漆黒の宇宙空間に広がる,さらに暗黒のブラックホール。光さえも逃さない強大な重力をもち,飲みこまれたら最後,2度と脱出することは不可能…と言われていますが,今回得られたのは,実は1度捕まっても逃げられる可能性があるという観測結果です。
イスラエルのテルアビブ大学を中心とする国際研究チームは,銀河中心の超大質量ブラックホールで,ブラックホールに近づいた恒星が重力に引き裂かれて破壊が起こる「潮汐破壊現象」によって発生する光のフレアを観測しました。潮汐破壊現象では,対象となる恒星は完全に破壊されるものというのが定説となっています。しかし今回,驚くべきことに,そのフレアは,2022年に観測されたものとほぼ同じ性質をもっており,“生きのびた”同じ星がブラックホールに2度目の接近を果たした可能性が示唆されました。すなわち,これまでブラックホールに近づいた星は完全に破壊されるとされてきたものの,実際には破壊が一部分のみで留まる場合もあるのでは,と研究チームは説明しています。一度破壊を受けた天体が再びブラックホールに戻る現象は,世界初の確認例となります。
今後,同じ恒星が再度ブラックホールに近づくとすると,次回は2026年と予測されており,そこで3度目のフレアが観測された場合には,従来の完全破壊説の見直しが必要となるかもしれません。この現象はきわめて稀であり,ブラックホールの形成過程や,銀河への影響を解明する貴重な手がかりになると期待されています。世界中の研究者たちが,星とブラックホールの再会を待ち望んでいることでしょう。
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