※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.29>
理路整然 −智に働けば役に立つ− どうする,結果がちがう?仮説がちがう?
探究の結果が,仮説とちがうんだけど…。
仮説がまちがっていたんだよ。
結果の方がまちがいなんじゃないかな。
実験結果が予想どおりでなかったら…。思わず「仮説がまちがっていた」「結果がまちがってい た」と考えてしまわないでしょうか。しかし,あなたが,いいかげんに実験したのでなければ,だれかの結果を写したのでなければ,真剣に仮説を立て,実験に取り組んだ結果は,探究の貴重な成果です。
●仮説とちがう結果が出たら…
仮説とちがう結果がでたならば,「仮説は正しくなかった」という考察ができます。探究を行う前には得られなかった考察ですから,立派な成果です。その考察をもとに次の仮説を考え,次の実験計画を立てることができます。こうした試行錯誤により,調べたいことの真実に近づいていくのです。
●明確な考察がでないときは…
もし,「仮説」と「結果」を比べて,はっきりした考察ができなかったのならば,「ふり返り」を行いましょう。
「仮説」は明確だったでしょうか。実験の結果を明確に予想する仮説であれば,適切な「実験計画」を立てることができます。もし,「水を分解すると気体が発生する」というあいまいな仮説だった場合は,何を,どこまで,どのように確かめれば考察できるかはっきりしませんね。
たとえば,探究3の明確な仮説を「水を分解すると水素と酸素が発生する」とすれば,「水素を確かめる方法」や「酸素を確かめる方法」をふくめた「実験計画」を立てることができます。そして実験結果の「気体が音を立てて爆発的に燃えた」という事実から「水素が発生した」という「考察」を行い,「線香が炎を上げて激しく燃えた」という事実から「酸素が発生した」という「考察」を行うことができます。
●科学的探究
このように,理科では「ものごとを調べる手法」を学びます。理科という教科の中では限られた話題しか出てきませんが,この手法はどんな分野でも何かを調べたいときに広く使えます。この手法を「科学的探究」とよんでいます。学問的な探究だけではなく,「どうやったら暮らしやすくなるか」「どうやったら便利になるか」「どうやったら商品が売れるのか」など,みなさんが社会に出たら,どんな課題に対しても「仮説を立てて,試してみる」をくり返し,うまくいく方法を探すことになるでしょう。
「明確な仮説を立てて,計画を設定する」「結果から考察する」「結果・考察と仮説を比較する」「新たな仮説を立てる」ことを意識してみてください。
中学校では,自分の結果と教科書の内容を比べてしまうかもしれませんが,世の中のできごとは教科書にないことばかり。
「まちがったらいやだ」「教科書と同じでないといやだ」という気持ちは,努力して忘れてしまうことをおすすめします。