AI(人工知能)である「アルファ碁」が人間のトップ棋士に初勝利をおさめたのは,2016年のこと。そして「アルファ碁」を開発したディープマインド(DeepMind)社が次に狙いを定めたのは,かねてより挑みたいと考えていたタンパク質の立体構造の予測でした。
鎖状につながったアミノ酸が複雑に折りたたまれたタンパク質の構造は,従来ひとつひとつ実験で構造を確かめるしかありませんでした。しかし,ディープマインド社が開発したAI「アルファフォールド」は,アルファ碁などで培った深層学習が活用されており,従来は実験に1年ほどかかっていたものでも,約1時間程度で構造を予想できます。タンパク質の立体構造が簡便に予想できることにより,タンパク質の機能を解明する研究が加速することが期待されています。 「アルファフォールド」は2021年にオープンソース化され,だれでも使えるwebサイトが公開されています。実際のタンパク質のアミノ酸配列を入力し,どんな形になるのか試してみるのも楽しそうです。