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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.190>

3|大地の変化

 地震にともなう大地の変化

 断層や,断層にともなったずれが地表にも達して,大地が上下に変化することがある(図13)。大地がもち上がることを【隆起】といい,沈むことを【沈降】という。

 図14(a)のような,崖と海の間に見られる平らな地形は,波によってできた平らな海底が地震にともない隆起してできた地形である。図14(b)のような,平地に小さな丘が点在する地形も,地震にともなって海底が隆起してできた地形である。

平成28年熊本地震の際に地表まで達した断層 (熊本県益城町)

図13 断層によって生じた大地のずれ

(a)関東地震(1923年)のときに隆起してできた地形

(b)象潟地震(1804年)のときに海底が隆起してできた地形

(c) 東北地方太平洋沖地震(2011年)のときに沈降し,満潮時には海面下になってしまう土地

地震前後の地形の変化を示すモデル 東北地方太平洋沖地震では,海底の地形が,水平方向に最大50m,垂直方向には最大7m変化した。

図14 地震にともなう海岸付近の変化

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.191>

 津波

 地震にともない海底が急激に隆起すると,それにともなって海水がもち上げられる。もち上がった海水は,大きな水のかたまりとして,まわりに広がっていく(図15)。こうしてできた水のかたまりが,陸地に押し寄せる現象を津波という。

図15 津波が起こるしくみ

 地層の変形

 一般に,地層は土砂が水平に堆積してできるが,私たちが露頭で見る地層の多くは,傾いたりずれたりと変形している。それは,プレートの動きによって,地層にゆっくりと大きな力が加わり,地層が変形するからである(図16)。

 地層に押す力や引く力がはたらいてできるずれが断層である。また,地層に押す力がはたらくと,波打つように曲がることがあり,これを【しゅう曲】という(図17(b))。このような変形を調べることで,地層にどのような力がはたらいたかを知ることができる。

図16 地層にはたらく力と変形のしかた

(a)断層(千葉県いすみ市)

(b)しゅう曲(宮城県牡鹿半島)

図17 地層の変形の例

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.192>

4 長い年月の間に起こる大地の変化

 大地は,地震にともなって急激に隆起・沈降するだけでなく,常にわずかずつ変化している。たとえば,日本列島周辺の大地は,海洋プレートの動きによって力が加わり,上下方向(図18)にも水平方向にも変化し続けている。その量は小さくとも,何万年,何百万年と時間がたつと,大地は大きく変化することになる。山などの地形をつくる原因の1つが,このようなプレートの動きである。

最大で60cm隆起,または沈降している場所がある。

図18 最近100年間の隆起・沈降

5 大地形のでき方

 図19のような世界の地形図を見ると,【海嶺】❶や【海溝】,山脈のような大地形があることがわかる。こうした大地形は,プレートの動きによってつくられる。

 海嶺の中央には割れ目があり,そこからマグマがわき出して,山脈のような地形ができる。マグマは,両側に広がりながら冷えてかたまり,海洋プレートになる。海洋プレートは大陸プレートの下に沈みこみ,海溝ができる。また,大陸プレートどうしの衝突により大地が隆起すると,ヒマラヤ山脈などの山脈ができる。

 プレートが沈みこむ場所は帯状で,その地下ではマグマが発生しやすくなり,帯状に火山ができやすい。こうしてできた火山の連なりを火山列島といい,日本も火山列島に分類される。

プレートが沈みこむ場所でマグマが発生しやすくなります。地球の内部にマグマがつまっていて,それが噴き出すわけではありません。

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❶ 海底の山脈のような地形。

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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.238>

発展 大地の変動をプレートの動きで説明する

 ドイツのウェゲナーは,大西洋をはさむ南米大陸の東の海岸線と,アフリカ大陸の西の海岸線が,まるで1つのものが2つに切り離されたような形になっていることに気づいた。そこで彼は,各地の大陸で共通する種類の化石が多いことなど,当時集められるかぎりの証拠をもとに,もともと1つであった大陸が分裂し,移動して現在の配置になったという「大陸移動説」を発表した。しかし,当時は大陸を動かす力をだれも説明できなかったので,この説は認められなかった。

 現在では,さまざまな研究や観測方法の発達により,プレートが動いてきたことが明らかになり,また,プレートが動く原動力は,主に,冷えた海洋プレートの密度が大きくなり,地球の内部へ沈みこもうとする力であることがわかっている。さまざまな大地の変化をプレートの動きで説明する考えである,「プレートテクトニクス」はこのようにして発展してきた。

 大陸はプレートにのって,図(a)のように動き,現在の位置にあると考えられている。たとえばインド大陸も最初から今の位置にあったわけではなく,南から北上してユーラシア大陸と衝突したことがわかっている(図(b))。このような活動の結果もち上がった部分がヒマラヤ山脈である。プレートは現在も動き続けているので,現在の世界地図は,何千万年,何億年先には大きく変わってしまうだろう。

ウェゲナー (1880〜1930年)

(a)大陸の移動

ヒマラヤ山脈では,中生代の海にすんでいたアンモナイトなどの化石が見つかる。これは,かつてインド大陸とユーラシア大陸のあいだにあった海の地層が押し縮められ,隆起してヒマラヤ山脈の一部をつくっているからである。

(b)インド大陸の移動
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.239>

発展 プレートの動きを海山列で知る

●西へ行くほど古いハワイ諸島

 太平洋の伊豆・小笠原諸島は,海洋プレートが海溝から沈みこんだところで生じたマグマの活動(p.192)によってできた火山による島々の列です。一方,太平洋の真ん中にあるハワイ諸島は,火山島が列をなしていますが,この列島の近くに海溝はありません。どうして火山列島ができたのでしょうか。

 この疑問を解くかぎは,島々の火山の年代のちがいにあります(図(a))。いちばん東のハワイ島は現在も活動する新しい火山がありますが,さらに西の島々は西へ行くほど活動した年代が古いことがわかっています。

(b)海山列のでき方

●プレートの運動によってできた火山列島

 ハワイ諸島のでき方は図(b)のように考えることができます。太平洋プレートの下にある熱源(ホットスポット)は,プレートをつきぬけてマグマを海底に噴出させ,海底火山をつくります。海底火山が成長すると,ハワイ島のように海上に出た火山島になります。

 ホットスポットはほぼ動きませんが,太平洋プレートは西へ運動しているため,ホットスポットとプレート上の火山の位置はずれていきます。火山の下にマグマがなくなると,その火山は活動を停止しますが,すぐ東の海底に新たな海底火山ができます。このようにして,長い年月の間に,次々と同じ場所で新しい海底火山ができ,古い海底火山や火山島はプレートの運動によって西へと運ばれ,海底火山や火山島の列ができます。

●運動の方向を変えた太平洋プレート

 ハワイ諸島の西の端から北へ向かって,天皇海山列という海底火山の列があり,北へ行くほど年代が古くなっています。天皇海山列も,ハワイ諸島とならぶ方向が大きく異なるのは,プレートの運動方向が4000万年ほど前に大きく変化したためと考えられています。

数値の単位は「万年前」で,火山が活動した時期のめやすである。

(a)ハワイ島とそれに続く海山列の地質年代
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※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.193>

マグマができる深さは100km〜150kmで,地球の半径約6400kmと比べると,非常に浅い。発生したマグマは,その密度(→p.56)が,まわりの岩石より小さいため,浮き上がろうとする。マグマが多く発生してマグマだまりに運ばれたり,プレートの動きなどによってマグマだまりに加わる力が変わったりすると,噴火が起こりやすくなる。

図19 沈みこみと大地形

ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

  • 【トンガ沖大規模噴火 なぜ日本で想定外の津波が起こったのか】 2023年3月1日
    トンガ沖の海底火山が大噴火を起こした影響ははるか8000キロ離れた日本にも及び,太平洋に面した沿岸に津波が押し寄せました。 この「津波」には,通常の地震による津波とは大きく異なる特徴がありました。本来,津波は一定の速度で伝わり,発生場所に近いほど高くなります。しかし,今回の津波は津波の速度から予測されるより2時間ほども早く到達し,日本よりトンガに近いミクロネシアでは10~30センチほどだったのに,より遠い日本付近で1メートル前後になったのです。 この謎を解くヒントが,今回の噴火の際に観測された急激な気圧の変動です。トンガ沖の爆発的噴火による大気波動により津波(気象津波・メテオ津波)が起き,さらに大気波動の振動と津波の振動が共鳴した場所で津波が高くなった可能性が指摘されています。 もと記事リンク
  • 【地球の中心部分「内核」,その回転が変化している】 2023年3月1日
    地球には,表面の地殻の下にマントル,外殻があり,最も中心部には鉄やニッケルなどからなる「内核」が存在します。内核は液状の外殻の中に浮いているような状態のため,地表と異なる回転をすることができます。 この内核の回転について,1970年代には地表より早く回転していたが,現在は地表よりも遅く回転しており,回転速度が周期的に変化しているという論文が1月23日に発表されました。実際に掘って確かめてみたいところですが,内核の温度は5000~6000℃ほど。直接観測はできないため,この研究は,内核を通って伝わる地震波を分析して行われました。 ただ,多様な議論もあるようで,これから研究が活発化することが期待されています。 もと記事リンク 論文

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