぷりしみこませて,ふたをする。

③ 断熱材の上にドライアイスを少量置き,その上に②の装置を置く。

④ 部屋を暗くし,LEDライトの光を②の装置の側面から当て,②の装置の上から放射線源のまわりのようすを観察する。

①,②

③,④

観察したようす

一般に「観察」は変化やちがいなどを注意深く見るとき,「観測」は,主に数値を計測,記録するときに使います。天文や気象の分野で「観測」をよく使うのは,数値を記録する作業が多いからですね。

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※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.269>

資料 なるか,次世代の食用肉

 突然ですが,みなさんに人気の食べ物を思い出してみましょう。焼肉,鶏とりの唐揚げ,ハンバーグ…,肉が挙がることが多いのではないでしょうか。しかし,持続可能性の観点から,肉を食べる習慣を考え直す必要があるかもしれません。

●植物を肉の代わりに

 代用肉とよばれる食品があり,図(a)の例では,ダイズなどの植物に由来するタンパク質を肉に似た食感を得られるように加工してつくられます。

 代用肉は持続可能性の点で以前から注目されている食品です。それはなぜでしょうか。従来の畜産の方法では世界人口を支える持続可能性はないと心配されています。たとえば,食用肉の代表的な畜産動物であるウシは,主に植物からなる飼料で育てられて,食肉として出荷されます。このとき,食用肉(ウシの体重あたり約40%)1kgを得るのに,約25kgもの飼料が必要と試算されています❶。このことから,私たちが畜産動物より植物を優先して食べれば,食料が増えることになり持続可能性の高まる解決策の一つだと考えられているのです。 私たちが植物中心の食事に切りかえると,一見タンパク質が不足すると思えるかもしれません。しかし,ダイズやヒヨコマメの種子のようにタンパク質を多くふくむ植物性食品があり,それらもバランスよく摂取すれば問題はありません。ただ,肉を食べる満足感を得たい人もいます。代用肉が肉に似た食感を得られるようにくふうされているのはそういった効果もあります。

(a)大豆や米などでつくられた代用肉

●昆虫が候補にあがってくる

 従来の畜産に代わる解決策として,昆虫も注目されています(図(b))。昆虫は短期間で成長し,タンパク質を豊富にふくみます。たとえばコオロギであれば,食用部分(コオロギの体重あたり約80%)1kgを得るのに,必要な飼料は約2.1kgと試算されています。地域によっては,伝統的に昆虫をおいしく食べる文化が根づいており,今後食べやすい種類が品種改良でつくられるかもしれません。

(b)原料にコオロギをふくむ菓子

●食用肉を工場でつくる

 別の方法も検討されています。動物の筋肉の細胞を培養液(養分をふくむ液)の中で人工的にふやすことで,食用の「培養肉」を生産する技術が開発され,一部の国では生産と販売がはじまっています(図(c))。畜産動物ではない食用肉が得られ,さらに,家畜の飼育に比べて広大な農地を必要としない,同じ量の食用肉がより短い期間で得られるといった利点があり,発展が期待されています。

(c)培養肉

いずれもまだ課題は多いのですが,私たちの食生活を変えるかもしれない技術です。

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❶ 出典: Arnold van Huis,Potential of Insects as Food and Feed in Assuring Food Security, Annual Reviews, 2013 および,Barbara J. Nakagaki, Gene R. Defoliart, Comparison of Diets for Mass-Rearing Acheta domesticus (Orthoptera: Gryllidae) as a Novelty Food, and Comparison of Food Conversion Effi ciency with Values Reported for Livestock, Journal of Economic Entomology, 1991

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  • 3-s3 2023年1月1日
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