タンポポは草,ススキも草,マツは木ですが,では竹は…? 実は,『草』と『木』の分類には統一的な見解がなく,特に,両方の特徴をもつ竹は,どちらと考えるべきかの議論が続いている存在でした。この問題に対し,植物の分類に工学的な観点を導入したのが北海道大学の研究グループです。
まず前提として,光合成を行う植物には光が重要であるので,光がよく当たる場所まで自身の背を高くすることは,重要な生存戦略となります。しかし,背を高くしすぎると,今度は自重で倒れてしまうリスクが大きくなるため,植物は自分のからだを支えるしくみをもっています。研究グループは,このしくみに着目しました。
研究では多種の植物の分析を行い,『草』は中空の体内にある水分による張力で自重を支える植物であり,『木』は幹自体の硬さでからだを支えている植物であることを改めて明らかにしました。この新たな分類体系によると,竹は中空構造をもちながらも,体内の水分による張力ではなく,植物体自身の硬さでからだを支えているため,『木』に分類可能であると結論づけています。本研究は,生物学の観点のみでは答えの出しにくい問題について,工学の観点を活用して新たな知見を得たという点に,特に高い価値のある事例となっています。
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