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光を当てるだけで「磁石でないもの」を「磁石」に

米MITは,本来磁力をもたない物質に光を当てるだけで磁性を生じさせることに成功しました。
この研究では,FePS₃(鉄・リン・硫黄からなる層状の化合物)という磁力をもたない物質に光を照射することで,2.5ミリ秒以上の間,磁石として振る舞わせることが可能としています。2.5ミリ秒と聞くときわめて短い時間のように思われるかもしれませんが,これまで同様の手法で生じさせた磁性は,ピコ秒という極々短時間でしか存在できないものがほとんどで,比較すると10億倍の長寿命といえます。この長さは,各種の観測やデバイスへの応用に十分な余裕をもたらしてくれます。今回の研究では,照射する光を,これまで主に用いられていた可視光や近赤外光から,低エネルギーのテラヘルツ帯の光に変えているのがポイントで,さらに,FePS₃の相転移温度(約118K)付近になるほど,誘起される磁化が大きく,寿命も長くなるという現象も観測されました。本研究は光による磁性制御の新たな可能性を示し,工業的な応用にも期待されています。

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