「香木」とよばれる木の種類を知っているでしょうか?香木は生物学的な分類群ではありませんが,ビャクダン,ジンコウ,キャラといった,よい香りを放つ木を指すグループ名です。現在でもお香,フレグランスとして親しまれていますが,娯楽が少なかった古い時代には,その価値はさらに高かったことが知られています。
正倉院に収蔵されている香木「蘭奢待(ランジャタイ)」は,織田信長や足利義政など,歴代の権力者が求めた“天下の名香”として知られており,希少なものです。この“天下の名香”の正体とはいったい何なのか,宮内庁正倉院事務所は,専門家と協力して科学的な調査を行い,300種類以上の香り成分を検出しました。その中でも,ハチミツやシナモンのような甘い香りを持つ「ラブダナム」に似た成分が特徴的で,全体の香りに強く影響していることが明らかになりました。また,ランジャタイは東南アジア産のジンチョウゲのなかまの樹木であることがわかっていましたが,今回の調査によって,原木は8世紀後半~9世紀末に伐採された,または倒木したものである可能性が高いことが判明しました。
今回明らかになった,香りの成分と年代の測定は大きな成果ですが,研究チームはさらに,正倉院にどのような経緯でもたらされたのかを調べていきたいとしています。
もと記事リンク②(いずれも外部サイトに繋がります。公開から時間がたつと繋がらない場合があります)