植物に花が咲き,そこに蜜などを目当てにハチなどの動物がやってきて,植物の受粉を媒介する。このような仕組みは,最近まで,陸上にのみ存在すると考えられてきました。
しかし,近年,浅い海に生育するタートルグラス(Thalassia testudinum)の花粉がぜん虫や甲殻類によって運ばれている例や,潮だまりの紅藻類グラシラリア・グラシリス(Gracilaria gracilis)では,遊泳能力のない精子が,紅藻の粘液を食べにくるワラジムシの仲間によって運ばれている例が発見されました。 海草は陸上植物から進化した植物ですが,藻類は違います。一連の発見は,「送粉共生」が植物の誕生よりも早く生まれた可能性をも示唆しているのです。