※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.4>
理路整然 どうする,探究の進め方
探究とは,「気づき」と「ふり返り」のサンドイッチ。「2課題設定〜7考察」の各段階で,何か気づくことや,ふり返って考えることがあるはずです。いつでも「1気づき」や「8ふり返り」を行き来しながら,探究を進めていきます。
探究レポートをかくときは,主として2〜7をまとめます。
この図を最初から理解する必要はありません。それぞれの単元内の探究を進めたら,ときどきここにもどって,自分がやったことをふり返りましょう。それをくり返していくと,だんだん探究の手順がイメージできるようになります。
ここでは探究の進め方の例を示しています。すべての探究活動がこのように進むわけではありません。たとえば,生物や地層などを対象にするとき,観察することから探究が始まり,それが同時に結果であり,その観察結果を分析・解釈するという流れもあります。
1 気づき
不思議を発見する気持ちをもって,身のまわりのものや現象を観察し,問題を発見しましょう。
どの過程にあっても,常にふり返りを行って改善することが大切です。
2 課題設定
発見した問題を,因果関係なども意識し,検証できる「課題」の形にします。先生と相談したり,資料を調べたりして課題づくりをしましょう。
○ 水は何℃で沸とうするか。
× 【現実的には行えない】水が沸とうする温度はどの場所でも同じか。
× 【危険がある】ヒトは「危ない!」と思ってから,どのくらいの速さで反応できるか。
3 仮 説
課題を明らかにするために,課題に関係する原因の見通しをもち,課題に対する結果を予想し,仮説をたてます。「どこを観察すれば,何が見えそうか」「何を変えると,それにともなって何が変わりそうか」「結果はどうなりそうか」など,具体的に考えていくことがコツです。
仮説を考えているとき,新たな気づきがあるかもしれません。
4 検証計画
どのようにしたら仮説が確かめられるかを計画します。「数で表すにはどうするか」「何を変えればよいか(何を変えてはだめか)」「何が変わりそうか」「どこを観察すればよいか」を考えて,必要な道具と方法を細かく具体的に考えます。
検証計画を考えているときに,仮説を修正することもあります。
5 観察・実験
実際に観察・実験を行います。このときの方法,見いだしたこと,気になったことはすべて記録します。
実際に行ってみたらうまくいかず,検証計画から考え直すこともあります。
6 結 果
結果を細かく記録し,整理します。表にまとめたり,スケッチしたりすることもあります。
考えた方法でも結果がうまく取れない場合は,検証計画や実験方法を見直すこともあります。
7 考 察
結果を「分析」して「解釈」し,どのようなことがいえるか,考えをまとめます。このとき,どのような結果を根拠にして何を考えたのか,わかるように書きましょう。
また,分析・解釈の結果,仮説が確かめられたかを考えましょう。
考察のときに,新たな疑問がうまれることもあります。そのときは,「10次の気づき」からはじめて,次の探究を計画していきましょう。
8 ふり返り
探究活動の途中でも,終わってからでも,自分がやっていることをふり返ります。
「ふり返り」とは,たとえば次のような内容です。
●探究活動の途中で,今やっていることが適切か考える。
●探究活動が終わったら,すべての過程が適切だったか考える。
〔たとえば〕
・調べようとした課題に対して手順は適切か?
・手順で明らかになった結果を正確に記録できているか?
・結果は整理されてまとめられているか?
・考察の内容は結果をもとにしているか?無理がないか?
・課題に対して,考察は適切か?
・仮説と,結果・考察はどのように異なったか?
●次の探究活動につながる「気づき」や「課題」を見出す。
9 伝える
2.〜7.までが整理できたら,内容をまとめ,レポートや発表でほかの人に知らせて,意見をもらいましょう。意見をもらうと考えが深まります。これが9.です。
9.のとき,あなたが行った探究活動をよく知っているのはあなただけで,ほかの人は知りません。知らない人でもわかるようにていねいにまとめることに気をつけます。
10 次の気づき
9.まで終わったら,必ず何か新しい問題が出ているはずです。それが「10.次の気づき」です。それをスタートにして,次の探究を進めましょう。
探究活動の注意点
◯ 観察・実験に興味や関心をもち,進んで取り組む。
◯ うまくいかなくても,くふうして取り組もうとする。
◯ ほかの人と協力して観察・実験を進める。
◯ 今やっていることをふり返り,改善しようとする。
✕ 自分で活動せず,ほかの人の結果を写す。
✕ 結果を自分で勝手につくり上げる。