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森を育てるマダガスカル島のネズミ

世界各地の森林では,ネズミが食料として種子を地中に埋める『ばら撒き貯食』とよばれる行動をとっています。この行動をとるネズミは,食べ残した種子が発芽することで森林の再生を助ける種子散布者の役割も担っています。その一方で,生物が独自の進化を遂げたマダガスカル島では,種子散布はキツネザルなどの霊長類が中心と考えられており,多くの固有のネズミが存在しながらも,ネズミ類の種子散布行動の記録はこれまで存在しませんでした。
京都大学の研究チームは,この謎を解明すべく,2023~2024年にかけて同島の国立公園で自動カメラを用いた調査を実施しました。その結果,マダガスカル固有種のオオアシナガマウスとフデオアシナガマウスが種子を持ち去り,実際に貯食する姿が初めて確認されました。特にオオアシナガマウスは,大型の種子をふくむ多様な植物の運搬を担う主役であることが判明しました。
これまで種子散布の中心と考えられていたキツネザルは現在,環境破壊により絶滅の危機にあります。これに対してネズミ類は,個体数も多く,環境適応能力も高いため,種子散布の新たな担い手として期待されています。今回の発見は,貴重な動植物の宝庫であるマダガスカルの生態系の復元や,森林の保全に新たな光を当てるものであり,今後は埋められた種子の発芽率など,その貢献度の詳細な検証が予定されています。

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