※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.57>
理路整然 −智に働けば役に立つ− どうする,決まりを見つける・あてはめる
自然界のものごとについて決まりを見つけていく方法には,大きく分けて2つあります。いろいろな現象に共通していそうな決まりを見つけていく方法と,確実な決まりに,新しく見つけた現象を当てはめる方法です。前者を「帰納法」,後者を「演繹法」といいます。
たとえば,昔の科学者は,非常にたくさんの化学変化について事例を調べ,「どのような化学変化であっても,化学変化の前後で,全体の質量は変化しない」という共通点を見つけました。そして,質量保存の「法則」という自然現象の決まりが認められたのです。これは,たくさんの事例から共通する決まりを見い出すという「帰納法」の一例です。
今回の探究7は,どちらかというと「演繹法」で考えています。 ここでは,次のような3つの決まりをもとに,新しく見つけた現象を理解しています。
決まり1 物質や物質の化学変化は,原子のモデルで表すことができる。
決まり2 化学変化は,化学反応式で考えることができる。
決まり3 化学変化で,化学変化の前の物質の酸素を取り除くことができる。
この3つの決まりを,酸化銅と炭素を加熱したときの変化に当てはめて考えているのがわかるでしょうか。
ただし,探究のときに帰納法,演繹法といった区分を気にしすぎる必要はありません。私たちが何かを考えるときは,同時にどちらの方法も使っていることが多いからです。
一方,レポートをまとめるときは,どちらか の立場で書くとよいでしょう。「多様な例をもとに決まりを見つけた」のか,「わかっている決まりをもとに,調べた現象を考察した」のか,どちらかの展開に沿ってまとめると,筋道のとおった状態になります。
仮に,ひとつのレポートの中で,A,B,Cという事例から決まりを見出し(帰納法),その決まりを,また同じA,B,Cという事例にあてはめて考察する(演繹法)と,「根拠」と「解釈」が堂々めぐりになってしまいます。これは筋道がとおっていない状態です。