※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.74>
3|気体の性質
1 気体の集め方と粒子のモデル
小学校で学んだ二酸化炭素や酸素などの気体も,それぞれ異なる性質をもつ粒子でできていると考えることができる。
たとえば,二酸化炭素は水に少し溶ける性質があるが,酸素は水に溶けにくい。また,二酸化炭素も酸素も,その密度は空気よりも大きく,空気中を沈んでいく性質がある❶。このような性質によって,気体により集め方も変わってくる。
(a)水上置換法
(b)下方置換法
(c)上方置換法
図14 気体の集め方を粒子のモデルで考える
捕集する気体を,種類によって性質や質量の異なる粒と考える。
❶ それぞれの気体が,かたまりとしてふるまったときの性質である。混合物になってしまうと,均質になったまま変わらない。
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気体を粒子のモデルで考えると,その粒子は,種類によって決まった性質や質量があることがわかる。
酸素も二酸化炭素も目に見えないが,それぞれの性質のちがいは観察することができる。気体を特定する方法について,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究4 気体の区別
考え方を確認しましょう。ここでは,酸素と二酸化炭素をそれぞれ発生させます。
どちらも無色無臭の気体で,一見して区別はできません。
ただし,性質のちがいは目に見えます。目に見える性質のちがいは結果です。そして性質のちがいから,どちらが酸素か二酸化炭素かを判断できます。これが考察です。
酸素と二酸化炭素は,それぞれどのような性質をもつか。
発生した気体が有機物をよく燃やせば,それは 酸素だとわかる。
発生した気体の中に燃える物体を入れて,炎が消えれば,それは二酸化炭素だとわかる。
酸素と二酸化炭素を区別できるような特徴は,ほかに何があるかな。
酸素や二酸化炭素は,どのような方法で集めればよいかな。
酸素であることを確かめる方法はなんだったかな。
二酸化炭素を 確かめるための 薬品を準備しよう。
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気体A オキシドール(2.5〜3.5%過酸化水素水),二酸化マンガン(粒状)
気体B 石灰石,塩酸(5%)
共通 石灰水,線香,マッチ,白い紙,試験管(8),ゴムせんつきガラス管,ゴムせん(6),水そう,試験管立て,ピンセット,リトマス紙,保護めがね
1.気体を発生させ,試験管に集める
実験Aの方法で気体Aを,実験Bの方法で気体Bをそれぞれ発生させ,それぞれア〜ウの3本の試験管に集める。
気体A
ポイント
はじめに出てくる気体は,主に試験管の中にあった空気なので,実験には使わない。
ポイント
気体がたまった試験管は,水中でゴムせんをしてから取り出す。
注意!! 薬品が皮ふについたらすぐに水で洗う。
ここでは水上置換法で気体を集めています。酸素は水にあまり溶けず,二酸化炭素は水に少し溶ける程度なので,この方法が向いています。また,酸素も二酸化炭素も,空気より密度が大きいので,下方置換法を用いることもできます。
ポイント
試験管の口は水中に沈めたまま,試験管から水が落ちないように立ち上げる
オキシドールは消毒薬として使われます。皮ふと反応して気体が発生し,傷口の異物をふき飛ばすはたらきがあります。
水上置換法は,水蒸気が少し混ざってしまいますが,他の方法よりも純粋な気体を集めることができます。
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基本操作 気体の集め方
水に溶けにくい気体
水に溶けやすい気体
空気より密度が大きい
水に溶けやすい気体
空気より密度が小さい
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.77>
気体B
2.気体の性質を調べる
ア,イ,ウの試験管に集めた気体の性質を,それぞれ下のようにして調べる。
ポイント
ポイント
AとBのどちらが酸素で,どちらが二酸化炭素といえるか,理由を説明する。
レポートの考察をかくときは,解釈したことと,そのもとになった事実をかき分けることに気をつけましょう。
たとえば,「線香の火が消えた」は事実,「二酸化炭素だと考えられる」は解釈したことだね。
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基本操作 気体の性質の調べ方
注意!! 石灰水を使うときは保護めがねをかける。液が目に入ると危険である。
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探究4 結果から考察する
この教科書では,①の状態を「火のついた線香」,②の状態を「激しく燃えた」と表現している。
図16 実験AとBの結果例
実験AとBで発生した気体の性質を比較すると,図16のようなちがいがあった。
- 実験Aで発生した気体は酸素であると考えられる。この気体に火のついた線香を入れたとき,激しく燃えたためである。
- 実験Bで発生した気体は二酸化炭素であると考えられる。石灰水を入れてよくふると白くにごり,この気体に火のついた線香を入れたとき,火が消えたためである。
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.79>
2 そのほかの気体
気体には,二酸化炭素,酸素,窒素などのほかに,水素,アンモニアなどさまざまな種類がある。水素やアンモニアは図17,19のように発生させ,それらの性質を確認することができる。気体の性質は,次ページの図21のようにまとめられる。
注意!!
① 水素の確認には,必ず試験管を使う。水素は爆発的に燃えるため,口の小さい大きな容器(フラスコなど)を使うと危険である。
② 発生装置に直接火をつけてはいけない。火を使う実験は,発生装置から離れて行う。
③ 点火するときは,やけどに注意する。
④ 実験のときは保護めがねをかける。
注意!!
① アンモニアはよぶんに発生させない。実験は換気に注意して行う。
② 実験のときは保護めがねをかける。
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.223>
資料 アンモニアを使った噴水
アンモニア(p.79)が水に非常によく溶ける性質と,水溶液がアルカリ性を示す性質を利用して,フラスコの中に赤い噴水を生じさせる実験があります。
図のように装置を組み立て,フラスコにアンモニアを満たします。はじめにフラスコの中にスポイトで少量の水を入れると,その水にアンモニアが溶けてフラスコ内の気体が少なくなり,ガラス管を通って水が下のビーカーから吸い上げられます。すると,その水にさらにアンモニアが溶けてフラスコ内の気体が少なくなり,それがくり返されることで,吸い上げられた水が勢いよく噴水となります。
下のビーカーの水に「フェノールフタレイン溶液」という薬品を溶かしておくと,アンモニアが溶けた水が赤色になり,赤い噴水となります。
注意!! 実験を行うときは,保護めがねをかけ,換気に注意する。
フェノールフタレイン溶液は,酸性や中性の水溶液中では無色ですが,アルカリ性の水溶液中では赤色に変化します。
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.80>
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資料 混ぜるな危険
洗剤や漂白剤,カビ取り剤などに「まぜるな危険」の表示を見かけることがあります。この表示があるのは,それらの洗剤などの中でも,「塩素系」「酸性タイプ」と分類されているものです。
p.74〜81では,いろいろな気体を発生させる方法を学びました。「塩素系」の漂白剤やカビ取り剤などと,「酸性タイプ」の洗剤や漂白剤を混ぜると,気体の塩素が発生します。塩素は有毒で,目,鼻,のど,肺をいためるなどの害があります。
お風呂の掃除などで,しめきって2種類の薬品を使い,実際に害が出る事例も起こっているので,十分に気をつけましょう。特に塩素系洗剤にふくまれる成分は,皮ふをいため,目に入ると危険なので,ゴム手袋,保護めがねを身につけるなどの対応が勧められています。
塩素系の漂白剤やカビ取り剤などは,理科の実験であつかうとしたら,必ず保護めがねを使用しなければならない薬品をふくんでいます。日常でも注意してあつかう必要があります。