※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.185>
2|太陽の動き
太陽の1日の動きを,宇宙からの見え方と地球上からの見え方の2つで理解しようとしたとき,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究4 太陽の動きと観測者の関係
観測者から見た太陽の1日の動きは,宇宙から見たときどのように説明できるのでしょうか。
下のスライドから,太陽の動きをアニメーションで確認することもできます。
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図7 1日の太陽の動き(埼玉県越谷市)
1日の太陽の動きは,「宇宙からの見え方」「地球上からの見え方」でどのように説明できるか。
太陽は真東からのぼって真西に沈むはず。天球で表したとき,動きはこのようになるんじゃないかな?
地球にいる観測者から太陽を見ると,太陽はどのように動いて見えるだろう。
地球の地軸は公転面から傾いていて,観測者が私たちのすんでいる北半球にいると考えよう。このときの太陽の見え方をどうやって表そうか。
太陽との角度が複雑でモデルが立てにくいな。地球儀と光源をもってきて,実際に観測者と太陽との関係を考えたほうがよさそうだね。
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コンピュータの天文ソフトを使って,太陽の道筋を調べてもよいですね。
準備
方位磁針,時計,透明半球,厚紙,油性ペン,セロハンテープ,ものさし,自作の球面分度器
1.透明半球を固定する
厚紙に透明半球と同じ大きさの円をかいて中心を決める。透明半球を厚紙にはりつけ,方位を定めて野外の水平な場所に固定する。
2.透明半球に太陽の位置を記録する
油性ペンの先端の影を円の中心に合わせて印をつけ,時刻を記入する。この操作を1時間ごとに行う。
ペンの先端の影を中心に合わせると,右のように,透明半球につける印は,半球の中心に観測者がいると考えたとき,観測者から見た太陽の位置と一致します。
注意!! この図は考え方の説明である。実際に半球の中心で観測をするわけではない。
3.太陽の位置を曲線で結ぶ
① 観測した点をなめらかな曲線で結ぶ。その線を透明半球と厚紙が交わるところまで延長する。
② ①の曲線で,太陽の高さ(太陽高度)が最も高くなったときの角度を球面分度器ではかり,印をつけておく。
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ポイント
太陽高度が最も高くなったときの方位,またそのときの時刻に注意して記録する。
ポイント
透明半球に記録した太陽の道筋を説明するモデルを考える。
探究5 太陽の道筋の季節変化
方法1.〜3.のようにして,太陽の道筋の1日の変化を季節を変えて観測する(たとえば,冬至,春分・秋分,夏至など)。
このとき,季節ごとの太陽の道筋を1つの透明半球に記録する。
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探究4 結果から考察する
- 太陽は東の空から昇り,南の空を通って西の空に沈む。
- 太陽が最も高くなったときの方位…南
- 太陽が最も高くなったときの時刻…12時ごろ
- 透明半球につけた印を結んだ曲線は,日の出から日の入りまでの太陽の動きを表している。
- 曲線の先が厚紙と交わる2つの点は,それぞれ,日の出と日の入りの方位である。
- 透明半球上で1時間ごとの太陽の動く距離は一定である。
地球上に観測者を立たせて,地球を自転させると,観測者から見える太陽の方向は,時間とともに図9のように動いた。このように考えると,太陽の道筋が説明できる。
地球上の観測者から見ると,太陽の見える方向がだんだん変わっていくことがわかります。
このモデルから考えると,観測者が南を向いているとき,太陽の位置は観測者の左手側から右手側(東→南→西)と変わっていきます。
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1 太陽の1日の動き
太陽の1日の動きを,太陽の【日周運動】という。太陽の日周運動で,太陽高度が最も高くなるのは,太陽が真南の方向にきたときである。このとき太陽が【南中】❶したといい,南中したときの高度を【南中高度】という。太陽の日周運動は,地球が地軸を中心にして,1日に1回,一定の速さで西から東へ自転していることによって起こる(図10)。
下のスライドから,この図の見方をアニメーションで確認することもできます。
㋐〜㋔は,図10と一致する。
図11 太陽の見かけの動き
❶ 太陽に限らず,天体が真南の方向にきたことを南中という。
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資料 国によって変わる時刻
1日や1時間という時間の単位は,もともと,太陽の日周運動をもとに決めていました。太陽が南中してから翌日再び南中するまでの時間を1日とし,その24分の1を1時間としたのです❶。
地球は西から東へ自転しているので,東の方にある地点ほど太陽の南中する時刻が早くなります。
太陽が南中する時刻をその地点の正午とすると,たとえば東京と沖縄とでは時刻がずれてしまいます。そこで,日本では,東経135°の子午線が通る地点での時刻を,日本の「標準時」としています。
世界のどの国でも,一般に経度が15°の倍数となる地点でその国の標準時を決めていて,国と国との標準時のちがい(時差)は1時間単位となっています(図(a))。
❶ 現在は「原子時計」を基準にして,時間がより正確に決められている。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.190>
2 太陽の1年の動き
p.187探究5の継続観測を行うと,太陽の道筋は季節によって大きく異なることがわかる(図12)。
日本では,太陽の南中高度は夏至の日に最も高く,冬至の日に最も低くなる(図13)。また,昼の長さは夏至の日に最も長く,冬至の日に最も短い。春分の日と秋分の日には,昼と夜の長さはほとんど同じになる(図14)。
季節による昼夜の時間のちがいは,図15のような方法で,太陽の道筋のちがいは図18のような方法で確かめることができます。
(a)ある年の日の出の位置の変化
(b)太陽の道筋の季節変化
図12 季節による太陽の変化(東京)
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.191>
① マーカーペンを日本の位置に当て,地球儀を1回転させて,日本を通り赤道に平行な線を引く。
② 地球儀と光源を机の上に置き,地球の公転モデルをつくる。
③ 地球儀をA,B,C,Dに置き,マーカーペンの線を利用し,暗い部分の長さをはかる。
④ A,B,C,Dで光源のおよその高度(南中高度に当たる)を分度器で調べる。
- Aの南中高度が最小になり,昼の長さが短いので,Aが冬である。
- Cの南中高度が最大になり,昼の長さが長いので,Cが夏である。
- 地球の公転の向きを考えると,Bが春でDが秋である。春と秋の南中高度と昼の長さは,夏と冬の中間くらいになる。
図15 季節による昼夜と南中高度の変化
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.192>
3 季節による変化
地球は,地軸を公転面に垂直な方向から約23.4°傾けたままで公転している。このため,日本付近では,夏は,冬や春・秋に比べて太陽の南中高度が高くなるだけでなく,昼の長さも長くなる。したがって,地面が1日に受ける太陽からのエネルギーは夏がいちばん多くなる(図16)。その結果,夏に暑く,冬に寒いという季節による変化が生じるのである。
地球から見て,太陽は非常に遠くにあるため,地球にとどく光線はほぼ平行になっています。
太陽が真東,真西を通るのは,春分と秋分だけなんですね。常に真東と真西を通るとかんちがいしてました。
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春分のときは,太陽が真東から昇って,真西に沈むんですよね。図16の春の地球と太陽の関係で,なぜこのような太陽の道筋になるのかイメージできません。
確かめてみましょう。手前に太陽(LED ライト)を置き,地球儀の日本の位置に小型透明半球を貼ります。探究4 と同じように,ペンで光源の位置を小型透明半球上に記録しています。夏至,秋分,冬至でも同じように,地球と太陽の位置関係を変えて,光源の位置を記録すると,太陽の道筋がえがけます。
図18 日本での太陽の道筋を確かめる(春分の場合)
(a)
北半球が夏至のとき,この図のように,地軸は太陽の側に傾いている。
(b)
北半球が夏至のとき,北極付近の太陽の日周運動は,(b)「夏至」のようになる。このとき太陽が地平線に沈まない。この現象を「白夜」という。白夜は,北緯66.6°以北,南緯66.6°以南で見られ,その地方は,それぞれ,「北極圏」,「南極圏」とよばれる。
(c)
北半球が夏のとき,南半球は冬である。南極圏では,(c)「北半球が夏至のとき」のように1日中太陽が昇らない日が続く。
(d)
赤道の日周運動は(d)「夏至」のようになる。また,赤道では1年を通して昼と夜の長さは同じになる。
図19 緯度と太陽の道筋
図18の実験を,いろいろな緯度で試してみると,図19の太陽の道筋がわかります。
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【「1年」がわずか16時間,観測史上2番目に熱い太陽系外惑星が見つかる】 2023年3月1日地球から見てヘラクレス座の方向に約855光年,「TOI-2109」と呼ばれる恒星が,観測史上2番目に熱い太陽系外惑星をもつことが発見されました。この惑星は恒星TOI-2109のまわりを16時間で1周しており,これは地球における「1年」がこの惑星においてはわずか16時間しかないことを意味します。 この惑星は主星である恒星TOI-2109に非常に近い場所を回っていることから,昼側の表面温度は摂氏およそ3330度(約3600ケルビン)と推定され,そう遠くない将来にスパイラル(らせん)を描いて主星へと落下することになると予想されています。 もと記事リンク 論文