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1|地層のでき方
1 風化と流水のはたらき
大地をつくる火成岩などの岩石は非常にかたい。しかし,かたい岩石も,長い年月の間に気温の変化や雨水などのはたらきによって,しだいにもろくなったり,こわれたりしていく(図2)。岩石がくずれ,粒になっていくことを【風化】という。
流水は岩石をけずったり,岩石の一部を溶かしたりする。このような水のはたらきを【侵食】という。風化や侵食によって土砂(れき,砂,泥)ができる。土砂は流水によってより低い場所へと運ばれる。流水が土砂を運ぶはたらきを【運搬】という。
流水の流れが弱くなったり,流れが止まったりする場所では,土砂が積もる。土砂が積もることを【堆積】といい,土砂の堆積する海底などでは【地層】ができる(図1)。堆積は非常に長い時間をかけてくり返されて,地層は上に積み重なっていく。
一般に地層は上に積み重なっていくので,下ほど古く,上ほど新しいということになります。
2 地層をつくる岩石〜堆積岩〜
堆積した土砂は,上から堆積してくる土砂の重さで圧縮される。すると,長い年月の間に,土砂の粒の間の水がぬけて粒どうしがくっつくことで,かたい【堆積岩】になっていく。
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① 山地で土砂ができる(風化・侵食)
気温の変化で岩石が膨張や収縮をくり返してもろくなったり,岩石のすき間に入った水がこおってすき間を広げたりして,岩石がくずれていく。風化・侵食でつくられた土砂は,流水によって山地から運搬される。
② 川は土砂を運ぶ(運搬)
流水によって山地から運搬された土砂は,より下流へと流される。洪水のときは,特に激しい侵食・運搬が起こる。また,このとき小さな粒ほど下流へ流される。
③ 土砂は主に海で堆積する(堆積)
河川の流れがゆるやかになると,運ばれてきた土砂が堆積する。洪水のときは河川を超えて土砂が堆積し,平野ができる。
河口まで運ばれてきた土砂が海に入ると,流れがなくなるため,流れこんだところで堆積する。泥などの小さい粒はさらに沖まで運ばれて堆積する。
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堆積物がかたまってできた堆積岩とは,どのような岩石だろうか。堆積岩をどのように科学的に分類できるだろうか。
探究4 堆積岩の分類
主に海底に堆積した土砂などは,時間がたつと堆積岩になるんだね。堆積岩とはどのような岩石なんだろう。火成岩とちがうのかな?
火成岩は,火山の地下や地表でマグマが冷えることでできるんだよね。堆積岩は海で堆積した土砂からできるから,でき方が異なるね。
地層には化石がふくまれることがあるんだよね。海で堆積した土砂からできた堆積岩なら,貝殻などが入っているのではないかな?
堆積岩はどのような特徴をもち,どのように分類できるか。
準備
さまざまな堆積岩(れき岩,砂岩,泥岩,石灰岩,チャートなど),塩酸(5%),ルーペまたは双眼実体顕微鏡,金属製のくぎ,ぺトリ皿(2),スポイト,軍手,保護めがね
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基本操作 ルーペの使い方
① レンズを目に近づけて固定する。
② 観察するものを前後に動かして,よく見える位置を探す。
観察するものが動かせないときには,顔を前後に移動させます。
注意!! ルーペで太陽を見たり,観察するものを太陽の方にかざしてルーペで見たりしてはいけない。失明の危険がある。
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基本操作 双眼実体顕微鏡の使い方
双眼実体顕微鏡は倍率が20〜40倍で,ルーペで見るには小さすぎる試料の観察に適している。また,2つの接眼レンズと対物レンズをもつので,両目で立体的に観察できる。
注意!! 持ち運ぶときは両手でしっかりと持つ。
ポイント
ステージは取り外しができ,片面は黒く,もう一方の面が白い。試料が見やすい面を使う。
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① 石灰岩やチャートなどをくぎで引っかき,傷がつくか調べる。
② 石灰岩やチャートなどに塩酸を2,3滴かけてようすを見る。
- れき岩の粒は丸い形をしていて,火成岩の角ばった粒とは異なっていた。
- チャートは,くぎで傷がつかなかった。石灰岩などそのほかの岩石は,くぎで傷がついた。
- 石灰岩に塩酸をかけると気体が発生した。チャートなどその他の堆積岩には変化がなかった。
- れき,砂,泥からなる岩石は,土砂からなるという基準でまとめられる。
- れき岩や砂岩にふくまれる粒の多くは丸みをおびている。これは,流水によって運搬される間に粒がぶつかり合い,粒の角がけずられて丸くなったからだと考えられる。
石灰石に塩酸をかけると二酸化炭素が発生するよね。だから,石灰岩に塩酸をかけて発生した気体は二酸化炭素じゃないかな?
チャートは,くぎで傷がつかないほどかたいんだね。何からできているのだろう?
れき岩や砂岩にふくまれるれきや砂は,丸い形だね。凝灰岩にふくまれる火山れきや火山灰は,角ばっていたよ。
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堆積岩は,岩石にふくまれる主な粒が,れき,砂,泥かによって,それぞれ【れき岩】,【砂岩】,【泥岩】に分けられる。また,堆積岩にはこれ以外にも,生物の死がいなどが固まってできた【石灰岩】や【チャート】,火山灰などが固まってできた【凝灰岩】がある(表2)。
チャートはかたいため,侵食されづらく,地形の高まりとして残りやすい。石灰岩は雨水(弱い酸性)に侵食されて,カルスト地形などができる。
図10 堆積岩と地形
石灰岩,チャート,泥岩からは,目に見えないほど小さな生物(微生物)の殻の化石(微化石)が見つかる。主な微化石には,ケイソウ,放散虫,有孔虫がある。(写真はいずれも現在生きている種類)
図1 殻をつくる微生物
❶ 貝殻やサンゴは炭酸カルシウムでできていて,塩酸をかけると二酸化炭素が発生する。二酸化炭素を発生させる実験で用いる石灰石は,石灰岩である。
❷ 放散虫の殻(二酸化ケイ素)でできている。塩酸をかけても変化がない。
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資料 コンクリートと砂岩は似ていて異なる
岩石は,建築・土木材料として古くから利用されてきました。現在では,天然の岩石よりもずっと便利な「コンクリート」が使われることが一般的です。コンクリートは天然の岩石ではありません。
コンクリートの材料は,砂や小石と「セメント」です。セメントは,主に石灰石などをくだいて粉にしたあと加熱して変化させたものに,石こう(硫酸カルシウムを主成分とする鉱物)を加えたものです。
セメントは,水を混ぜるといったんどろどろになりますが,時間がたつと熱を出しながら固まります。砂や小石にセメントと水を混ぜると,砂や小石のすきまをセメントがうめて固まり,砂や小石を接着してコンクリートになるのです。
発展
セメントが砂や小石の粒を接着するのとよく似た現象が自然界にも見られます。地層の堆積物の粒のすき間にある水は,鉱物の一部を溶かし,溶けた鉱物が長い年月の間に再結晶して固体になることで,堆積物の粒と粒をくっつけます。このはたらきを「こう結作用(またはセメント化)」といいます。こう結作用は,地下で押しかためられる「圧密作用」ととともに,堆積物のやわらかな地層をかたい堆積岩に変えるはたらき(続成作用)の一つです。
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【米国の国宝級「月の塵」が競売に】 2023年3月1日人類が初めて地球以外の天体に降り立ったのは,1969年のアポロ11号の月着陸ミッション。このとき採取された月面のサンプルは,人類が採取した地球外の物体の最初の例となりました。 月には大気がないため,月面の塵は常に太陽風(太陽から噴き出すプラズマの流れ)にさらされて静電気を帯びています。採取されたサンプルを入れた袋にも月の塵は付着し,サンプル袋を納めた保護袋の内側にも入り込みました。 月の塵が付いた保護袋は展示のためにNASAから貸し出されましたが,展示館の館長によって密かに売却されてしまいます。その後も数奇な運命をたどった月の塵の一部が,2022年4月13日にオークションに出品され,約6300万円で落札されました。 もと記事リンク