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Be Silent

米ミネソタ州にあるオーフィールド研究所の無響室は,室外の音を完全に遮断し,室内の反響も極限まで吸収することで,音の99.9%を消失させてしまう,『地球上で最も静かな場所』です。2021年には,最も静かな場所としてギネス世界記録に認定されています。認定記録では,室内の環境音レベルが-24.9デシベルにも達するとのことです。デシベルという単位にマイナスがあること自体,初耳の人が多いと思いますが,実はこの単位は,ヒトの聞き取れる最小の音圧をゼロと定めているため,それ以下はマイナスと定義されます。つまり,ヒトが感じとれる無音をはるかに上回った静寂ということになります。
このくらいの静かさになると,通常は知覚できない微細な音までもが聞きとれるようになります。無響室内に入ると,自分の心臓の鼓動や血流の音,さらには骨のきしむ音までが聞こえるようになり,さらに,それらの音の波が反響せずに直接耳に届くため,距離感を失ってしまい,ひどい耳鳴りに見舞われてしまうとのことです。この極端な静寂のなかでは,ヒトは平衡感覚がくずれ,長時間の滞在は困難になります。現在記録されているこの部屋の最長滞在記録も,1時間にも満たないとのことです。
誰にも邪魔されない静かな部屋は一種のあこがれですが,それも度を過ぎると,ヒトにとっては過酷な空間となってしまうようです。

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