フロリゲンは,1936年に花芽をつくる植物ホルモンとして存在を提唱されていたものの,長らく正体がわからず,教科書にも「未知の物質」などと書かれてきました。
しかし,1999年以降さまざまな発見が相次ぎ,フロリゲンの正体はFLOWERING LOCUS T (FT )と呼ばれる遺伝子にコードされたタンパク質(FT/Hd3a)であることが判明しています。ジベレリンなどほかの植物ホルモンは低分子の化合物やペプチドですが,フロリゲンはそれらと比べ非常に大きいタンパク質がまるごと植物ホルモンとしてはたらきます。 また,フロリゲンは葉で作られた後,茎頂に輸送されて花芽形成を誘導しますが,その際にほかのタンパク質と合体して複合体をつくり,それがDNAに結合して花芽をつくるために必要な遺伝子を活性化させるという花芽形成の仕組みも明らかになりつつあります。