※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.204>
1|月の満ち欠け
1 月の満ち欠け
月が満ち欠けして見えるのは,地球(観測者)から見た太陽と月の位置関係が変わり,太陽の光の当たり方が変化するためである(図1)。また,毎日同じ時刻に観測していると,月が動いていくように見えるのは,月の公転が原因である。
探究2の結果(p.165)をもとに太陽,観測者,月の関係を考えていきましょう。
p165探究2で,日没直後の18時に月を観測しているので,観測者は図1①のAの位置にいることになります。図1の①~⑤は,毎日日没直後に観測した場合,⑥~⑧は,毎日明け方に観測した場合を示しています。
毎日,同じ時刻に観測するということは,観測者は地球が1回自転するごとに毎日同じ位置にいるということです。このとき月の見える位置が変わるのは,月が公転しているからです。
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図1 月の満ち欠けと太陽・月・地球の位置関係
②~⑧の太陽の光は,①と同様に図の上側からとどいている。
毎日日没直後に観測していると,満月から先の状態の月は見えなくなります。⑥〜⑧は,明け方に観測した場合に切りかえています。
↓人と月をドラッグすることができます。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.206>
そうか!小学生で月の見える位置や形を学習したときは,観測者の視点しか考えていなかったんだね。観測者が地球上にいる状態を,宇宙視点で考えると,図2のようなモデルになるよ。
地球を中心として,太陽と月のなす角が0°のときは新月になって,逆に,太陽と月が地球をはさんで180°の関係にあるときは満月が見えるんだね。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.207>
2 日食と月食
地球は太陽のまわりを1年で1周しており,月は地球のまわりを約1か月で1周している。この間に,これらの天体が太陽・月・地球の順や,太陽・地球・月の順でならぶことがまれに起こる(図3)。地球から見たとき,月が太陽に重なって太陽がかくされる状態を【日食】といい(図4),月が地球の影に入る状態を【月食】という(図5)。
日食が起こるのは新月のときで,月食が起こるのは満月のときである❶。
❶ 図3では,新月のときは必ず日食が,満月のときは必ず月食が起こるように思えるが,実際には,完全に直線にならぶことはまれである。(→ p.266)
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.266>
発展 日食や月食がまれにしか起こらないわけ
p.207図3では,新月のときは必ず日食が,満月のときは必ず月食が起こるように思えるが実際はそうではない。その理由は,右の図のように,地球の公転面に対して,月の公転面が少し傾いているからである。日食や月食が起こるのは,右図の(a)のように,地球の公転面を月が通過するときである。
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【紀元前の人々は,月食を利用して月の大きさを算出していた!】 2023年3月1日人類が初めて月や太陽の大きさ,地球からの距離を測ったのはいつ頃か,ご存じですか。 実は,今から2,000年以上前,古代ギリシャの哲学者たちは,簡単な道具と肉眼,自らの頭脳だけでそれらを算出していました。 例えば月の大きさを推測するのには,皆既月食を利用しました。月の端が欠け始めてから完全に隠れてしまうまでの時間を計測し,次に月が完全に隠れてから月の端が光り始めるまでの時間を観測することで,月の直径が地球の直径の約1/4であることを求めたのです。 では,月までの距離はどうすれば求められるでしょう? ヒントは,地球の直径(1万2700km)と,「自分の指」「相似」。ぜひ挑戦してみてください。 もと記事リンク
- 【皆既月食で月が赤く見えるのはなぜ?】 2023年3月1日2022年11月8日,日本全国で皆既月食が観測されました。 月食は,太陽-地球-月が一直線上に並ぶことにより,月が地球の影に入って起こる現象です。月が完全に地球の影に入る皆既月食では,月は完全には真っ黒にならず,「赤銅色」と呼ばれるような赤黒い色で観察できます。その理由は,地球の大気です。太陽光が地球の近くを通過するときには,大気との境目で光が地球の側に屈折します。また,青などの短い波長の光は空気中の分子に当たって散乱し,波長の長い赤色光だけが大気を通過して月に届くため,月が赤く見えるのです。 このような仕組みから,大気中に塵が多いと,皆既月食のときの月の色が暗くなると言われています。今年はトンガでの大噴火が成層圏まで到達しましたが,あなたが見た赤銅色の月に,その影響は感じられましたか? もと記事リンク