※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.216>
1|気圧と風
1 等圧線
気温や湿度が時間とともに変化するように,気圧も時間とともに変化している。また,気圧は場所によっても異なる。同時刻に観測した各地の気圧を地図上に記入し,気圧の同じ地点をなめらかな線でつなぐと,地形図の等高線に似た曲線となる。これを【等圧線】という(図1)。
等圧線は,交わったり,途中で切れたり,枝分かれしたりしません。これも等高線の表現と同じです。
2 天気図
等圧線を引くと,等圧線が木の年輪のように丸く閉じている場所ができることがある。そのような場所で,中心の気圧がまわりよりも高いところを【高気圧】,低いところを【低気圧】という❶。
高気圧や低気圧が分布しているようすを【気圧配置】という。地図上の気圧配置に各地の風向・風力,天気,前線(→p.218)などをかきこんだ図を【天気図】という(図2)。
まわりより気圧が高い場所の中心に「高」,まわりより気圧が低い場所の中心に「低」とかくんだね。
❶ 観測地の標高のちがいによる影響を除くため,観測した気圧は,海面の高さでの値に計算し直して使う決まりになっている。
❷ 高気圧や低気圧は,中心の気圧が周囲よりも高いか低いかを表す。1気圧(約1013hPa)より高いか低いかを表すものではない。
※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.217>
3 気圧と風のふき方
気圧に差があるところでは,気圧の高い方から低い方へ向かって空気が動く(図3)。これが風である。等圧線の間隔がせまいほど気圧の変化が急なので,風は強くふく。
図4のように,低気圧では,風は反時計回りに外側からうずを巻くように中心へとふきこむ。低気圧の中心部は,ふきこんだ空気が集まって上昇気流となるため雲が発達しやすい。一方,高気圧では,風は中心から外側に向かって,時計回りにうずを巻くようにしてふき出す。高気圧の中心付近は,下降気流(下に向かう空気の流れ)があるため雲ができにくく,晴れることが多い。
大規模な空気のかたまりの気温が下がったり,ほかの原因で下降気流が生じるところでは,高気圧ができやすくなります。
発展
風は気圧の差によってふくが,その向きは等圧線に垂直にならない。これは,地球が自転しているために起こる現象である。北半球の場合,下図のように風の向きが傾く。
ニュース
- 【空白の高層天気図 気象庁,異例の対応へ】 2023年3月1日異例の寒波に襲われている日本列島。天気予報には,地表だけでなく,上空の観測データが欠かないため,ラジオゾンデと呼ばれる気球を上空数千メートルまで上げて観測します。かつては手作業でしたが,現在は水素の充填から打ち上げまで自動でできる装置が導入されています。 ところが,この装置で火災が相次ぎ,現在は全国16か所のうち4か所が停止中。寒波が真っ先に到達する輪島の観測データも取れなくなりました。そこで,急きょ輪島に職員を派遣し,2月末まで手動で気球を上げることになったそうです。寒波の中,天気予報は命を守る重要な情報ですが,このように多くの見えないヒーローによって支えられているのです。 もと記事リンク