Logo

北極の氷,観測史上最小面積を記録

北極の海氷面積は,毎年3月ごろにその年で一番大きくなるというサイクルをもっています。2025年も,3月20日に,その面積が年間最大の1379万km²に達しましたが,この値は衛星観測が始まって以来の最小記録となりました。これまでの最小記録よりも13万km²小さく,また,今冬(2024年12月~2025年2月)は,各月で過去最小の値を更新しました。1979年以降の長期的な変化を見ると,北極の氷は縮小傾向にあり,南極をふくむ全球の海氷も減少しているといえます。
今回,史上最小面積を記録した理由としては,北極圏の高温傾向が挙げられ,気温上昇により氷が形成されにくい状況が続いていたことが考えられます。さらに,「北極温暖化増幅」の影響も示唆されています。この現象は,極地の氷がいったんとけてしまうと,太陽光を反射しやすい氷に代わって暗い海面が露出してしまうことで,太陽光がより吸収されやすくなり,加速度的に温暖化が進行するというものです。
海氷の減少をより精密に調べるため,観測体制の強化が進められており,JAXAは2025年度に水循環変動観測衛星「しずく」の後継機となる「GOSAT-GW」を打ち上げ,より高精度な極域観測を実施する計画です。北極の変化を知ることは,地球全体の未来を考えるうえで重要となります。

もと記事リンク(外部サイトに繋がります。公開から時間がたつと繋がらない場合があります)

読み取り中...